世界美食紀行

世界最大のビール祭りに行ってみた! ドイツ(2)

  • 文・写真 江藤詩文
  • 2016年10月3日

月曜の午前中から不謹慎な画像で失礼! こちらは「ケーファー」が手がけるおしゃれな丸太小屋で食べたバイエルン料理。午後早めで、しらふな人が多く、料理ひと皿とビールを買ったら、相席の人たちがおつまみをシェアしてくれました

 ドイツ時間の本日10月3日。世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」が今年も無事に閉幕しました。日本でも2003年から毎年開催されているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。東京にいても楽しめるとはいえ、ビール好きとして一度は本場ミュンヘンで開催されるお祭り騒ぎを体験したい。そんなわけで今回、念願かなっての初参戦です。

会場全体を見渡す塔の上で酔い冷ましをしていたヘビーリピーターのサンドラさんとリチャードさん。夕方までに3杯、休憩を入れて夜に3杯を楽しむと6種類を制覇できるとのこと。しかしオクトーバーフェスト用のビールは度数が高く、私は無念にも挫折……

 オクトーバーフェストの概要を簡単にいうと、9月中旬から10月最初の日曜日までの16日間(今年はドイツの祝日の関係で3日までの17日間)、東京ドーム9個分くらいの敷地に、収容人数1000~4000人規模の巨大テントが14棟立ち並び、そこに国内外から例年約600万人が詰めかけ、押し合いへし合いしながらビールを飲み歌い踊るお祭り。ミュンヘン市内に醸造所を構えるビール会社6社が勢ぞろいして、オクトーバーフェストのためにつくった期間限定ビールを販売しています。

テントの中はバンドが懐メロを演奏し、場合によっては風船が飛び、人々はビールを飲みながらベンチに上がって2キロ超えのジョッキ「マース」を片手に歌ったり踊ったり。すでに熱気が高まっているように見えますが、これでもまだ宵の口。この後がすごかったのです

 そう、この“オクトーバーフェスト限定”というプレミアム感も、ここに来る魅力のひとつ。また、ビールに合わせる料理だって大切です。どのテントでも、ミュンヘンが州都であるバイエルン州の郷土料理をサーブしているとはいえ、その味には格差があるそうで、『世界美食紀行』を名乗るからには妥協したくありません。ちなみにテント内のシートは全席予約指定制で、だいたいのテントは予約がなくても立ち入り可能でしたが、今年の場合は一部のテントが午後5時を過ぎると予約のない客は立ち入り禁止になっていました。残念ながら予約席は数カ月も前に完売してしまうそうで、ひとりの予約は受け付けていません(まぁ当然でしょう……)。さて、どうしたものか。

かわいくおしゃれしたミュンヘンっ子。オクトーバーフェストは老人や中高年が主役となってはしゃいでいて、その姿がうらやましく早く大人になって仲間入りしたいと思っていたそう。大人が若い人に遠慮せず、楽しめる文化っていいですよね

 ドイツ人フードジャーナリストの友人によると、「ダルマイヤー」と並ぶミュンヘンの二大高級食料品店で日本にも出店している「ケーファー」が、料理では他と一線を画しているそう。また、さまざまな料理を出すテントが主流のなか、牛の丸焼きとサバの炭火焼きのふたつの専門料理店もあるのですが、ミュンヘンには海がないので魚の鮮度にうるさい日本人の私は、魚は避けたほうがいいだろうとのこと。

「ケーファー」本店2階のレストランのランチ。前菜のビーフタルタルは、スパイスが複雑に絡み合ったオリエンタルな味わい。クリーミーなマッシュポテトが添えられ、ドイツのリースリングワインによく合いました。自家製のパンも美味

 実は「ケーファー」本店でランチをとり、「今回のドイツでベストレストランかも」と思っていたのです(ところが早くも翌日にトップの座は入れ替わるわけですが、この話はまたおいおい)。さらにシェフやビアソムリエ、オクトーバーフェストのヘビーリピーターなどの話を総合して、まずはミュンヘン最古の醸造所で地元では圧倒的に支持されている「アウグスティーナ」でのどを潤し、「ケーファー」(ビールはパウラーナー)でおなかを満たすことにしました。

だんだんとライトアップされた夜のオクトーバーフェスト会場。遊園地のようなアトラクションがいくつもあり、ほろ酔いで乗ると楽しさが倍増しますが酔いが回るのも早くなるのでほどほどに。最近はコーヒーなどの出店も増えているそうです

 と、ここまでは順調でしたが、ひとりでは難しかったのは夜です。オクトーバーフェストの神髄は夜が深まるにつれヒートアップするどんちゃん騒ぎにあると言っても過言ではないのですが、予約のないひとりの外国人が入り込むのはハードルが高いのです。なぜってミュンヘンっ子は英語を話す人も多く、昼間は相手をしてくれるのですが、やっぱり酔っぱらってくると外国人に構うより、母語で気兼ねなくおしゃべりしたくなるんですよね。

ライブの合間にひと休み。アングルからわかるように私もベンチに立って写真を撮っています。今年は開幕当初は天候が悪く、またテロなどの問題から例年より来場者が少なかったそうですが、それでもテント内は超満員で歩くのもやっとなほど

 あとでリサーチしたところ、タレントの真鍋かをりさんのオフィシャルブログによると、彼女が2013年にオクトーバーフェストに参加した際は、そういった状況を予期してあらかじめネットの掲示板で同行者を確保したそうで、もともと知的な女性というイメージがありましたが、さすがです……。

オクトーバーフェスト開けの朝食。バイエルン地方ならではの名物で午前中しか食べられない白ソーセージに甘いマスタードがぴったり。飲み物は朝っぱらからヴァイスビール(白ビール)。“朝のビールは1日の活力のもと”と言われているとか

 私の場合、こういう状況を打破するきっかけになるのが、なぜかいつも台湾人で、今回も台湾人に誘われてインターナショナルなテーブルに潜り込むことができました。そして……。重さ1.2キロというオクトーバーフェスト用の1リットル入りの魔のジョッキ「マース」を4杯空けた結果。翌朝、腕がみごとに筋肉痛になってしまいました。そして6種類を飲みきれなかったのが、悔やまれてなりません。

本番に先駆けて日本のオクトーバーフェストで予習もしてみました。魔のジョッキ「マース」ではなくほどよい量で、ミュンヘン以外の地域のドイツビールや日本産のビールなど、ミュンヘンとはまた違う銘柄をゆっくりと落ち着いて味わえます

■MEMO:旅の服装

オクトーバーフェストでは、夜のテント内は何があっても無礼講といった感じ。ビールがかかるのも当たり前なので、汚れても洗いやすい服装が基本です。近ごろは民族衣装でドレスアップしたミュンヘンっ子も多く、かわいいデザインにひかれた外国人観光客も着ていました。けれども最近の世界情勢から民族についてデリケートな人もいて、外国人の着用をうれしいと思う人もいれば、あまり好ましくないと考える人もいるようです。個人的な意見では、わざわざ着る必要はないと思います。

■取材協力:

ドイツ観光局

レイルヨーロッパ

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PROFILE

江藤詩文""

江藤詩文(えとう・しふみ)

トラベルジャーナリスト、フードジャーナリスト、コラムニスト。その土地の風土や人に育まれたガストロノミーや歴史に裏打ちされたカルチャーなど、知的好奇心を刺激する旅を提案。趣味は、旅や食にまつわる本を集めることと民族衣装によるコスプレ。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道〜乗っ旅、食べ旅〜」シリーズ3巻。「江藤詩文の世界鉄道旅」を産経ニュースほかで連載中。

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