旅空子の日本列島「味」な旅

黒潮に運ばれる花と風と美味な魚介の宝庫 南房総

  • 文 写真 中尾隆之
  • 2017年1月25日

久里浜からのフェリーが着く金谷の港と街

  • 百尺観音

  • 地獄のぞき

  • 廃校活用の交流施設の道の駅・保田小学校

  • この時期はそこここでイチゴ狩りが人気

  • 数年前に売り出した名物、休暇村館山で食べた「館山炙り海鮮丼」。1,800円

  • 千倉の道の駅・海風王国そばの花狩り園

  • 道の駅和田浦WA・O!の名物は刺身や竜田揚げ、くじらカツなどの鯨料理。500円から

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 逆L字型に横たわる日本列島の主島の本州。その曲がり角の位置から南に突き出す房総半島は、沖合を流れる黒潮の影響で、冬のさなかでもいち早く花が咲く通年温暖の地だ。特に富津から館山、白浜、千倉にかけての最南部は新春から梅、水仙、菜の花、ポピー、フリージア、桜などと咲き続く。

 そんな花の春を求めて、久里浜港から東京湾フェリーで金谷港へ。着くと切り出した房州石のギザギザの岩肌が荒々しい鋸山を目指してロープウェーで一気に昇り、山頂展望台に立った。眼下にひらける金谷の集落や金谷港、東京湾、三浦半島、晴れれば天城連峰や富士山なども見える大パノラマに気分も晴ればれだった。

 道を10分ほど下って関東最古の勅願所という日本寺に到着。境内では石切り跡に刻み込まれた大観音石像の百尺観音や山頂に突き出す岩盤の地獄のぞきに圧倒されて浜金谷駅に戻った。

 この山の南側を意味する鋸南町で、ひと駅南の保田(ほた)は12月中旬から花をつけて甘やかな香りを放つ水仙郷。2月中旬からは保田川堤は濃いピンクの頼朝桜が素晴らしいという。ここでは3年前に廃校になった小学校校舎が、なんと物産直売所、ギャラリー、宿泊施設など多様な要素を抱えた交流拠点の道の駅・保田小学校(0470・29・5530)として生まれ変わっていた。

 半島西南端の館山市は里見氏や稲葉氏の城下町など古くから安房の中心地。海洋性の温暖な気候の下で、花、魚介、野菜などに恵まれた風光に富んだ町である。この季節の見どころに花摘みができる100万本のポピーが咲き揺れる館山ファミリーパーク(0470・28・1110)や熱帯・亜熱帯の花や樹木、バナナやマンゴーなど熱帯果実が見られる貴重な施設のアロハガーデンたてやま(0470・28・1511)がある。

 グルメなら休暇村館山(0470・29・0211)など市内4店が歩調を合わせて推進する炙り海鮮、刺身、海鮮丼を特製三段丼に盛り付けた「館山炙り海鮮丼」を満喫し、いちご狩りも楽しんだ。

 南の富山、富浦、千倉、白浜、丸山、和田の6町と三芳の1村が合併して生まれた南房総市では各所でストック、ポピー、キンセンカなどの観賞や花狩り体験。市内9カ所の道の駅では海産・農産物の他に、「和田浦WA・O!」(0470・47・3100)の鯨など地元ならではの料理も味わえる。

 花と美味の向こうに青い海となだらかな山。太陽も風も温かい1月の房総半島は陽春の言葉が似合う旅路である。

〈交通〉

・東京駅から館山駅まで内房線特急(土・日曜運行)で2時間20分

・久里浜港から金谷港まで東京湾フェリーで40分

〈問合せ〉

・富津市観光協会 0439・80・1291

・鋸南町観光協会(保田駅前観光案内所) 0470・55・1683

・館山市観光協会 0470・22・2000

・南房総市観光協会 0470・28・5307

・東京湾フェリー久里浜 046・835・8855

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PROFILE

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター

nakao takayuki

高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

風土47

fudo47

都道府県のアンテナショップの情報を集めたポータルサイト。全国的には知られていないけれど味も生産者の思いも一級品、そんな隠れた名品を紹介する「日本全国・逸品探訪」など様々な記事が掲載されている。

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