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かやぶき屋根駅舎と桜のコラボ、美人の湯を楽しむ 南会津旅

  • &TRAVEL編集部
  • 2017年4月21日

会津鉄道・湯野上温泉駅。かやぶき屋根の駅舎と満開の桜が見られるのが大型連休前後になる見込み(下郷町観光協会提供)

 4月21日、東武鉄道は「特急リバティ会津」の運行を始める。東京・浅草から、福島県の会津田島駅まで、野岩鉄道や会津鉄道を経由し、乗り換えなしで行くことができる。「特急リバティ会津」の浅草駅始発、会津田島駅発最終の電車を利用すると、滞在時間は最大約8時間となり、都内から日帰り旅行も可能だ。会津田島駅からアクセスできる南会津エリアには、全国でも珍しい、かやぶき屋根の駅舎の「湯野上温泉駅」(会津鉄道)や、美人の湯として知られる「湯野上温泉」など見どころがたくさん。桜もこれからが見頃。日頃の疲れを癒やしたい方、桜を見逃してしまった! とがっかりしている方、南会津へほっこり旅に出かけませんか。

 4月上旬、特急リバティ会津と同じルートで福島県下郷町へ向かった。東武浅草駅を出発し、東京スカイツリーを見上げ、沿線の桜並木や利根川の土手一面に広がる菜の花など車窓の眺めを楽しんでいると、あっという間に栃木・鬼怒川温泉駅に到着する。ここから更に北上。出発から2時間半ほどたつと、車窓から見える風景もがらりと変わる。山や田畑に雪が残り、電車は山の中を走り抜ける。トンネルの中にプラットホームがある「湯西川温泉駅」や、険しい山に囲まれた水面が輝くダム湖など、“非日常的な風景”に目を奪われているうちに、会津田島駅に到着する。今回は、会津地方のちょうど中心に位置する下郷町へ向かう。

かやぶき屋根の駅舎と桜の競演

 桜の時期に訪れたいのが、会津鉄道「湯野上温泉駅」(福島県下郷町)。かやぶき屋根の駅ホーム周辺に、ソメイヨシノ30本が咲き誇る。

湯野上温泉駅の駅舎の中にある囲炉裏。暖を取るだけでなく、どこか懐かしい空間が、つい長居してしまう居心地のよさ

 かやぶき屋根の駅舎が、どこか、懐かしく旅情を誘う。駅舎の中に足を踏み入れると、パチッパチという激しい音と、薪の燃える匂いがした。朝早くまだ少し肌寒かったが、囲炉裏が身も心も温かく迎えてくれた。観光協会から委託された駅長3人らが日替わりで毎朝、囲炉裏に火を入れる。午後5時に退社するまでに残り火を完全に消すため、午後2時ごろには火を消すという。「若い人や海外からの観光客も囲炉裏を珍しがって喜んで写真を撮っています」と駅長のひとり、玉川栄子さん。囲炉裏そばには本棚、さらにお茶のサービスもあり、つい長居してしまう空間。玉川駅長も「お客さんと、ゆっくりしゃべる時間が私たちも楽しいですね」と笑う。

湯野上温泉からひいた足湯。歩き疲れたら、ここでひと休み

 駅舎の脇には足湯もある。近くの湯野上温泉の湯を引いており、無料。桜の時期には旅の疲れを癒やしながら、ゆったり、桜と列車をめでることができる。埼玉県春日部市から来たという親子は「ちょうどいい温度」と足湯を満喫していた。

 桜の時期にはライトアップも予定されている。(2017年4月20日現在、桜はつぼみがほころび始めたところ。見頃は大型連休ごろになる見込み)

かやぶき屋根の駅舎。外国人観光客だけでなく、若い人にも「珍しい」と人気

線路沿いにソメイヨシノが咲き誇る(下郷町観光協会提供)

伝説が残る「猿湯」源泉かけ流しの秘湯でゆっくり

 レトロな湯野上温泉駅近く、渓谷沿いにある「湯野上温泉」。奈良時代に発見されたといわれる秘湯だ。発見者はなんと、猿。その昔、猟師に撃たれた1匹の猿が岩間から湧き出る湯で傷を癒やしたという言い伝えがある。弱アルカリ性高温泉で、湧出(ゆうしゅつ)量は毎分約3000リットルという豊富さ。23軒ある湯野上温泉郷の宿は、ホテルから民宿まで、それぞれ個性豊か。観光協会加盟宿すべてが源泉かけ流し100%だという。山深い温泉地で、ゆっくり癒やしの湯につかる。湯につかった後は心なしか肌がつるつる。「角質が取れた気がする!」という驚きの声もあったほどだ。

湯野上温泉の宿では、鱒の刺し身など地元の食材が楽しめるのも魅力

山一面がピンクに染まる「戸赤の山桜」、カタクリの「花見」

 湯野上温泉駅から車で25分ほどの場所には、山一面に桜が咲く「戸赤の山桜」と呼ばれる名所がある。「戸赤地区」は23世帯の小さな集落。雪深い土地で林業で生計を立ててきた住民たちが「春の楽しみに」と桜を「留め木」に定め、個人が勝手に伐採することを禁止。地元の人たちが愛情深く大切に守ってきた桜だ。満開になり、山がピンクに染まる風景は見応えがあるという。

住民たちが守り続けてきた、戸赤の山桜(下郷町観光協会提供)

 桜以外にも「花見」が楽しめる。戸赤地区から車で10分ほどの距離にある桑取火(くわとび)地区には約2ヘクタールにわたってカタクリが群生している。群生地の間をぬうように落葉樹林の中を通る遊歩道を散策すれば、ハイキングにもぴったり。カタクリは4月下旬に見頃を迎え、4月29~30日には「かたくり祭り」が開かれる。

約2キロにわたる、かたくりの群生地。奥地では5月上旬まで見ることができるという(下郷町観光協会提供)

 このほかにも、「観音沼森林公園」では、沼の周囲1.2キロに9つの遊歩道が整備され、四季折々の自然を楽しみながら、のんびり散策できる。特に、紅葉シーズンには、沼に紅葉した山々が映る姿を写真に収めようと多くの人が訪れる。

山の中にたたずむ一軒家のような、雲海の見える道の駅

条件がそろえば、壮大な雲海が広がる(道の駅しもごう提供)

 国道289号沿い、山の中の一軒家のようにたたずむ「道の駅しもごう」。雄大な南会津の山々を見渡せる標高約861メートルの位置にあり、「雲海が見える道の駅」として知る人ぞ知る穴場スポットだ。雲海が見えるのは9~3月ごろ。星空がよく見えた翌日、冷え込んだ早朝に見えることが多いという。道の駅ならではの地元特産品も取りそろえる。「地元産しか置かない、2日間売れない物は生産者に返品し、新鮮さを大切にする」がこだわり。佐藤仁夫駅長兼店長は「冬場は(売り場に)並べるものがなくて、せつないけど」と笑うが、農家の人たちが手塩に掛けた新鮮な地元の味を楽しめるのは、観光客としてはうれしい。地元・金子牧場のジャージー牛の乳でつくった濃厚なソフトクリーム、下郷産のそば粉を使った手打ちそばも人気だ。

    ◇

 次回の南会津旅は、江戸時代にタイムスリップしたような街並みが残る、宿場町「大内宿」や、絶景「塔のへつり」などを紹介します。

旅のメモ

 会津田島駅から、特急リバティ会津の到着に合わせ、観光循環バスが運行している(4月22日~11月19日、土日祝日のみ)。湯野上温泉駅や大内宿をめぐる北循環と、養鱒公園や金子牧場などを経由する南循環の2コースがある。1日フリー乗車券は大人1800円、子供900円。

 また、会津田島駅や会津高原尾瀬口発着で、季節の花や自然、紅葉、奥会津の歴史などをめぐる観光循環バスもある。問い合わせは会津バス田島営業所(0241-62-0134)。

アクセス

・湯野上温泉駅

会津鉄道会津田島駅から車で約22分

・湯野上温泉

湯野上温泉観光協会 http://www.yunokami.com/

・戸赤の山桜(福島県南会津郡下郷町大字戸赤字林下)

会津鉄道会津田島駅から車で15分、湯野上温泉駅から車で25分、会津鉄道会津下郷駅からバスで25分、戸石下車

・桑取火カタクリ群生地(福島県南会津郡字桑取火)

・観音沼森林公園(福島県南会津郡下郷町大字南倉沢

観音平)

会津鉄道会津田島駅から車で26分

・道の駅しもごう(福島県南会津郡下郷町南倉沢字木賊844-188、TEL:0241-67-3802)

取材協力

・東武鉄道 http://www.tobu.co.jp/

・福島県下郷町 http://town.shimogo.fukushima.jp/

・下郷町観光協会 http://shimogo.jp/

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