城旅へようこそ

18代の歴史を実感できる圧巻の土塁と雁木の城下町を歩く 高田城(2)

  • 文・写真 萩原さちこ
  • 2017年5月8日

高田城のシンボル、三重櫓(やぐら)。1993(平成5)年に建てられた

<高田城(1)からつづく> 

 かつて高田城(新潟県上越市)本丸、二の丸、三の丸の一部が、現在高田公園になっている範囲だ。江戸中期の史料をもとにした推定復元図によれば、かつての高田城は内堀(本城堀)を囲むように二の丸や北の丸が配され、その外側に三の丸などの曲輪(くるわ)が置かれていた。蹴出(けだし)門と本城御門に通じるのが、極楽橋。二の丸と南側の三の丸との間は、現在は埋め立てられているが、東西方向に堀が穿(うが)たれ分断されていた。

 現在の陸上競技場が陽戦曲輪跡で、その南側は南堀が囲む。野球場になっているところは、城の南西に突き出す瓢箪(ひょうたん)曲輪だった。大手町交差点から高田公園方面に入り、大手橋を渡ったところが大手門跡。土塁で囲まれたかなり広大な枡(ます)形門が建っていたという。高田公園の一部を歩くだけでも、城の広大さが実感できるはずだ。

大手堀。奥に見える野球場が、瓢箪曲輪跡

 石垣の代わりに用いられた、圧巻の土塁が見ものだ。高田城は8家18代の城主が交替し、明治に入るまで257年存続した。旧陸軍第13師団が入城すると建物は壊され、多くの土塁が切り崩されたが、今でも城の基本的な形状は留めている。

 本丸を取り囲む内堀の総延長は、本丸側で約1300メートル。現在の堀幅は約40~50メートル、深さは平均で5メートルほどだ。時間の経過による土塁の崩れなどを考慮すると、さらに深かったと考えられている。内堀を掘った土が盛られた土塁は、高さが約10メートル、幅は3~10メートル(底面で約30メートル)。総延長は870メートル(頂面中央部)あり、現在の出入口を含む総延長は約1000メートルに及ぶ。

極楽橋からのぞむ、内堀と本丸南東側の土塁

 本丸への虎口は本城御門(南門)、東不明門(東門)、北不明門(北門)の3カ所で、本城御門(南門)と東不明門(東門)は内桝形門、北門は内カギ形門と呼ばれる形式だった。現在の西側からの入口は、明治に入ってから開削されたものだ。

 本丸の広さは東西215メートル、南北228メートルで、内部には本丸御殿をはじめ多くの建物が建っていた。南西隅に建つ三重櫓がシンボル的な存在だったが、1870(明治3)年に火災のため焼失。現在の三重櫓は、1993(平成5)年に再建されたもので、外観は松平光長時代の「本丸御殿絵図」が参考になっている。

極楽橋から見る、本丸南西側の土塁と内堀。本丸の南西隅に三重櫓が建つ

三重櫓から見下ろす、本丸。現在は2つの学校が建っている

 さて、高田を訪れたならは城下町にも注目したい。江戸時代前期の松平光長時代の城下町絵図に描かれている碁盤の目のような町割りが、現在もそのまま残る。高田城下町は、東側をのぞく西・南・北面を凹字型に囲むように形成され、南北2キロの通りが5本も並んでいるのが特徴だ。城の背後は関川で守り、それ以外は城下町によって守られているのだ。

 城の周囲は家臣団の屋敷が並び、西側に町人町が配される。5本の通りのメインストリートとなっているのが、南北に通る旧北国街道。西からは旧加賀街道が取り込まれ、交差する。町人町のさらに西側には2列に並ぶ寺町が形成され、現在もそのうち66の寺が現存している。

 大町通りは職人の町で、江戸後期に建てられた商家・旧今井染物屋も残る。江戸時代に入ると、佐渡島で採れる金銀を江戸に運ぶために北国街道が整備され、高田の城下町はその宿場として栄えた。

 雪国であるため、城下町は雁木と呼ばれるアーケードのような柱が設けられていた。家屋の軒先を道路側に延長して柱で支えるものだ。高田の雁木通りは全長16キロあり、日本一の長さを誇る。

城下町の町割がそのまま残る、大町通り。旧今井染物屋の雁木は古い形式といわれる造り込み式

(高田城の回・おわり)

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交通・問い合わせ・参考サイト

高田城

えちごトキめき鉄道「高田」駅から車で10分 ほか
025-526-5915(高田城三重櫓)
上越市のページはこちら

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PROFILE

萩原さちこ(はぎわら・さちこ)城郭ライター、編集者

萩原さちこ

小学2年生のとき城に魅了される。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演、講座などをこなす。著書に『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『戦国大名の城を読む』(SB新書)、『日本100名城めぐりの旅』(学研プラス)、『お城へ行こう!』(岩波ジュニア新書)、『図説・戦う城の科学』(サイエンス・アイ新書)など。webや雑誌の連載多数。
http://46meg.com/

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