絵本のぼうけん

ケネディ前駐日米国大使も訪れた絵本『こんとあき』の舞台

  • 絵本の舞台を訪ねる旅(1)
  • 2017年5月16日

『こんとあき』作:林明子(福音館書店)

 前駐日米国大使のキャロライン・ケネディさんがお気に入りとして紹介した『こんとあき』(福音館書店)は、鳥取砂丘が登場する旅絵本です。ケネディさんのお子さんが4歳の時に、ケネディさんのお母さんがプレゼントされたとのこと。日本駐在中に、お子さんたちと念願の鳥取砂丘訪問を果たしたエピソードが話題になりました。

 子どもたちは、絵本の中で出会った風景や場面を日常の中に探すのが得意です。いつのまにか絵本の主人公になりきって遊んでいることもめずらしくありません。さらに、もし物語の世界へ実際に旅することができたら、それはもちろんとびきりの体験にちがいありません。さあ、絵本と一緒に旅へ!

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 きつねのぬいぐるみの「こん」は主人公の女の子「あき」が赤ちゃんのころからずっと一緒に遊んでいました。ある日、こんの腕がほころびてしまったので、こんを作ってくれたおばあちゃんに直してもらうために、「さきゅうまち」に行くことになりました。

  

 二人は汽車に乗って出発しました。途中の駅で、こんはお弁当を買いに出ます。あきはこんがなかなか帰ってこないのでドキドキしながら待つのですが…。戻らないこんを探しに行くと、ドアにこんのしっぽがはさまっているハプニングが!

  

 「さきゅうえき」についた二人は、おばあちゃんの家に行くまえに、砂丘に寄り道をします。そこで、こんは今度は野犬に連れ去られてしまうのです。砂丘に埋められていたこんをようやく助け出したあきは、おばあちゃんのうちをめざします。

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 こんとあきのスリリングな冒険物語ですが、最後にはおばあちゃんがこんを直してくれます。元気になったこんとあきとおばあちゃんがお風呂に入る場面では、ドキドキして絵本を聞いていた子どもたちもほっと安心した表情になります。このおだやかなおばあちゃんは、実は著者・林明子さんの祖母がモデルでお裁縫が上手な方だったそうです。そして鳥取はご両親の出身地なのです。

 『こんとあき』の出版は1989年。27年後の2016年にはなんと95刷を数え、今も世代を超えて読みつがれている林明子さんの代表作の一つです。海外でも、ケネディさん一家が読んだ英語版をはじめ、多くの言語に翻訳出版されています。そして鳥取砂丘を含む山陰海岸は世界ジオパークに認定され、近年は多くの外国人観光客が訪れるようになりました。ケネディさんのように、『こんとあき』の景色を求めてやってくる人も多いのではないでしょうか。

  

 子どものハラハラドキドキする気持ちを描きながら、読者を物語の中へぐっと引き寄せる林明子さんの世界。『はじめてのおつかい』、『きょうはなんのひ』、『おふろだいすき』などは二世代にわたって親しまれている人気絵本です。小さな赤ちゃんたちには『でてこいでてこい』や『ひよこさん』(すべて福音館書店)がおすすめです。

<旅のメモ帳>
『こんとあき』に出てくる特急列車は架空のものですが、鉄道好きの子どもの中には名まえを知りたがる子も少なくありません。出版当時は、大阪から鳥取まで特急「はまかぜ」が走っていました。現在は同区間を「スーパーはくと」がカバーしています。
* なおJR鳥取駅から鳥取砂丘までは、タクシーで20分ほどです。路線バスでは、JR鳥取駅から鳥取砂丘行き 鳥取砂丘バス停下車すぐ。(参考:鳥取県観光連盟サイト)
鳥取市観光コンベンション協会のサイトでは、鳥取砂丘を含む鳥取の観光名所

を、英語、韓国語、中国語など多言語で紹介しています。

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PROFILE

長嶺今日子(ながみね・きょうこ)

子ども一人ひとりの個性に合わせて絵本を選び届ける「ブッククラブえほんだな!」主宰。子育て支援のイベントやライブラリーの選書も手がける。また、多言語による読み聞かせ活動にも長年携わっている。「ブッククラブえほんだな!」

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