旅空子の日本列島「味」な旅

海の幸・山の幸に恵まれた文学者ゆかりの地、沼津でサイクリング

  • 文 写真 中尾隆之
  • 2017年6月28日

狩野川の向こうにビルが立ち並ぶ沼津の中心街

  • 晴れれば海水浴でにぎわう千本浜。富士山がきれい

  • よく散策した千本松原近くの若山牧水記念館

  • 朝は魚市場や魚介の水揚げでにぎわう沼津港

  • 「漁師めし食堂」の人気メニューの海鮮丼

  • 80軒ほどの飲食・土産店が集まる沼津港飲食街

  • 沼津市芹沢光治良記念館

  • 外のシュー皮もおいしいイタリアン・ロール

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 町の中をゆったり流れる狩野川のほとり。伊豆半島の北西に位置する沼津はかつて東海道の宿場町、江戸時代は水野氏5万石の城下町。そんな歴史は目立たないが、富士山、駿河湾、狩野川がつくる景勝があり、芹沢光治良、若山牧水、井上靖ら文学者とのゆかりも深い。さらに、アジのひものなど海産物でも知られる商工都市だ。

 東海道新幹線三島駅の隣のため、つい素通りされがちだが、沼津駅周辺は人口約19万7千人の街らしい都会的なにぎわいがある。無料のレンタサイクルで千本浜公園、沼津港、御用邸記念公園辺りまで海寄りの道をのんびりペダルを踏んだ。

 駿河湾に沿って大きく弧を描く千本浜は夏は海水浴場で華やぐ千本松原が続く浜辺。松林の中は文学の散歩道で、少年時代を沼津で過ごした井上靖の文学館や旅と酒を愛して晩年の8年間、沼津に住んだ歌人・若山牧水の文学碑もある。

 碑には宮崎・延岡生まれで各地を旅した牧水の代表歌「幾山河越えさりゆかば寂しさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく」が刻んである。南の別荘地のような閑静な一角に立つ若山牧水記念館(055-962-0424)で静かにしみじみと歌や人柄をしのんだ。

 ここから5分ほどペダルを踏むと狩野川河口の沼津港に着く。囲い込んだ内湾には漁船がつながれ、岸には魚市場や地元の特産物が集まる沼津みなと新鮮館がある。

 碁盤目に区画された飲食店街には海鮮料理など50店を超す食事処や30店近い、ひものなどの土産店がひしめき、どこも大繁盛。飲み食いや買い物の観光客でにぎわっていた。その一軒の「漁師めし食堂」でボリュームたっぷりの海鮮丼を味わった。

 お腹ごなしに港大橋を渡って、地元沼津中学から一高、東大、農商務省を経て、『巴里に死す』『人間の運命』など作家になった芹沢光治良の我入道の生家跡を訪ね、松林に囲まれた打ち放しのコンクリートの沼津市芹沢光治良記念館(055-932-0255)へ足をのばした。

 ここからペダルに力を込めてたどり着いた沼津御用邸記念公園(055-931-0005)は明治・大正・昭和の3代にわたり天皇家に使われた由緒ある建物。47年前から記念公園として一般に開放。復元の家具・調度品で当時の皇族の暮らしに触れられる西付属邸や文化活動に使われる東付属邸なども見学できる。

 駅前に戻る途中、店でしか買えない「イタリアンロール」の冨久屋に立ち寄り、本町辺りの沼津宿本陣跡や中央公園の沼津城本丸跡の石標など江戸時代を探した。

アクセス・問い合わせ

・JR東海道線沼津駅下車
・沼津市観光交流課 055-934-4747
・NPO法人沼津観光協会 055-964-1300

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

※文中の施設名のリンク先は楽天トラベルの情報ページです。

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PROFILE

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター

nakao takayuki

高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

風土47

fudo47

都道府県のアンテナショップの情報を集めたポータルサイト。全国的には知られていないけれど味も生産者の思いも一級品、そんな隠れた名品を紹介する「日本全国・逸品探訪」など様々な記事が掲載されている。

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