クルーズへの招待状

流行の「クルーズ後、もう1泊」 能登半島で花嫁のれん、加賀屋別邸・松乃碧を楽しむ

  • コスタネオロマンチカの日本海周遊クルーズ(その4)
  • 2017年8月4日

隠れ家のようなマンマトラットリア

  • カーニバルオブザシー

  • 観光列車花嫁のれん

  • 花嫁のれんくぐり体験

  • 高澤ろうそく店の和ろうそく

  • 昆布海産物處 しら井

  • 松乃碧の角偉三郎ギャラリー

  • 海に面した茶室得寮庵

  • 客室から見た七尾湾の絶景

  • 美しい器と料理

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 いよいよコスタネオロマンチカ金沢発着5泊6日のクルーズもラストナイトとなりました。そこで、最後の夜は少し奮発して、有料のスペシャリティーレストラン「マンマトラットリア」を予約しました。カバーチャージ(席料)が25米ドルかかりましたが、大エビのオーロラソース、ジェノベーゼスパゲティ、ナスとフレッシュモッツァレラチーズの重ね焼き、野生イチゴのクリームなどに舌鼓。隠れ家風のイタリア料理レストランは、ムードもサービスも一味違いました。

 ところで、クルーズでは、通常ラストナイトに荷造りの儀式が待っています。たとえば、コスタネオロマンチカの下船準備は前日から始まり、各客室に、下船時間と下船時の集合場所を表す色別の荷札が配られました。これは、持ち運びが大変なスーツケースなどにつける荷札でもあり、名前や客室番号など、必要事項を記入後、スーツケースに取り付けます。そして、札を付けたスーツケースを下船前夜の午前0時までに、自室のドアの前に置いておくと、港のターミナルまで運び出しておいてくれるシステムとなっていました。現在、世界中の多くのクルーズ船でこれに類似した方法がとられていて、私は“ラストナイトの儀式”と呼んでいます。

 スーツケースをドアの外に出す儀式が済んだら、あとはラストナイトを遊びつくすだけ。しかもテーマは一段とにぎやかな「カーニバルナイト」。カラオケ大会やビンゴ大会、さらにハイライトのカーニバルオブザシーは、ベネチアのカーニバルのように仮面をつけ、奇抜なコスチュームを着て踊る愉快なダンスパーティーでした。仮面は船上の売店でも販売されていますし、100円ショップで事前に購入していた乗客もいました。会場は妖艶(ようえん)なマスクのオンパレードとなり、自由に陽気に夜が更けていきました。

 翌朝、金沢港で下船すると、加賀友禅を鮮やかに着こなした加賀友禅大使の皆さんが岸壁で出迎えてくれました。このような日本らしいお出迎えは、外国の乗客にもとても好評で、技を尽くした伝統工芸加賀友禅の華やかさに、雨の朝もぱっと気分が明るくなりました。

クルーズでは後泊が流行中、クルーズ旅に能登半島への小旅行を追加

 ところで、地中海クルーズなどでは、クルーズを終えた後、下船港の付近でもう一泊し、より深く名所旧跡を見て回ることが流行しています。せっかく見どころ、食べどころが豊富な石川県まで来たのですから、今回は能登半島への小旅行も追加しました。

 まず、金沢駅から、絢爛豪華な装飾を施した観光列車「花嫁のれん」に乗り、七尾へ。花嫁のれんとは、婚礼の日に、結婚相手の家の仏間にかけ、花嫁がくぐる、のれんのこと。幕末、明治期から加賀藩の能登、加賀、越中で行われた婚礼習慣の一つだそうで、七尾市にはそんな花嫁のれんを常設展示している「花嫁のれん館」があります。内部には明治期から平成にかけての花嫁のれんが展示され、その変遷を見ることができる上に、実際に花嫁衣装を着て、花嫁のれんをくぐる「花嫁のれんくぐり体験」もできるのです。そこで、40年ぶりに花嫁衣装に身を包み、豪華な花嫁のれんをくぐってみましたが、結婚したときのような厳かな気分になりました。

 近隣にある、一本杉通りは、多数の登録有形文化財の建物が並ぶレトロな街道で、ぶらりと散歩するにはぴったりの場所です。中でも、「高澤ろうそく店」は1892(明治25)年に創業し、石川県で唯一、和ろうそくの製造を行っているという貴重な老舗。1階には、美術品と呼びたくなるような美しい和ろうそくの数々が並び、2階に上がると和ろうそくの製造工程がわかるミニギャラリーになっていました。

 一本杉通りの反対側には、創業87年の昆布海産物處「しら井」。七尾港はその昔、昆布などを積み込んだ北前船の寄る港でした。その流れをくみ、店内には北海道の上質な昆布はもとより、今朝炊いたばかりの自家製「にしんの昆布巻き」など、ご当地ならではの名物もありました。

 今夜のお宿は能登の名湯・和倉温泉にある「加賀屋別邸・松乃碧」です。ここは、「プロが選ぶ日本の旅館・ホテル100選」で36年連続日本一となった加賀屋の別邸として2015年に開業し、北陸初のインクルーシブ旅館としても注目を集めています。

 松乃碧の館内に入ると、そこはまるで美術館。

 輪島出身の漆工芸作家・角偉三郎の作品を展示したロビースペース。その向こうには七尾湾を見晴らすラウンジ。さらに庭園には海に面して建つ茶室「得寮庵」がありました。

 実はこの茶室は前田家14代藩主慶寧公の四女慰姫の行儀見習いのために建てられたそうです。格天井や火燈窓を移築した由緒ある茶室に上がり、潮騒の音を聞きながら抹茶を頂けば、そこだけ悠久の時が流れる別天地。旅館に到着し、1時間足らずの間に芸術、自然、伝統、風流が織りなすあやを心行くまで楽しみました。

 客室に備え付けられた露天風呂からは、能登島が一望のもと。ビールやワインなどの飲み物料金も含まれるインクルーシブシステムなので、ふろ上がりの一杯も格別です。

 夕食は、落ち着いた個室で、松笠の器に入った能登野菜とジュレから始まり、ノドグロ、サヨリ、タイなどのお造り。八寸には、ハマグリ、タコ、そら豆、ミョウガなど彩りよく山海の珍味を盛り合わせ、焼き物は能登牛のステーキというごちそう。夕食後もラウンジに席を移し、オリジナルカクテル・松乃碧を飲みながら、大人の時間を満喫しました。

 1回のクルーズ旅行で「陽気なイタリア船でインターナショナルな船旅を気軽に楽しみ、能登で花嫁になり、石川の伝統工芸に触れ、和の神髄を感じる旅館に泊まる」。今回は、そんな七色の味わいを堪能するちょっと欲張りな旅となったのでした。クルーズは、船上生活も、寄港地での楽しみ方も、前後の行程も自由自在。

 どうぞお好みに合わせた旅を実現して下さい。

    ◇

花嫁のれん館
http://hanayomenorenkan.jp/
電話0767-53-8743

炎と香り 高澤ろうそく店
https://www.takazawacandle.jp/
電話0767-53-0406

昆布・海産物處 しら井
http://konbuya-shirai.com/index.html
電話0767-53-0589

加賀屋別邸 松乃碧
http://www.matsunomidori.jp/
電話0767-62-8000

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PROFILE

上田寿美子(うえだ・すみこ)

sumiko ueda

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて30年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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