京都ゆるり休日さんぽ

京都の小さな美術館で見つける、小さな秋

  • 2017年9月1日

「何必館・京都現代美術館」の5階「光庭」。茶室にも作品が掛かる

  • 北大路魯山人展の展示風景。花を生けるなど、実際に「使う」ことでその美しさを伝えている

  • 北大路魯山人の傑作「つばき鉢」 1938年 (何必館・京都現代美術館蔵)

  • 祇園の四条通に面しており、観光の合間に立ち寄るにも便利

  • 疎水沿いの通りの一角にたたずむ「細見美術館」。設計は建築家・大江匡氏

  • 所蔵作品のモチーフをはじめ、さまざまなアートグッズや和小物がそろう「アートキューブ・ショップ」

  • 「麗しき日本の美 —秋草の意匠—」より、田中抱二「垣に秋草図屛風」(江戸後期~明治期)

  • 細見美術館最上階の茶室「古香庵」。岡崎の景観を楽しみながらお点前をいただける

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 二十四節気では、処暑(しょしょ・8月23日ごろ)を過ぎると暑さが和らぎ、朝夕の空気に秋の気配が漂いはじめる時期とされます。衣服や食べ物、お出かけ先などにも、少しずつ秋の気分を取り入れたくなる人も多いはず。外はまだまだ暑さの残るこの時期は、小さな美術館へ、秋のカケラを探しに出かけてみてはいかがでしょう?

光庭と魯山人に魅せられる「何必館・京都現代美術館」

 「何必館(かひつかん)・京都現代美術館」は、祇園の街の中心にありながら、近現代の美術工芸作品と美しい庭を擁(よう)する美術館。一瞬「何と読むのだろう?」と迷うこの名称は、定説を「何ぞ必ずしも」と疑ってみる自由な精神を願って、創設者で館長でもある梶川芳友(かじかわ・よしとも)氏により名付けられたのだそうです。

 現代的なビルの外観からは想像もできない、最上階にある「光庭(ひかりにわ)」という小さな庭が、この美術館のシンボル。吹き抜けの空間に円形の天窓から光が降り注ぎ、季節はもちろん時間帯によっても表情が変わっていきます。

 庭をのぞむ茶室には、掛け軸をはじめ写真や絵画が展示されることも。自由な発想で芸術と向き合いたいという精神は、そんなところにも息づいています。

 所蔵する日本画家・村上華岳(むらかみ・かがく)、洋画家・山口薫(やまぐち・かおる)の作品のほか、梶川氏がその美学に魅了された、北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)のコレクションは必見。初めて魯山人の器を手にしたときから、実際の生活で使ってみることで、その芸術性を体感してきたという梶川氏の、リアリティーのある魯山人像に触れることができます。

 開催中の「北大路魯山人展 —和の美を問う—」(9月24日 日曜日まで)では、「陶」「書」「茶」「花」「食」の五つのテーマに合わせ、コレクションから厳選した約100点を展示。花や料理、空間を引き立てることで静かな美しさをたたえた、魯山人の世界観を感じてみてください。

【何必館・京都現代美術館】
075-525-1311
京都市東山区祇園町北側271
10:00-18:00(展覧会により17:30)
入館料 一般1,000円、学生800円
月曜日定休、展示替え期間休館

京阪祇園四条駅から徒歩5分
http://www.kahitsukan.or.jp

琳派、茶室、アートグッズで美術を味わう「細見美術館」

 美術館やコンサートホールなどが集まる、京都きっての文化ゾーン・岡崎の小さな美術館が「細見美術館」。人気の伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)や琳派の作品、仏教美術、茶の湯の美術など、多彩な日本美術のコレクションに定評があります。

 コンパクトな建物の印象から一変、中に入ると中央の吹き抜けが心地よい開放的な空間が広がります。正統派の日本美術展から、近代や海外の作品を取り入れたユニークな切り口まで、さまざまなテーマで企画される展覧会が魅力。ミュージアムショップ「アートキューブ・ショップ」には、愛らしい子犬の絵で知られる神坂雪佳(かみさか・せっか)の小皿や、琳派・若冲モチーフの文具など、生活の中で楽しむアートグッズも豊富にそろいます。

 開催中の「麗しき日本の美 —秋草の意匠—」(10月9日祝日まで)は、日本美術に数多く描かれる「秋草」をキーワードに、琳派や若冲などの絵画作品から蒔絵(まきえ)や七宝などの調度品までを集めた優美な展覧会。四季の移ろいを繊細な感性でキャッチする、日本人の美意識のありように改めて気付かされます。

 また、最上階には、季節の和菓子と抹茶をいただくことができる茶室「古香庵(ここうあん)」が。数寄屋建築の名匠・中村外二(なかむら・そとじ)の遺作としても知られる茶室は、東に向かって開放されたすがすがしい造りで、東山の峰々を眺めながら一服することができます。

【細見美術館】
075-752-5555
京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
10:00-18:00(最終入館〜17:30)
入館料 一般1,200円、学生1,000円
月曜休館(祝日の場合は翌日休み)
地下鉄東西線東山駅から徒歩10分
http://www.emuseum.or.jp/

 季節の小さな変化にも心を傾け、その美しさをうつしとってきたことがうかがえる、日本の芸術。小さな美術館を訪ねて見つけた小さな秋に、目を凝らしてみてください。
(画像提供/何必館・京都現代美術館、細見美術館 文/大橋知沙)

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