世界美食紀行

オークランドはお酒好きのパラダイス!ローカルに人気の“サーブ”を満喫

  • 文・写真 江藤詩文
  • 2017年9月25日

ニュージーランドの先住民族マオリのことばで「ようこそ」と表示されたニュージーランド航空のビジネスクラス。マオリ語はニュージーランドでは公用語のひとつ

 私が乗った飛行機は、ほぼ定刻の午前8時過ぎにオークランドに着陸し、空港を出発したのが午前9時。オークランド市内中心部までは約20km、車で30分ほどと遠くないのですが、その間にとっておきの立ち寄りスポットがあると言います。それはワイナリー。夜行便で朝いちに到着した観光客に、さっそくワインを勧めるって……。これだから好きだわ、ニュージーランド。

空港から車で約10分。ニュージーランドらしい気持ちのよい風景が広がるワイナリー「ヴィラマリア」には、2014年にニュージーランドを訪問した安倍首相夫妻も訪れたそう

 ニュージーランドといえば、ダイナミックな大自然や人口より多いと言われるヒツジといったアウトドアのイメージがありますが、お酒好きなフーディーにとっては、バリエーション豊富な地元のお酒をたくさん飲める天国でもあります。ヨーロッパと共通する冷涼な気候はブドウの栽培に適していて、良質なワインを生み出すことで世界的に有名。日本にもさまざまなニュージーランド産ワインが輸入されています。

ワイナリー「ヴィラマリア」のテイスティングは朝から本気の8種類。家族経営のワイナリーで、低農薬や二酸化炭素削減などサステナブルな環境づくりにも取り組んでいます

 特にローカルのお酒好き女子に人気なのは、「ソーヴィニョンブラン」というブドウ品種のさっぱりとした白ワインです。“サーブ”の略称で親しまれ、昼下がりから「お茶しない?」のノリで「サーブしない?」。女子が集まれば恋愛話に花が咲くのは日本と同じで、東京の若い子がジャニーズの話で盛り上がるあのテンションで、「オールブラックス」(ニュージーランドの国技であるラグビーの国代表チーム)の選手にきゃあきゃあ言うのが、お国柄でおもしろい。

小さなブルワリーが手がけるクラフトビールや、醸造所併設のレストランも人気。ランチに訪れた「ブラザーズ ブルワリー」は大型の焼き台を備え、自家製のバーベキューを提供しています

 ワインだけではありません。イギリスの影響が強いニュージーランドは、パブ文化(ビール文化)が盛んです。加えて、環境に配慮して美しい自然が守られているため、水の質がいい(余談ですがニュージーランドは水道水をそのまま飲める世界で数少ない国のひとつ)。ということは、いい水からいいビールが造られるわけで、世界的なトレンドになっているクラフトビールをはじめ、訪れる街ごとにいろいろなローカルビールを味わえるのです。

ニュージーランド航空の機内食には、オークランドをベースに活躍するふたりのスターシェフがプロデュースするメニューも。日本線では和食も含めて前菜は2種類、メインは3種類から選べます

 振り返れば、行きのニュージーランド航空の機内から、ワインもビールも選び放題。ちょっとしたバーに勝るとも劣らない品ぞろえでした。ビジネスクラス「ビジネス・プレミア」では、泡2種類、ニュージーランド全土から選び抜かれた国産ワインが赤白各3種類ずつ。国産ビールもずらりとそろっていましたが、180度フルフラットになるベッドに寝そべって映画を見ながら、ワイン8種類を制覇するだけで精一杯でした。不覚……。このとき味わったワインのひとつが「ヴィラマリア」というワイナリーのもので、このワイナリーが空港からすぐそばにあったのです。

ほとんど生に近いホタテの絶妙な火入れ、存在感のあるエディブルフラワーとハーブ、日本料理にインスパイアされた皮を焦がしてシソオイルに漬けたキュウリのピクルスなど、世界のトレンドを踏まえた「シダート」の前菜

 これだけ上質なお酒があれば、お酒に合った料理も発達するもので、オークランドのファインダイニングがいま、世界のフーディーから注目を集め始めています。多国籍多文化の国らしく、活躍しているシェフの出身地もさまざま。私が訪れた2軒のファインダイニングでは、1軒ではインド人シェフが、もう1軒では日本人シェフが、腕をふるっていました。

「カズヤ レストラン」のメニューはコースのみで「心躍る」や「定点」など詩のようなワードが並んでいます。これはシグネチャーディッシュの「テクスチャー」。この日は30種類以上の野菜がそれぞれに合った調理法で料理されて盛り合わせられていました

 日本のイタリア料理界の発展に貢献した有名シェフに師事し、リストランテで20年以上の経験を積んだ日本人シェフ、山内和哉さんは席数わずか25席の、目の行き届く隠れ家のようなレストラン「カズヤ レストラン」を2012年にオープン。確かな技術に裏打ちされた美しくクリエーティブな料理は、グルメ雑誌やグルメサイトのランキングでは、常に上位にランクインしています。

 それにしても、料理の世界において日本人の活躍ぶりの目覚しいことといったらどうでしょう。山内さんは、若い日本人に海外で経験を広げるチャンスを得てもらうため、日本人を積極的に採用しているとか。世界で活躍する未来の人気シェフが、ニュージーランドから生まれるかもしれません。

「カズヤ レストラン」の山内和哉さん(左からふたりめ)と若手日本人スタッフたち。5皿、7皿、おまかせコースがありおすすめはクリエーティブな料理が満載のおすすめ。特に週末は早めに予約を

■トラベルデータ

日本からニュージーランドのオークランドへは、ニュージーランド航空が直行便を飛ばしている。成田からオークランドへの飛行時間は10時間35分。
公用語は英語、マオリ語、手話。
時差はプラス3時間(取材時。現在はサマータイムが適用されプラス4時間)。通貨はNZドルで、1NZドル=約84.5円。
*データは2017年6月〜7月取材時のもの

■MEMO:旅と交通

ニュージーランド航空は、今回の旅で私が搭乗した成田=オークランド線(毎日運航)にプラスして、7月21日より羽田=オークランド線の運航を週3便追加しました。10月30日からは、オークランドから羽田への到着便が朝5時55分に変更され、日本各地への同日乗り継ぎが可能になります。

■取材協力:

ニュージーランド航空

ニュージーランド政府観光局

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PROFILE

江藤詩文(えとう・しふみ)トラベルジャーナリスト

江藤詩文

トラベルジャーナリスト、フードジャーナリスト、コラムニスト。その土地の風土や人に育まれたガストロノミーや歴史に裏打ちされたカルチャーなど、知的好奇心を刺激する旅を提案。趣味は、旅や食にまつわる本を集めることと民族衣装によるコスプレ。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」シリーズ3巻。「江藤詩文の世界鉄道旅」を産経ニュースほかで連載中。

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