世界美食紀行

非アウトドア派でもラクチンに楽しめるニュージーランド・ダニーデン、テカポ湖でネイチャー体験

  • 文・写真 江藤詩文
  • 2017年10月10日

テカポ湖の星空観賞のアイコンとしてあまりにも有名な「善き羊飼いの教会」。この風情ある小さな教会が一面の星空に包まれるはずだったのに! ちなみにここで挙式をするカップルも多く、この日は2組が行っていました

 嘘っ。のんびり起きた朝、カーテンを開けた私は目を疑いました。見渡す限り続く真っ白な世界。静まり返った街にさらさらと降り注ぐ粉雪。そう、雪、雪なんです。

 しつこく繰り返しますが、ニュージーランドを訪れたのは7月。この日は私がいるテカポ湖のあたりに、この冬はじめての雪が降り積もったのでした。しかも地元メディアによると24cmも。

「国際ダークスカイ協会」の小澤英之さんおすすめのテカポ湖名物「サーモン丼」。水の美しいこのあたりはもともとサーモンの漁場だそうで、きれいな天然水で養殖されたサーモンは、脂が乗っているのにさっぱりして食べやすい

 ニュージーランド南島のテカポ湖といえば、日本人には何と言っても手の届くような満天の星で有名です。このあたりは「国際ダークスカイ協会」によって世界最大規模の「ダークスカイリザーブ」(星空保護区)の金賞に認定されていて、現在は開発されていない小さな街の暗闇とそこから眺められる星空を目当てに、世界中から観光客がやって来ます。

アウトドアの温水プール「テカポスプリングス」は、子どものいるファミリーに大人気。トリートメントを受けられるスパやアイススケート場も併設しています。トレッキングをしなくても、温水につかって眺める山脈が美しい

 そんなテカポをかつて大型再開発計画から守り、星空と街の静けさの保護に貢献したひとりが日本人というから誇らしいではありませんか。テカポ在住の日本人、小澤英之さんは星空と自然が好きすぎてニュージーランドへ移住し、現在は旅行会社を経営して、日本語で星空ガイドをしながら暗闇を守る活動を継続している星空マニア。星空写真を得意としていて、ツアーでは撮影の指導やお手伝いもしていただけるそうです。ただし晴れてさえいれば。

ニュージーランドで唯一の城といわれる、オタゴ半島の「ラーナック城」。手入れの行き届いた英国式ガーデンも季節の花が咲き美しいのですが、高台に建つお城から一望するオタゴ半島もまた絶景です

 ま、降ったものはしょうがない。テカポには雪や悪天候でも楽しめるアクティビティーが意外にあり、ニュージーランドらしいカフェめぐりをしたり、小澤さんおすすめの屋外大型温水プール「テカポスプリングス」を訪れたり、小澤さんお気に入りの和食を食べたり、のんびりと過ごしました。

「ラーナック城」では暖炉の前で英国式アフタヌーンティを楽しめます。イギリスの影響が強いだけあってスコーンとクロテッドクリームが秀逸。ここでお茶してからペンギンに会いに行くルートがおすすめです

 ところで。私がニュージーランドを旅するというと、もっとも多く寄せられた質問が「アウトドア以外で何ができるの?」でした。確かに一般的なガイドブックやツアーの案内を読むと、たとえばテカポ湖の場合「夜は星空観賞、昼はハイキングやトレッキングがおすすめ」といった具合に、体力勝負のアウトドアアクティビティーが目につくのです。

 非アウトドア派で日ごろ都会の便利な生活にすっかり甘やかされ、体力にも自信がないアラフォー女子にとって、これはけっこうな心配のタネでした。とは言え欲張りな旅人としては、せっかく来たのだから、ニュージーランドらしい大自然を満喫したいのも本音です。

ニュージーランドで欠かせないのが個性的なカフェめぐり。ヘルシーやオーガニックといったトレンドが定着していて、ビーチ沿いの人気カフェではチアシードやケールのスムージーといった今どきメニューを味わいました

 この国はそれを両立できるシステムが発達しているのだな、というのが今回の旅の大発見。前回リポートしたネイチャー系ロッジ「ツリートップス ロッジ&エステート」もそのひとつですし、南島のダニーデンとオタゴ半島もそう。オタゴ半島では、ほんのお散歩程度のウォーキングでロイヤルアルバトロス(アホウドリ)とペンギンの保護区にアクセスでき、よちよちとつたない足取りで歩くイエローアイドペンギンの群れに、時間が経つのを忘れるほど夢中になりました。

スーツを着こなしたドライバーさんがピカピカに磨き上げたジャガーの新車でドライブしてくれるという、非アウトドア派のためにはじまった新サービス。世界一の急な坂道「ボルドウィンストリート」を何度も往復できるのは車ならでは

 ほかにも「世界一の急勾配」といわれるほどの坂道は歩かずに、ドライバーさん付きのジャガーでアクティビティーを利用したり、絶景はトレッキングをパスして観光列車の車窓から鑑観賞したり。今回は雪のために飛べませんでしたが、絶景で知られるマウントクックも、登山せずに遊覧飛行というラクな手段が選べます。

登山はしなくても、ダニーデン発の観光列車「タイエリ渓谷鉄道」に乗り、ドリンク片手に車窓から渓谷が織りなす絶景を観賞。ニュージーランドの乗り物ですから、食堂車には地ビールや地元のワインがそろっているのです

 もちろん「苦労するからこそ絶景を前にした感激はひとしお」というのもあると思います。けれども体力に自信がなく、「同行者や同じツアーの参加者の方に迷惑をかけてしまうかも」と気にして悩むくらいなら、いっそ優雅なスケジュールを組んでしまうのも一案というもの。特に私と同じアラフォー女子には、こんな、らくらくネイチャー体験をおすすめします。

個人インスタに投稿したらお問い合わせをいただいたので説明を。これ、エコノミークラスですが勝手に3席独占したわけではなく、3席つなげてベッドにできるというニュージーランド航空の「スカイカウチ」という世界で唯一のシートなんです。小さな子どもとお母さんが寄り添って寝ていたりしてほほ笑ましい

■MEMO:旅の予約

絶景を駆け抜ける観光列車「タイエリ渓谷鉄道」は通年で運行しています。全席指定席の完全予約制で、ピークシーズンは客車を増やし、増便するそうですが、特に週末は早めの予約がおすすめ。

乗車券のみのチケットのほか、お弁当の引換券付きのパッケージ乗車券もあり、サンドイッチやスナックといったニュージーランドらしい軽食が詰め合わせになっています。食堂車には軽いメニューのみ用意されているので、しっかり食事をとりたい場合は、お弁当付きがベターです。

■取材協力:

ニュージーランド航空

ニュージーランド政府観光局

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PROFILE

江藤詩文(えとう・しふみ)トラベルジャーナリスト

江藤詩文

トラベルジャーナリスト、フードジャーナリスト、コラムニスト。その土地の風土や人に育まれたガストロノミーや歴史に裏打ちされたカルチャーなど、知的好奇心を刺激する旅を提案。趣味は、旅や食にまつわる本を集めることと民族衣装によるコスプレ。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」シリーズ3巻。「江藤詩文の世界鉄道旅」を産経ニュースほかで連載中。

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