沿線ぶらり女子旅

何もないぜいたく、ムーミン列車で話題のいすみ鉄道で房総まったり半日旅

  • 文・写真 ライター 木下あやみ
  • 2017年10月18日

「デンタルサポート大多喜」駅に滑り込む列車。この鉄道を走る列車はディーゼル車でムーミンラッピングの列車はオールロングシートになっている

 房総半島南部を走る「いすみ鉄道」は全14駅、約26.8キロメートルを走る第三セクターのローカル鉄道です。近年、話題のこの鉄道の列車には、沿線名物の菜の花畑をイメージした黄色い車体に「ムーミン」の登場キャラクターが描かれています。また車窓からはのどかな田園地帯や森を望めて、まるでムーミン谷を旅しているような気分を味わえます。

 今回は「デンタルサポート大多喜」駅までシナガワ グース(品川駅近く)から京浜急行バスで移動。そこから「大原」駅までいすみ鉄道の旅を楽しみました。この選択が吉と出て、混雑に遭うことなくのんびりとした旅ができましたよ。

歴史と豊かな自然を肌で感じる、城下町として栄えた大多喜町

関東の駅百選の第2回選定駅である「デンタルサポート大多喜」駅。いすみ鉄道が大多喜駅の命名権を販売し、デンタルサポート(歯科)が命名権を取得した

 バスを降りると、そこは面積の約70パーセントを森林が占める自然豊かな城下町、大多喜町。「房総の小江戸」と称されるこの町には、江戸時代の面影を残す歴史的建造物が点在しています。

ムーミンのメインキャラクターがデザインされた車体。菜の花をイメージした黄色とムーミンキャラクターのポップ&キュートな雰囲気がマッチしている

 時刻表を確認したところ40分ほど時間があったので、嘉永二年(1849年)に建築され、国の重要文化財に指定された「渡辺家住宅」を訪れました。この家の内部は見学できませんが、現存する貴重な町家の外観を眺めることができます。大多喜町は、他にも江戸時代から続く造り酒屋「豊乃鶴酒造」や大多喜城などがあり、江戸の風情がたっぷりの街です。

ムーミン列車のデザインをじっくりと見られる! デンタルサポート大多喜駅

車内の窓に貼られたムーミンのステッカー。こちらはムーミンのお母さんとお父さん。子どもの頃に見たアニメ版のムーミンを思い出して懐かしい気分になった

 列車到着の10分前に「デンタルサポート大多喜」駅へ。ホームに出ると、ガラスに貼られたキャラクター「ニョロニョロ」のステッカーやミーの描かれた看板を発見しました。

 しばらくしてムーミン列車がホームに入ってきました。駅員さんによると停車時間は約5~10分とのこと。その間に車体に描かれたムーミンのデザインをじっくりと見たり、撮影したりできます。ムーミンに登場するメインキャラクターがそろった車体のデザインは、キュートで見ているだけで気持ちが和みました。

いすみ鉄道の車窓に広がる景色。田園地帯の緑と空の青さが眩しい。夏の終わりということもあり井上陽水の曲「少年時代」を連想させる光景でもあった

 車内もムーミンのキャラクターがいっぱいで賑やかです。また驚いたのはアナウンス。車窓から見える景色を丁寧に説明してくれ、まるでガイドさんのいる観光列車に乗っているようでした。

何もないぜいたくを味わえる、一面が田園地帯の車窓からの景色

「風そよぐ広場」にあった手作り感満載のオブジェ。ドラム缶を土台にして作られている。この他にもムーミンを模して作られたオブジェが二つほどあった

 「風そよぐ谷 国吉」駅へ向かうまでの間、車窓から田園地帯を望めます。この牧歌的な風景こそが、いすみ鉄道の人気の秘密でもあるのです。あぜ道と田んぼしかありませんが、どこまでも広がる日本の田園風景に心が癒やされていくのを感じました。最近よく聞く「何もないぜいたく」とはきっとこのようなことを指すのでしょう。車内の乗客も目の前に広がる景色に夢中な様子でした。

ムーミンショップ「VALLEY WINDS」がある、風そよぐ谷 国吉駅

写真中央がムーミンショップ「VALLEY WINDS」で人気のフェイスタオル。ムーミン好きにはたまらないグッズでいっぱいだ

 「風そよぐ谷 国吉」駅の構内にはムーミンショップ「VALLEY WINDS」があります。ショップに入ると、ムーミンのぬいぐるみ、ステーショナリー、雑貨などバラエティに富んだムーミングッズが並んでいました。店員さんに一番人気の商品を聞くと「フェイスタオル」とのこと。ムーミンがデザインされたタオルは数種類あり、どれもかわいかったです。みなさんもご存知の通り、ムーミンはフィンランド生まれ。北欧らしいカラフルなデザインのグッズが多く、素敵なショップでした。さらにこちらではいすみ鉄道のオリジナルグッズも手に入ります。

車窓から見える池のほとりに置かれたムーミンのキャラクターたち。ミーは池で釣りをしているようだが、草木が生い茂り、ややわかりづらかった

 駅の線路を渡ったところにある「風そよぐ広場」には、ムーミンの姿も。地元の人たちが少しでもいすみ鉄道を盛り上げようと、ムーミンのオブジェを手作りしたそうです。しかし、残念ながら著作権の問題があり、今はその数が減ってしまったとのこと。広場はコスモスの花が咲き乱れ、高校生だと思われる女子が「こんにちは」と明るく声をかけてくれて、とても良い雰囲気でした。このように地元の人たちとささやかな交流が持てるのもいすみ鉄道の魅力のひとつですね。

見逃せない! 森の中に突如現れるムーミン池

「大原」駅の構内にあるショップ。いすみ鉄道のオリジナルグッズを求める観光客でにぎわっていた

 再びいすみ鉄道に乗ると、今度は森の中を走り抜けていきます。線路の周りの木々の枝が列車にぶつかる音も聞こえて、北欧の深い森の中にいるような気分になりました。「上総東」駅から「西大原」駅に向かう途中には、森の池のほとりにムーミン一家とスナフキン、ミーの姿が。車掌さんがアナウンスと徐行運転をしてくれるため、はっきりと目にすることができますよ。ムーミン好きなら一度は見ておきたい日本のムーミン池だと言えるでしょう。

 ほどなくして「大原」駅に到着。ホームには学生があふれていました。この駅の近くには高校があるそうで、学生の乗降が多いとのこと。またこの駅の構内にあるショップでも、オリジナルフードである「い鉄揚げ」や「いすみ鉄道もなか」などを購入できます。お土産として購入するのもいいかもしれません。

 あっという間のいすみ鉄道の旅でしたが、ムーミンに出会い、自然に囲まれて完全にリフレッシュできました。菜の花が美しい春に訪れるのもいいのですが、いつ訪れても自然の美しさを堪能できる鉄道です。ちょっと楽しい気持ちになりたくなった休日は、ぜひいすみ鉄道に乗ってみてくださいね。

<アクセス・関連サイト>

いすみ鉄道株式会社

京浜急行バス

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