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マドリードから日帰りで行ける スペイン帝国の栄光を刻む世界遺産[PR]

  • 2017年11月30日

 スペインを旅する魅力の一つが、バラエティーに富んだユネスコの世界遺産です。その数は、イタリア、中国に次ぐ46件。地域ごとに強い個性を主張する伝統と、国外からのさまざまな文化が織りなす建造物や景観に、訪れた人々は息をのむでしょう。

 なかでも注目のエリアが、首都マドリードのあるマドリード自治州。スペイン帝国の黄金時代を象徴する三つの文化遺産と一つの自然遺産が、中心部から日帰りで行ける距離にあります。マドリード市街地でプエルタ・デル・ソル、王宮、プラド美術館、サッカー観戦などの観光を楽しむだけでなく、世界遺産の町に足を延ばして歴史や自然に触れてみるのはいかがでしょうか。

絶頂期のスペイン帝国を象徴する壮大な建築(エル・エスコリアル修道院)

政治の中心でもあった巨大なエル・エスコリアル修道院

 マドリードから北西に約60キロ、グアダラマ山脈のふもとの松林に囲まれた町に、その壮大な建造物はそびえます。スペイン国王フェリペ2世(1527-1598)の命で建設が始まった、王立サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアル修道院。フランスとの戦いに勝利したのを機に造営され、ハプスブルク朝やブルボン朝の歴代の王がまつられた世界文化遺産です。

 フェリペ2世の治世当時のスペインは、「太陽の沈まない帝国」と言われる黄金時代を迎えていました。ヨーロッパ各地に領土を持ち、ポルトガル王も兼ねたことで広大な海外植民地を領有。その一方で、カトリック国家として宗教改革の波に対抗し続けるものの、オランダの独立戦争が起こり、無敵艦隊がイギリスに敗れるなど、栄華にも陰りが見え始めていました。

 東西162メートル、南北207メートルの敷地に花こう岩で作られた修道院には、約300の部屋、16の中庭があります。1584年に建物が完成すると、フェリペ2世がこの場所にこもって政務をとり、国政の中枢としても機能しました。敬虔(けいけん)なカトリック教徒だった彼を象徴するかのように、建物の外観や自身の寝室は質素なデザインとなっています。しかし、他の部屋は歴代の国王によって華やかな装飾で彩られています。彫刻や金細工のほか、エル・グレコ、ベラケラス、リベラらの絵画も魅力の一つ。巨大な祭壇、美しい庭園、図書室などにも見どころが満載です。

 完成直後には日本から天正遣欧少年使節が訪れるなど、16世紀の世界史を集約したかのような世界遺産。約5キロ先には、国王が工事を見守った「フェリペ2世の椅子」と呼ばれる高台があります。素晴らしい景色を眺めながら、スペイン帝国の興亡に思いをはせるのもよいでしょう。周囲の美しい庭園や、皇太子や王子のために建てられた館でも、芸術に触れることができます。

歴史に彩られてきた、緑豊かな王家の離宮(アランフェス)

スペイン王室ゆかりのアランフェスの王宮

 フェリペ2世によって名付けられたこの町も、歴代スペイン王室ゆかりの地。王宮と庭園を含む文化的景観が2001年、世界文化遺産に登録されました。マドリードから約50キロ南にある避暑地で、庭園の豊かな緑が観光客や市民をなごませています。

 18世紀に本格的な王宮として整備され、修築や増築を経て現在の姿に完成しました。王宮内の部屋は美しく装飾され、なかでも「陶磁器の間」は部屋の一面を陶磁器が覆う絶景スポットです。川に沿って「王子の庭園」「島の庭園」などがあり、散策も楽しめます。その端にひっそりと建つ「農夫の家」は、18世紀末に国王が離れとして建てたもので、王宮にも劣らないほどの豪華さです。

 歴史のさまざまな舞台に登場するこの地。紀元前には、カルタゴの将軍ハンニバルがローマ軍に勝利したそうです。ナポレオンの時代の1801年にはフランスとの間にアランフェス条約が署名され、1808年は暴動が起きたことによって、実質フランスの支配下に。20世紀前半にホアキン・ロドリーゴが作曲したアランフェス協奏曲は、内戦が続いていた時代に平和への祈りを込めた曲と言われています。

 春と秋には、マドリードから蒸気機関車「イチゴ列車」が運行。車内でイチゴを振る舞うサービスがある観光列車で、1851年に開通したスペインで2番目の鉄道路線の名前を再現したものです。

『ドン・キホーテ』作者を生んだ大学都市(アルカラ・デ・エナーレス)

大学都市アルカラ・デ・エナーレスの象徴サン・イルデフォンソ学院

 大学の町として知られるアルカラは、マドリードの約30キロ東に位置し、スペインの黄金時代には学術や文化の中心地として栄えました。15世紀末に創設された大学とともに都市計画が進められ、世界初の多言語対訳聖書を刊行したことなどにより、「アルカラ・デ・エナーレスの大学と歴史地区」として世界文化遺産に登録されています。

 19世紀に大学がマドリードに移転しましたが、市民らが建物を保持し、1977年に新しいアルカラ大学が開校。再び大学都市として発展を続けています。キャンパスは観光名所にもなっていて、大学本部があるサン・イルデフォンソ学院は16世紀の威厳を感じさせる建物。「哲学者のパティオ」や「三カ国語のパティオ」と名付けられた中庭も残されていて、礼拝堂や講堂の建築も一見の価値があります。

 『ドン・キホーテ』著者の文豪セルバンテス(1547-1616)も、この街の出身。生まれ育った家は博物館になっており、正方形の中庭を囲む住居に当時の生活を再現しています。図書館もあるほか、物語に登場するドン・キホーテとサンチョの像が建てられていて、SNSに載せる写真を撮影するポイントになっています。

 サン・ベルナルド修道院やアンテサナ病院といった歴史的建造物のほか、スペインで最も長いアーケードと言われるマイヨール通りでも、中世の歴史を感じることができます。

ブナ原生林で紅葉と多様な生態系を体験(アジェド・デ・モンテホ)

手付かずの自然が残されたアジェド・デ・モンテホの原生林

 最も新しい世界遺産の一つであるアジェド・デ・モンテホは、「カルパチア山脈など欧州各地のブナ原生林群」の対象として今年7月、世界自然遺産に拡大登録されました。秋の紅葉が非常に美しいのはもちろん、四季を通じて多様な生態系を目の当たりに楽しめます。

 マドリードの約100キロ北方、アイジョン山地のふもとに広がる、ブナ科のブナ、ナラ、ピレネーオークなどで構成される原生林。1974年に国立公園(Natural Site of National Interest)となり、数千年にわたって残されてきた森の風景や多様な動植物の保護が、行政によって進められています。1400本以上の樹木のモニタリングや気象観測基地からの情報で、森の変化の状態を常に観測しており、地球温暖化など気候変動の影響を測る「自然の実験室」でもあります。

 森のユニークさ、はかなさを教えるプログラムやツアーも開催。自然保護区域のため、森に入るためには、無料のガイドツアーに申し込むことが必要です。サイトで事前登録することができます。

Turismo Madrid(マドリード州観光局)

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