絵本のぼうけん

絵本の中のクリスマス “Christmas Trees”

  • 前編
  • 2017年12月5日

  

  • 『クリスマス』作:バーバラ・クーニー 訳:安藤紀子(ロクリン社)*2015年復刊

  • 『ちいさなもみのき』作:マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵:バーバラ・クーニー 訳:上條由美子(福音館書店)

  • 『バーナデットのモミの木』原作:アンデルセン 絵:バーナデット 訳:ささきたづこ(西村書店)

  • 『ロッタちゃんとクリスマスツリー』作:リンドグレーン 絵:ヴィークランド 訳:山室 静(偕成社)

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 街を歩けば、キラキラ光るクリスマスツリーに次から次へと出会う12月。日本のクリスマスはにぎやかで、お楽しみ盛りだくさんですが、子どもたちも、大人もサンタに負けず大忙し! そんな時はゆったりとおうちで絵本を囲めば、本来の静かなクリスマスが伝わってきます。今月の絵本のぼうけんは、前・後編にわたって、とっておきのクリスマス絵本をご紹介します。

クリスマスってどんな日?

 『クリスマス』(ロクリン社)では、クリスマスの由来やそれぞれの国のクリスマスの慣習や文化を、絵本作家バーバラ・クーニーが美しいさし絵と共に伝えてくれます。キリスト教の誕生以前から、ヨーロッパ各地では12月に太陽の復活を祝う冬至の祭りが行われてきたこと、イエスが生まれてから300年以上たってから、イエスの誕生を古くからの祭りと同じ12月に祝うようになったこと、よい子にごほうびをもってくるサンタの原型は、北欧神話の神オーディンだったこと、などなど。アメリカだけでなく、ヨーロッパのクリスマスについてあらためて知ることのできる一冊です。1967年に出版された原著(英語版)は残念ながら入手不可能になっており、日本語版で私たちがこの作品に出会えるのはうれしいかぎりです。

クリスマスツリーにこめられた祈り

 バーバラ・クーニーは、他にも多くのクリスマスの物語のさし絵を手がけています。『ちいさなもみのき』(福音館書店)は、足を患って歩くことのできない男の子と、森のはずれに立つ小さなモミの木との心温まるお話。子どもたちの祈りを届けるクリスマスキャロルの楽譜も描かれており、読んでいる私たちも一緒に歌うことができる特別な一冊です。元気になった男の子の家に飾られたクリスマスツリーにはジンジャークッキーと赤いりんご。アメリカの古き良き時代のクリスマスの風景がよく描かれています。

 モミの木をテーマにした物語に触れると、どこかにアンデルセン童話「もみの木」とのつながりを感じます。早く大きくなりたいと願い、外の世界を夢見ますが、「今を生きなさい」と諭されるモミの木。成長してクリスマスツリーとして華やかな時間を過ごしますが、クリスマスが終わり薪として燃やされてしまう……。デンマークの詩人、ハンス・クリスチャン・アンデルセンが1844年に出版した「もみの木」のお話。日本語版にもさまざまなバリエーションがありますが、子どもたちにはやさしい挿絵が美しい『バーナデットのモミの木』(西村書店)をおすすめしています。

スウェーデンのクリスマスツリー

 『長くつ下のピッピ』『やかまし村の春・夏・秋・冬』(共に岩波書店)などスウェーデンを代表する絵本作家、アストリッド・リンドグレーンも、たくさんのクリスマスの物語を子どもたちに届けてくれています。中でも、おてんばだけど愛嬌(あいきょう)いっぱいの末娘ロッタの物語『ロッタちゃんとクリスマスツリー』(偕成社)は、クリスマスには必ず読みたくなる一冊です。「あたい、やろうとおもいすれば、なんだってできるのよ」(本文より)と宣言したロッタは、売り切れてしまったクリスマスツリーを探すために街へ出かけます。勇敢で機転のきくロッタならではの不思議なハプニングのおかげで、立派なモミの木を持ち帰ることに成功!家族みんなでロッタの自慢ばなしを聞きながら、ツリーを飾ります。ページの最後には、スウェーデンの伝統工芸である白樺(しらかば)のカゴ、麦わらの星飾り、ハート形のオーナメントに彩られた北欧のクリスマスツリーが描かれています。

 ぜひみなさんも、絵本の中からお気に入りのクリスマスツリーを見つけてください。次回 [後編]は、“The Night before Christmas”と題して、クリスマスイブをテーマに絵本をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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PROFILE

長嶺今日子(ながみね・きょうこ)

子ども一人ひとりの個性に合わせて絵本を選び届ける「ブッククラブえほんだな!」主宰。子育て支援のイベントやライブラリーの選書も手がける。また、多言語による読み聞かせ活動にも長年携わっている。「ブッククラブえほんだな!」

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