一杯飲みながら、旅人だってできるポートランドのユニークDIY

  • 文・写真 小野アムスデン道子
  • 2018年1月10日

 自動車より自転車、大手のチェーンより地元のお店、でき合いの消費財より手作りの品。そんなオルタナティブなライフスタイルで注目のアメリカ西海岸オレゴン州のポートランド。暮らし方にこだわりを持つ人が多いこの街では、DIY(Do It Yourself 「自分自身でやる」の略)はすべての人が楽しめるものという考え方も徹底している。

  

 DIYは、道具がそろってないし、面倒くさそう、という食わず嫌いの人でも大丈夫。DIYのための場所や専門の道具を貸し出すところ、品質がよくて値段の安いリサイクルの資材を集めて売っている「リビルディングセンター」など、モノづくりの街・ポートランドにはバラエティーに富んだDIYのための店があるからだ。

 中でも、DIY初心者で、ポートランドには旅行で来たという人でも気軽にクラフトに取り組めると話題なのが、市の北地区の再開発エリアに2017年春に出来た「DIY バー」。バーという名の通り、有名なクラフトビールを楽しみながら、気軽にDIYを楽しんでしまおうという趣向の店だ。

  

 場所は、ダウンタウンから44番バスで15分ほどのN Williams & NE Fremont のバス停留所からすぐ。公共交通機関を利用して行けるのもポートランドらしい。

 創業したゴースキ兄弟の弟アダムは「DIYバーは、それほどクラフトが身近でない人のためのクラフトの場所なんだ。だから、半分をバーにしたわけ。材料や道具、作り方もすべてそろえてあって、椅子に座ったらもうクラフトに取り組める。モノづくりの楽しさや遊び心を忘れている大人の人に来てもらいたいよ」と語る。

  

 いちばん簡単にできるラゲージタグなど革製品、木工、アクセサリーなど自分たちで作るクラフトのプロジェクトは14種類。ヌメ革の端を利用したものや、ナットを編み込んだブレスレット、釘と糸で作り上げるアート作品など身近にあるものを生かして作れるものが多い。

  

 彼ら自身、この店を「リビルディングセンター」で入手した廃材などを利用して作った。「資材を無駄にしないで、この店を作ったというのは、ちょっとうれしいことなんだ」と胸を張る。このモノを生かすDIYの喜びをこのお店で感じとってほしいのだという。

 難易度と所要時間(1〜3時間)は作るものによるが、料金はどれでも39ドル(ビールは別料金)。面白いのは、バーらしくハッピーアワーがあること。火〜木曜の午後3〜6時は、一部のプロジェクトが10ドルオフになる。

  

  

  

 「何を作ろうかな」などと話しながら、まずはクラフトビールを注文。ハッピーアワーを利用して29ドルで、1時間でできる革のラゲージタグに挑戦することにした。材料や用具など必要なものは小さなバケツに入っていて、エプロンや写真入りの説明文と共に机の上に置かれている。本当に、座ったら目の前にはすべてがそろっている。

 まず、洗濯バサミで革と型紙を固定。タグの形と穴あけ位置を記して、切っていく。同じ型で二つのラゲージタグができる。穴あけとハトメは金槌で打ちつける。アルファベットの刻印は逆にならないように、ちょっと慎重に。そして最後は革の染色もする。

  

  

 「ここはどうするの?」とか言いながら、作品を作っていく楽しさ。小学校の工作の時間以来かも。オリジナルのラゲージタグが、本当に1杯ビールを楽しんでいる間に出来た。ちょっと苦労の跡を自慢したくなるような自作のクラフト。そして、クリエーティブな気持ちが少しよみがえったことが、何よりポートランドに来た良い思い出になる場所だ。

DIY BAR
住所:3522 N Vancouver Ave, Portland, OR 97227
電話 :5033-477-6090
https://www.diybar.co

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PROFILE

小野アムスデン道子

小野アムスデン道子

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについての執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。

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