京都ゆるり休日さんぽ

京都に“あのカボチャ”が出現! 祇園の新名所「フォーエバー現代美術館」

  • 2018年1月19日

 祇園の芸・舞妓さんらが舞などの練習や「都をどり」などの催しを行う祇園甲部歌舞練場の敷地に、昨年初夏、あの有名なカボチャのパブリックアートが出現しました。日本の現代美術を代表する前衛(ぜんえい)芸術家の一人・草間彌生(くさま・やよい)氏による、ドット模様の巨大な「南瓜」。花見小路通りや建仁寺へと歩く人々の視線をクギ付けにするこのカボチャが、2017年6月にオープンした「フォーエバー現代美術館」のウェルカム・アートです。

祇園甲部歌舞練場内に置かれた、草間彌生のパブリックアート「南瓜」。歌舞練場前を通って思わず足を止める人も多数

 「フォーエバー現代美術館」は、秋田県の医師であり世界的な草間彌生作品のコレクターでもある穂積恒(ほづみ・ひさし)氏によって、秋田で10年以上活動してきた美術館。世界中から観光客が集まる京都・祇園へと舞台を移し、歌舞練場内の伝統的日本建築「八坂倶楽部(やさかくらぶ)」のしつらえを生かしてアートを展示することで、全く新しい芸術との出合いを体験できます。

舞台座敷に展示された「私の魂を乗せてゆくボート」(草間彌生/1989年)

 現代アートの多くは、ギャラリーや美術館で立って鑑賞することが主流。しかしここでは、床の間や襖絵(ふすまえ)で美術を味わう日本の鑑賞スタイルにならい、畳に座っても作品を鑑賞できる展示空間になっています。本来障壁画が描かれる襖を展示壁として整備し、展示室ごとに浅葱(あさぎ)色、弁柄(べんがら)色など京都の花街で好んで用いられてきた色に。2階の第4展示室では舞台座敷に立体作品が展示されるなど、花街の文化と現代アートが不思議な調和をかもしだしています。

床の間や和照明など、日本の美術鑑賞様式を取り入れた展示室。混雑していなければ座っての鑑賞も可能

 伝統的な空間に身を置き、時には畳に腰を下ろして作品と対峙(たいじ)すると、アートの持つエネルギーやメッセージがより確かに伝わるような感覚が。一般的な美術館では通り過ぎていくかのように鑑賞していたアートが、グッと質量と体温を持って訴えかけてくるはずです。

襖のような展示壁が広間を仕切るように構成された第4展示室。奥に舞台座敷が

 コレクションの6割近くは草間彌生作品で、日本でより精力的に創作をはじめた1990年代の作品群が充実。中でも、版画(シルクスクリーン)作品は草間氏が制作した全372点のうち95%を所蔵しており、作風の変化や流れを知る貴重な資料となっています。オープニング展として間もなくフィナーレを迎える「フォーエバー現代美術館コレクション 草間彌生 My Soul Forever 展」(2月25日まで) のほか、草間彌生の作品は常設で展示。今後、さまざまな切り口で展開される企画展も楽しみです。

KYOTO GION MUSEUMCAFE(キョウト・ギオン・ミュージアムカフェ)の「草間彌生ロールケーキ」(864円・税込み)

 館内にはミュージアムカフェとショップがあり、限定メニューやグッズを購入することができます。草間ワールドを象徴するドット模様のスイーツのほか、野菜たっぷりのカラフルなランチなどのカフェメニューは、大阪の人気カフェ「NORTHSHORE(ノースショア)」がプロデュースしたもの。思わずSNSに投稿したくなる、フォトジェニックなフードが満載です。

庭園を眺めることができる「庭園ギャラリー」。縁側の後ろには京唐紙(きょうからかみ)があしらわれている

 前衛的な現代アートやスタイリッシュなミュージアムカフェを楽しみながらも、ふと日本の伝統美に気づかせてくれるのが、この美術館の醍醐味(だいごみ)。第3展示室をぐるりと囲む縁側は、見事な日本庭園を眺めることができる「庭園ギャラリー」になっています。築100年を超える有形文化財でもある八坂倶楽部と現代美術との時空を超えた出合いに、アートの豊かさを感じずにはいられません。

八坂倶楽部の庭園に出て散策することも可能

 入館しなくても鑑賞できるパブリックアートの「南瓜」をはじめ、館内には撮影可能な場所も多数。カジュアルでオープンな美術館としての在り方も、ここでのアートの同時代性を物語っています。しっとりと美しい日本の建築美とポップで鮮烈な草間作品を心に焼き付けたら、ぜひその感動をシェアしてみてください。(画像提供/フォーエバー現代美術館)

【フォーエバー現代美術館 祇園京都】
075-532-0270
京都市東山区祇園町南側570-2 祇園甲部歌舞練場内 八坂俱楽部
10:00〜18:00(最終入館17:30)
観覧料:1200円(中・高生800円)
休館日:年末年始
http://www.fmoca.jp/

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PROFILE

大橋 知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブック、カフェ、雑貨などのムック本・書籍を中心に取材・執筆を手がけるほか、手仕事や印刷の分野でも書籍の編集に携わる。主な編集・執筆に『恋するKYOTO雑貨』(成美堂出版)、『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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