旅空子の日本列島「味」な旅

薄幸の歌人「江口きち」ゆかりの田園風景 群馬県川場村

  • 文・写真 中尾隆之
  • 2018年5月17日

池を前に広がる道の駅「川場田園プラザ」

  • 多数の種類が作られるパン工房の店内

  • 「刺し身とフライのギンヒカリ御膳」

  • 歴史民俗資料館には江口きちの展示も

  • 村内には心ひかれる田園風景がそこここに

  • 5月は九輪草やカキツバタが咲く吉祥寺

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 群馬県北東部、武尊(ほたか)山の南麓(なんろく)に、沼田市に取り巻かれたような緑豊かな農山村がある。平成の大合併を避けて自存の道を選んだ人口3300人の川場村である。

 村内に湧き出す伏流水、4本の1級河川などの水や8割以上を占める山林に恵まれて、米や高原野菜、果樹など農産物の豊かな地としても知られている。

 道端には草花が咲き、川には魚が走り、春はカエルが鳴き、秋はトンボが飛ぶなど昔に変わらず生き物が息づく。その村里の中心が、県道64号(平川横塚線)と利根沼田望郷ラインの交わる地に25年前にオープンした道の駅「川場田園プラザ」だ。

 澄んだ水をたたえた池を囲んで点在するそば処やビールレストラン、パン、ミート、ピザの工房、地場産の米や野菜、果物を販売するファーマーズマーケットなどどこにも人が絶えない。村役場に聞くと、年間入り込み客が180万人を数え、売り上げ16億円を超えるという。全国屈指の優良な道の駅である。

 レストランで刺し身とフライのギンヒカリ御膳を食べ、ヨーグルトをいただいてお腹ごなしに園内を回った。ブランド米の「雪ほたか」、アップルパイ、のむヨーグルト、ソフトクリームなど買いたくなる商品がいろいろあった。遊具や原っぱなどもあって子供連れで半日は過ごせそうである。平日はともかく休日の駐車場は満車状態になることが多いという。

 村内にはゆっくり楽しめる場所もけっこうある。その一つが川遊びの楽しい清流公園と乗車体験できる川場のシンボルのSL(D51)だ。近くの明治建築の校舎を活用した歴史民俗資料館では村の歴史や文化を学んだ。老いた父、病弱な兄を抱えた苦難の暮らしの中で唯一の生きがいの短歌を詠みながら、兄を道連れに26歳で自死した川場村生まれの江口きちの展示に心ひかれた。

 “女啄木”と称される薄幸の歌人・きちの墓碑がある桂昌寺や南北朝時代に創建された草花や庭園がみごとな吉祥寺も心に残る古刹(こさつ)であった。

交通
・関越自動車道沼田I.C.から車で10分
・上越線沼田駅からバスで約30分

問い合わせ
・川場村むらづくり振興課 0278-52-2111
・川場村観光協会 0278-52-3412

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

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PROFILE

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター

nakao takayuki

高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

風土47

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都道府県のアンテナショップの情報を集めたポータルサイト。全国的には知られていないけれど味も生産者の思いも一級品、そんな隠れた名品を紹介する「日本全国・逸品探訪」など様々な記事が掲載されている。

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