〈世界美食紀行〉朝日に染まる絶景・チチカカ湖へ、南米初の豪華寝台列車「ベルモンド アンデアン・エクスプローラー」号でアプローチ

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 富士山より高い標高約3810mに、ペルーとボリビアの両国にまたがって広がる淡水湖チチカカ湖(ティティカカ湖)。首都リマから直接行くより、クスコを経由した方が高地に順応して高山病になりにくいと聞き、クスコから足を延ばすことにしました。クスコからチチカカ湖観光の拠点となる街「プーノ」へのアクセスは、地元の人たちが使う路線バスを除くと、直行バス、観光バス、鉄道があります。けれどもクスコからプーノへの道路は治安が悪く、ストライキで閉鎖はまだしも、バス強盗(!)が出ることもあるそう。

 ところが、そんなルートさえラグジュアリーかつ優雅な旅に変えてしまう鉄道が、今年5月に運行を開始しました。南米初の豪華寝台車「ベルモンド アンデアン・エクスプローラー」号です。正確に言うと、ベルモンド アンデアン・エクスプローラーが走行しているのは、次の4コース。 ・「クスコ発チチカカ湖経由アレキパ着着2泊3日」※アレキパは「白い街」と呼ばれる歴史地区 ・「アレキパ発チチカカ湖経由クスコ着2泊2日」 ・「クスコ発プーノ着1泊2日」 ・「プーノ発クスコ着1泊2日」 私は、アレキパまで行きたいところではあったのですが、主に予算と日程の都合から「クスコ発プーノ着1泊2日」コースに乗車しました。

 毎週火曜日に出発するクスコ発プーノ着1泊2日コース、題して「スピリット オブ ザ ウォーター」は下記のようなタイムテーブルになっています。 午前11時にクスコのワンチャク駅を出発。この駅は「ハイラムビンガム号」が発着する駅とは異なります。ややこしいのですが、私の場合、クスコでは同じ「ベルモンド」系列のホテルに宿泊していたので、信頼できるタクシー会社を手配してもらって移動のストレスがまったくありませんでした。定時に列車が出発すると、12:30からエレガントなランチ。14:00ごろ、「ラクチ」という街で一度停車してバスに乗り換え、遺跡観光とおみやげのショッピング。列車に戻るとアフタヌーンティーが用意されていて、サンセットタイムは再び下車してこの道中でもっとも標高が高い約4335mの「ラ・ラヤ」でリフレッシュ。アルパカのショールなどをショッピングしたら、ディナー前のカクテルタイム、フルコースのディナー、アフターディナーの生演奏とカクテルタイムと続き、そろそろ客車に戻るゲストが出はじめる22:15ごろ、列車はプーノに到着しました。

 夜はそのまま寝台車のベッドで就寝し、翌朝は日の出を見に徒歩1分のチチカカ湖へ!というか停車した列車の窓からもチチカカ湖が見えていたのですが、真っ暗なので気づかなかっただけでした……。熱々のお茶を飲みながら朝日を眺めたら、食堂車に戻ってフルブレックファースト。ここでコースは終了となります。
 私が乗った日の場合、ご一緒した他のゲストのその後のプランは、次の三つに分かれていました。もっとも多かったのはオプショナルツアーに参加して、その日のうちに飛行機でリマに戻るという人たち。二つ目が、このままボリビアを周遊するというグループ。最後がチチカカ湖を一望するラグジュアリーホテルに1週間ほどステイするという3世代の大家族。

 チチカカ湖の観光は「トトラ」という植物でつくられた人工の浮島「ウロス島」へのボートトリップ、もっと足を伸ばすならリゾートアイランド「タキーレ島」を組み合わせるのが一般的です。私は、そろそろペルーに慣れ始めて、このあたりでローカルな旅をしてみようと思ったのと、予算の節約も理由で地元のツアーに参加したのですが、これは失敗でした。「ウロス島3時間ツアー」13ドル(これでもホテル送迎つきの高額なプランをチョイス。送迎なしの安いツアーは8ドルとか)は、タバコくさいタクシーに定員オーバーで押し込まれ、英語もあやふやでお札ばかり数えているガイドと、やる気がなくて気だるげ、ガイドが見ていないところでチップをねだる島の住民たちという、まあ東南アジアなどの観光地でよくあるパターン。ツアー前後に半端な時間ができてしまい、プーノに1泊することになりました。たぶんこれがスタンダードなペルーの観光スタイルです。

 ちなみに「ベルモンド アンデアン・エクスプローラー」号のオプショナルツアー177ドルに参加した人に後日聞いたところによると、なんと専用のスピードボートでウロス島とタキーレ島を効率よく回り、この地方ならではの食材を使った豪華なランチを楽しみ、島の人たちの歌や踊りもすばらしく、感動的な出会いがあり、もちろんチップをねだられることもなかったそう。ツアー後は専用車で快適に空港まで移動したとか。
 まあ極上の体験ばかりでなく、等身大の旅も経験できてよかった、と負けおしみを言っておきます。

 最後に、いくつかお問い合わせのあった高山病対策について。 高山病の症状の現れ方は、個人差が大きいようです。私は高山病を恐れるあまり、これまでにないほど念入りに対策を取ったこともあり、軽めで済みました。激しい頭痛や吐き気などはなく、現れた症状は「動悸(どうき)・息切れ(なんだか息が上がるなというくらい)」と「異常な眠気(パソコン画面を見ていられず、コクっと眠って手が滑り書き上げた原稿を全部削除してしまったことも!)」。お酒はいつもと変わらない量を飲み、食欲も普通にありました。
 対策は、「東京から予防薬を持っていきちゃんと飲んだ」「コカ茶ではなくムニャ(アンデスのミント)茶を飲んだ」「いつも以上にゆっくり動いた」「クスコで高地順応のためにゆっくりする時間をとった」こと。 お役に立てれば幸いです!

(文・写真 江藤詩文)

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