リノベーション・スタイル

<149>中古2LDKに、妻のアトリエと夫の秘密基地

  • 文 石井健
  • 2017年5月10日

 [bird]
 Mさん夫婦(夫50代・妻50代)
 神奈川県 築40年/78.81m²/総工費 非公開

    ◇

 今回は、中古マンションの一室をアトリエのある住まいにリノベーションした事例をご紹介します。

 ご主人はもともと海外に単身赴任をしていた会社員、奥様は織物作家というご夫婦です。お二人はご主人の帰国を機に、ご実家の沿線で家を買うことを決め、どうせならと奥様のアトリエがある家造りをしていくことになりました。

 Mさんご夫婦が購入したお部屋は80平米ほどの空間です。2人でこれくらいの広さがあると、とても快適ですね。全体的にゆったりとスペースをとりつつ、しっかりと個室を作り込むこともできます。

 ちなみに、奥様は機織り機を3つ持っています。それらを並べられるスペースを確保しつつ、一日の大半を家で過ごす奥様にとって居心地のよい空間を造ることが最大のテーマとなりました。

 そして最終的にできあがったのは、2LDKをベースにした間取りのお部屋。まず、玄関を開けると広いエントランスがあり、右手にウォークインクローゼット、左手にサニタリー、トイレ、バスルームなどの水まわりがあります。廊下をまっすぐ進むと、キッチンとダイニングが対面する形であり、その奥の空間の右手に奥様のアトリエ、左手にリビングがあります。

 アトリエとリビングは上部が空いた壁で仕切りました。壁を造ったのは、アトリエには道具などを収納する場所が必要だったから。壁はDIYでフックや棚を付けられるようにしました。

 リビングとダイニングはとても居心地のいい空間です。大きな窓の向こうには公園が広がり、豊かな自然を日々の生活の中で感じられます。窓側はすべて収納棚にしてあり、棚の上には植栽がたくさん置いてあるため、室内の緑と公園の緑がゆるくつながっているようです。

 また、水まわりとダイニングの間にはコンパクトながら秘密基地のようなご主人の書斎も造りました。ここにはご主人の自転車や趣味のものが集められており、予想以上にお気に入りの場所になってくれたようです。

 寝室は、玄関の横に造りました。畳が欲しいとのことだったので、「離れ」をイメージし、純和風の空間にしています。まるで旅館や高級割烹(かっぽう)の個室のようで、他の部屋とはちょっと違う雰囲気になっています。

 部屋全体は、「工業製品じゃなく、質感を感じられるナチュラルな素材を使いたい」というお二人のご希望に添い、木を多用。機織り機の木といい具合にマッチしました。温かみのある空間に、ご主人の赴任先や出張先で買ってきた各国のお土産や、奥様が好きだという鳥の置物がちりばめられ、ていねいな暮らしが伝わってきますよね。

 働き方が多様になり、二つ以上の仕事をすることが珍しくなくなっているうえ、物販の方法もどんどん変化している昨今。特にクラフト系の仕事の場合は、家にアトリエを造り、ネットで販売するのがすでに一つの傾向となっています。おそらく今後は、家の一部をカフェにしたり、Mさんご夫婦のようにアトリエにしたり、といった暮らし方がさらに増えてくるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

写真

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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