リノベーション・スタイル

<150>郊外の72.5平米マンションで、「今」を楽しむ

  • 文 石井健
  • 2017年5月24日

 [H邸]
 Hさん一家(夫36歳・妻33歳)
 東京都町田市 築34年/72.50m²/総工費 非公開

    ◇

 都市に住み、共働きで子育てをしている世代は、毎日ギリギリの生活をしている人がほとんどですよね。そんな中、最近増えてきたのが「郊外の実家近くに住む」というパターンです。二世帯住宅まではいかないけれど、ほどよい距離に親がいて、いざというときに頼れることが大きなメリットです。逆に、ご両親の介護が必要になることもありますし、将来的には親の家を引き継ぐ可能性もあります。子育て、介護、資産を総合してライフプランを考えた結果、「親戚、家族が寄り添って暮らす」ことを選ぶ人が増えてきたのは自然な成り行きかもしれません。

 ただ、これまでと少し違うのは「いつかは郊外に一軒家」という考え方ではなく、「今を楽しもう」という人が多いこと。つまり、郊外で家を買うことが“ファイナルアンサー”ではなく、ライフステージに合わせて住まいを変えていくのが前提なのです。だから、不動産が値下がりしにくい中古のマンションを購入し、リノベーションして暮らすというが合理的な選択肢の一つなのです。

 今回ご紹介するHさんご夫妻はまさにそのようなケースでした。町田を選んだのは、子育てをする可能性を視野に入れ、ご両親の住む実家が歩いて行ける距離にあったから。同時に、子どもが生まれたときのことを想定し、最初から将来的には売却することを考えていました。

 そこで、まずは二人の生活を楽しむための部屋を造っていくことに。お二人からご要望があったのは、オープンキッチン、和室、広い土間、大きめのお風呂、独立したベッドルームがあることでした。

 お部屋は72.5平米あったので、わりとゆったり造っています。まず、玄関を開けると広い土間があり、すぐ右側に畳スペースがあります。畳の下をすべて収納にしたので高さがあり、縁側のように腰をかけることができます。ご両親が遊びにくると、ここに座っておしゃべりし、そのまま上がらずに帰られることも多いとか(笑)。

 土間で靴を脱ぎ、中に入ると、廊下から右側がLDKのワンルーム、左側が寝室、ウォークインクローゼット、サニタリーなどのプライベートゾーン、という造りになっています。玄関脇の和室からキッチン、リビングまでは一体化した空間なので明るく広々としています。キッチンに立ちながら、和室もリビングダイニングも見渡せるので、料理をしながら他の部屋にいる人とおしゃべりすることもできます。

 窓側には広いインナーテラスも造ることができました。隣にある寝室の壁の一部をレトロガラスにしたので、ベッドからインナーテラスの植物のグリーンを感じることができます。

 ちなみに、工事の途中で奥様は北欧旅行に行かれたのですが、それがきっかけでDIYへの思いが深まり、本格的なドリルも購入。キッチンや洗面所の棚などはご自分たちで付けられました。

 お二人で72.5平米だと、しっかりと収納スペースをとりながらも、それぞれの空間をゆったりと造れます。戸建だと100平米くらいの感覚に近いでしょうか。これくらいの広さの物件が手に入るのも、郊外ならではのメリットですね。

 実家近くの郊外のマンションでゆったり暮らし、ときどきご両親が遊びにきたり、都心とは違う時間の流れの中でDIYを楽しんだり……。無理せず今を楽しむ、“豊かな暮らし”がそこにあります。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

写真

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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