リバースプロジェクト

全国の図書館に新風 7千人の制服をエシカルに

  • 2017年6月5日

中央の二人が身につけているのが、冬バージョンの制服。TRC(右:谷一文子会長)が、リバースプロジェクト(左:伊勢谷友介代表)の「全日本制服委員会」とコラボして実現した

  • 胸元のリボンは、本のしおりのモチーフからデザイン。図書館スタッフの役職は、リボンの色分けでわかるよう工夫した

  • TRCが図書館業務を請け負う神奈川県大和市の文化創造拠点「シリウス」は、開館200日目で累計来館者数が150万人を突破した

  • 青いポロシャツは、夏バージョンの制服。左がTRCの佐藤幸司エリアマネージャー

  • 制服のデザインを担当したミントデザインズの勝井北斗(左)と八木奈央(右)

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 図書館といえば、古い本独特のカビ臭い匂いがして、職員はエプロンをしていて……。そんな思い込みがあれば、そろそろ捨てたほうがよさそうだ。

 今や、館内にほんのりアロマの香りを漂わせる施設もある。シーンとしているとかえってまわりの人の物音が気になるものだが、リラックスしながら本が読めるよう、小鳥のさえずりなどの環境音を静かに流す施設もある。

 昨秋、神奈川県大和市にオープンした図書館には、健康をテーマにした本がそろうフロアがある。そこでは、健康にまつわる講座が開かれ、骨の健康度や血管年齢、脳年齢などの測定器具がずらりと並び、健康チェックまでできる。さらに、別のフロアには、あえて自由に話したり飲食したりが可能なラウンジコーナーも。本で学びを深め、同時に、地域の人々との交流も深められる。

 こんなふうに、全国各地で図書館に新しい風を吹かせてきたのが「TRC(図書館流通センター)」(東京都文京区)だ。6月1日からは、全国に約7千人いる図書館スタッフの制服を刷新した。今後順次、新しい制服への切り替えを行っていく予定だ。

 新しい制服には、夏用・冬用の2タイプを用意。夏用は、知的かつ動きやすい細襟のポロシャツタイプだ。また、冬用はジャケットで、うっすら格子柄がデザインされている。目を凝らしてみると、図書館で使う図書館目録カードの罫(けい)線がモチーフだとわかる。胸元のリングにリボンを通したデザインは、本のしおりのイメージだ。

 「リバースプロジェクト」(東京都港区)が組織する「全日本制服委員会」とのコラボレーションで実現した。同委員会では、使う生地をエシカル素材にするなど、環境配慮型の制服づくりを推進。俳優でリバースプロジェクト代表の伊勢谷友介は、「2020年の五輪までに1千万着の制服のエシカル化」を目指すという。

 TRCでは2年前から社内プロジェクトを立ち上げ、制服のリニューアルを準備してきた。会長の谷一文子は言う。

 「本来、図書館の役割は『知の番人』なのですが、さらに現在では、図書館に求められることが多様化しています。地域の課題を解決するようなコミュニティースペースになっていくと考えています。だからこれから私たちは、さらに質の高い知的サービスを提供していくという決意を、制服を通じて見せたかった」

 デザインは、東京コレクションに参加している人気ブランド「ミントデザインズ」が担当した。ポロシャツの胸元にワックスシーリング(手紙の封をする、ろうのスタンプ)の柄を配するなど、伝統的なモチーフを今っぽく明るいイメージで生まれ変わらせた。これを着て働く人たちに、コンテンポラリーな気持ちで働いてほしい。いにしえからの「知」をさっそうとした姿で人々に手渡すような気持ちで着てもらいたい――。そんな発想から生まれたデザインなのだという。

 実際に着て働く人の声も聞いてみた。図書館勤務経験もあり、都内エリアマネージャーを務める佐藤幸司は、期待を込めてこう話した。

 「これまで図書館スタッフは、どうしても本を運んだりするため、エプロンのように作業しやすいものを身につけることが多かった。なのでジャケットという装いは新鮮です。これを着ることで、図書館を訪れる人に『あ、コンシェルジュの人だ』というような気づきが生まれ、どんどん質問してもらえるようになるなど、コミュニケーションにもつながってくれたらいいですね」

=敬称略(おわり)(ライター 古川雅子)

全日本制服委員会:http://www.japanuniform.org/

TRC:https://www.trc.co.jp/

ミントデザインズ:http://mint-designs.com

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PROFILE

リバースプロジェクト(リバースプロジェクト)

写真

俳優、映画監督の伊勢谷友介が09年に株式会社リバースプロジェクトを設立。東京芸術大学の同級生らとともに、デザインで、社会的に利用価値が低いとされているものに新たな命を吹き込み、よみがえらせる「再生プロジェクト」を展開している。原発事故で見送られた卒業式を飯舘村の子どもたちにプレゼントするなど、社会貢献につながる「元気玉プロジェクト」なども活動している。

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