こだわり派の逸品

グッドデザイン賞の商品を厳選して販売 GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA

  • 写真 山田秀隆
  • 2017年7月13日

店舗をプロデュースする山田遊さん。ときにフリーのバイヤーとして、ときにプロデューサーとしてさまざまなシーンで活躍している

 この4月、KITTE丸の内にオープンした「GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA」。“by NOHARA”とは、1598年創業の建設資材を扱う老舗商社、野原産業ホールディングス株式会社のこと。

 店のオープンのきっかけは、建築・建設資材商社としてこれまで大量生産・大量消費の中で事業を進めてきた野原ホールディングスが、これからの社会を考えたときに、デザインという切り口に着目したことだった。

 またグループ会社キャルは、「WhO」というデザイン壁紙のブランドが、2016年度にグッドデザイン賞を受賞。そのときブランディングを手がけたのが、デザインユニットgrafの代表、服部滋樹さんだった。

 そこで、野原ホールディングスは、グッドデザイン賞の審査員も務めていた服部さんに、ショップ構想について相談し、バイヤー・監修者の山田遊さんへとバトンが渡ったという。「服部さんは僕の兄貴分的存在。突然連絡があって、『じゃあ、あとは話を一度聞いてみて』という感じでしたね」と振り返る。山田さんは、さっそくデザイン振興会を交え、ショップ実現に向けて奔走。店舗デザインにジャスパー・モリソン氏、グラフィックに廣村正彰氏を迎えるなど、豪華な布陣も話題を集めた。そんなショップ誕生秘話などを山田さんに聞いた。(文・宮下 哲)

定番商品と、今の時代性を示す商品を一堂に

――現在、ショップにはどのくらいの商品が置かれているのでしょうか。

 約300種類で、今後はもっと増えていく予定です。グッドデザイン賞は、総エントリーの中から受賞できるのが、毎年たったの3割ほど。2016年度の受賞件数は1229点。60年もの長い歴史を持つ賞です。そう考えると、置かれている商品は厳選されたものばかり。

〈G型しょうゆさし 大〉。1958年の発売以来、親しまれてきたしょうゆさしは、機能性とデザイン性が融合したキッチンの定番。1,728円(税込み)

〈ANDO’S GLASS〉のデザインは、ショップの内装を手掛けたジャスパー・モリソンによるもの。職人の手仕事による繊細な曲線が美しい。1,944円(税込み)

 僕自身は、商品のセレクトには実はそれほどタッチしていません。むしろ注力したのは、「ルール作り」です。ショップを運営する上で、どういったルールだとやりやすいのか。基本的には、クライアントのやりたいことをどう体現し補完するかというのが、僕のスタンスでした。商品を選ぶ主導権が、僕のほうにあると思われがちですが、じつはかなりの部分が共同作業であり、どちらかというと全体の調整役に回ることが多いんです。

 今回のケースで言えば、ルールはかなり明解で、受賞している商品(なかでも大賞、金賞、特別賞、ロングライフデザイン賞、ベスト100)を中心にセレクトしています。ただ、最終的なところで、バリエーションとして足りない部分が出てきたとき、例えば園芸用品がちょっと足りないとなれば、僕が受賞品の中から商品を提案することもあります。

〈レミパンプラス〉。料理家の平野レミさんが発案したレミパンを、デザイナーの柴田文江さんがスタイリッシュにリデザイン。12,960円(税込み)

〈ヤシノミ洗剤 プレミアムパワー〉。詰め替え用ホルダーとパックがセットされているので、衛生的で無駄なく交換できる。本体240ml 756円(税込み)、詰め替え用240ml 378円(税込み)

 今回、内装のデザインはジャスパー・モリソンに手掛けてもらいました。彼の提案したコンセプトは「フロントガーデンのある家」。店に入ってすぐの場所には、屋外で使うようなものを中心に、アウトドア、ガーデニングの道具、防災関連、傘立てや靴べら、スリッパのような玄関脇にあるものなどを配置しました。そして店内に入ると、リビングとダイニングのイメージ。いちばん奥には、書斎で使う文具や子供のおもちゃなどが置かれています。

――ジャンルを問わずに、受賞した商品が一堂に見られるのは圧巻です。

 すべてがミックスされた空間が、このショップの面白さだと僕も思っています。

 あとは「時代性」です。このショップの裏テーマとして心掛けたのは、60年という歴史あるグッドデザイン賞の時系列をなるべく途切れさせずに配置することでもありました。例えば、お店で販売されている最も古い受賞商品は、1961年受賞の白山陶器の「G型しょうゆさし」ですが、そういった歴史も店内を一周すると体感できるように配慮しています。

 グッドデザイン賞を運営するデザイン振興会のウェブサイトには、過去60年間の受賞商品がすべてアーカイブ化されて、検索閲覧できます。このすばらしいコンテンツがなければ、今回、この「時代性」を追うことはできなかったと思います。

〈石巻工房 AA STOOL〉。デザインの力で人と街を興すことを目的に、デザイナーの芦沢啓治が立ち上げた石巻発のブランド。36,720円(税込み)

〈ミックス ザ カッティングマット〉。従来の緑の地色ではなく、白と黒のシンプルなデザインがクリエイターの間でも好評のカッティングマット。450X300mm 1,944円(税込み)、355X156mm 1,080円(税込み)

――山田さんは、グッドデザイン賞で審査委員もされていました。

 昨年まで3年間務めました。名だたるデザイナーやデザイン関係者がいる中で、僕みたいなバイヤー的な立場の人間が審査委員になるケースは珍しかったと思います。審査は20ほどのユニットに分かれ、それぞれに5人くらいずつのチームで審査をします。僕は仕事柄、生活用品などのプロダクトの審査を担当することが多かったです。

 2次審査は東京ビッグサイトの広大な会場で行われます。無数の製品が並べられ、審査委員は3日間朝から会場に缶詰め状態で、審査委員同士で真剣に討論しながら選定しています。受賞した商品には審査委員がそれぞれコメントを書くのですが、ショップに置かれている商品にも、簡単なコメントが価格の横に記されています。QRコードも併記されているので、商品の詳細はグッドデザイン賞のサイトで見られるようになっています。

〈Hope Forever Blossoming〉。D-BROSがデザインしたビニール素材のフラワーベース。花と一緒にプレゼントするのにも最適。1,080円(税込み)

2016年に金賞を受賞した〈乾電池関連製品 MaBeee〉。乾電池で稼働する製品のオンオフ、スピード、明るさなどをスマホから操作できる。乾電池型のIoT商品。5,378円(税込み)

――ほかのデザインストアとの違いは何ですか。

 グッドデザイン賞の二次審査会場に立つと、今という時代性がデザインという視点で俯瞰(ふかん)できます。自動車からは最新の技術開発のありようがうかがえるし、IoTの製品が明らかに増えているのも実感させられます。単にタイムレスなデザインを集めたストアは、他にもありますが、「GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA」は、そうした永遠の定番的な商品だけでなく、今の時代性を体感できるところが他のデザインストアとの違いでしょうか。

 デザイン業界全体の振興のための賞であるということは、実際に審査委員になってみて改めて実感したことです。だから、受賞していない製品は、いくらヒット商品であっても店頭に置くことは難しい。

 そう考えると、このショップ自体が、デザイン業界の振興の一環にもなっているわけです。

 メーカーのみなさま、受賞したら、ぜひぜひ売り込みをお願いします(笑)。 

    ◇

GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA
東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE丸の内3階
営業時間:11~21時 (日・祝日 11~20時)
公式サイト:http://gdst.nohara-inc.co.jp

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