リノベーション・スタイル

<153>二世帯住宅+猫部屋、家族が集まる広い縁側

  • 文 石井健
  • 2017年7月5日

 [NE-CODATE]
 Kさん一家(夫・妻・長女・Kさんのご両親)
 東京都世田谷区 築80年/106.74m²/総工費 非公開

    ◇

 今回のリノベーションは、この連載で初めて紹介する「二世帯住宅」の事例です。両親とその子どもの一家が近くに住む、というのは共働きの増加と保育園不足から、最近のトレンドの一つですが、その延長線上に「二世帯住宅」も増えつつある実感があります。

 Kさん一家の場合は、Kさんのご両親が住んでいた築80年の木造住宅を二世帯住宅にしたい、とのことで相談に来られました。

 もともとは、Kさんの祖父母が1936年、つまり戦前に建てた平屋でした。56年に2階が増築され、Kさん自身もそこで生まれ育ち、大人になって独立してからは、Kさんのご両親が1階に住み、2階を賃貸に出していました。

 賃貸で入っていた人が引っ越し、Kさん一家にお子さんができたタイミングで、「両親も年だし、一緒に住もうか」という話になったようです。Kさんご夫妻も共働きだっため、ご両親にお子さんを見てもらえるメリットもあり、ご実家のリノベーションに踏み切りました。

 1階はKさんのご両親、2階がKさん一家の住まいです。Kさんのご両親の要望は、明るいリビングと畳と神棚、そして“猫部屋”が欲しいとのこと。猫を2匹飼っているのですが、野良猫だったためかなりやんちゃ。手に負えないので、2人暮らしのときは2階を“猫部屋”にしていたそうです。そこで、リノベーションでは、リビングの奥に木の格子で囲った4畳ほどの猫部屋を設置しました。

 2階に住むKさん一家のリクエストは、抜け感のある空間と広いキッチン、そして同じく猫を飼っていたので、猫が遊べるような部屋にしたいということ。そこで、個室は寝室だけにし、リビング、ダイニング&キッチンを一続きにした明るい部屋を作りました。また、ロフトを収納部屋兼猫部屋に。ロフトの壁には猫が通れるような穴を開け、天井の梁(はり)へ渡れるような仕掛けを造りました。

 二世帯住宅で一番大事なのは距離感です。将来的に再び2階を賃貸に出す可能性を考え、外階段は残していますが、現時点では二家族で玄関を共有しています。そのため、入ってすぐの廊下兼縁側をかなり広くとりました。ふつうは半間(はんげん)程度ですが、ここは一間(いっけん)、通常の2倍です。つまり、玄関に入ると広い廊下があり、その奥にご両親の生活空間があるので、家の中にもう一つ家があるような感じなのです。この廊下兼縁側は、庭とつながる日当たりのいいスペースなので、みんなが集まるときはたいていここになるようです。

 また、二世帯住宅のときに考えなくてはいけないのは、相続の問題です。プロジェクトが始まる前に、それについて家族が話し合える関係なのか、ということはまず確認しますね。

 もちろん、相続問題は二世帯住宅にかかわらず、都心に住んでいる人には必ずついてまわる問題ですが、相続税が払えないからやむなく売却する、というのは一番避けたいこと。専門家と十分に相談しておくのがいいでしょう。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

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1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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