ほんやのほん

もちろんいつでもそう思ってる。『片づけたい』

  • 文・嵯峨山瑛
  • 2017年7月10日

撮影/馬場磨貴

  • 『片づけたい』 (暮らしの文藝) 赤瀬川原平、阿川佐和子、新井素子、有元葉子ほか著 河出書房新社 1728円(税込み)

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 整理整頓や掃除は嫌いな方ではないですし、やるとなったら休みをまるまる使って家のあらゆるところを掃除することもあります。

 でも、その「やるとなったら」になかなかなれず、片づけられない日々が続き、雑然とした机の上にうんざりしてしまいがちです。

 世にあまたある片づけ本や断捨離本を読むと、「しまう場所を決める」や「新しいものを買うときには、何かを捨てる」といったルールが書かれていますが、そのルールを守れていません。

 古今の作家・エッセイストによる片づけをテーマにした32編が収録された『片づけたい』(暮らしの文藝)は、そんな自分にぴったりの1冊でした。

 一つひとつの文章が短いので、これならば片づけをはじめてたまたまこの本を見つけても、読みふけってしまわなくて済んでしまう! 素晴らしい!

 もちろん、この本を読んだからといって片づけができるようになるわけではないので要注意!

 「家で会社の仕事をしなければならない時とか、頼まれて原稿を書かなければならない時に限って、机の上を片づけたり、書斎の掃除を始めたり、本を読み出したりと、仕事とは関係ないことをやり始めてしまうんだよ。」という文章(川上健一『片づけ』)や、「ていねいな暮らし」を尊く思うも、できず、反対のマネーメイクに精進し、最高を最幸と書くような拝金ニューエイジにもなれるわけではない、複雑な感情を書いたジェーン・スー『ていねいな暮らしオブセッション』には、少し散らかった部屋のソファで「そうなんですよね~」とニヤニヤしてしまう一方で、掃除好きがうかがえる沢村貞子の小気味よい文章や、片づけ=生きるうえでの哲学のような松浦弥太郎の言葉を読むと、自然と背筋が伸びるような気がします。

 このように全く正反対の文章があるのが、このようなアンソロジーのすてきな点です。

 片づけするのは、何も家や机の上だけに限りません。母・有吉佐和子が亡くなって20年経ち、ようやく遺品を整理することができ、母が一番大切にしたものが見えてきた有吉玉青の文章には、過去の思い出に出会える、新しい自分を知ることができる片づけもあることに気付かされます。

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PROFILE

嵯峨山瑛(さがやま・あきら)

写真

二子玉川 蔦屋家電、建築・インテリアコンシェルジュ。
大学建築学科卒業後、大学院修了。専門は都市計画・まちづくり。
大学院在学中にベルギー・ドイツに留学し建築設計を学ぶ。
卒業後は、出版社やリノベーション事務所にて、編集・不動産・建築などの多岐の業務に関わる。
>>二子玉川蔦屋家電 ホームページはこちら

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