猫と暮らすニューヨーク

猫カフェから譲り受けた、2匹の子猫との新生活

  • 文・仁平綾、写真・山田真実
  • 2017年7月31日

2匹とも、まだ1歳未満の子猫。個性や性格云々の前に、生命力の塊といった感じです。

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・Frank(フランク)オス 約10か月 茶トラの雑種、Portia(ポーシャ)メス 約10カ月 黒猫
飼い主・Erin Dowding(エリン・ドウディング)さん(高校教師)
ブルックリンのベッドスタイにある、1階&地階の2フロアアパートメントで、ボーイフレンドのRitik(リーティキ)さんと暮らす。

    ◇

 日本ではおなじみの猫カフェが、ニューヨークに登場したのは、ここ2~3年のこと。そのひとつ、ブルックリンにあるThe Brooklyn Cat Cafeで、エリンさんは2匹の猫に出会った。

 ニューヨークの猫カフェに待機するのは、NY各地で保護された猫たち。

 カフェでは、そんな猫たちと老若男女が触れ合えるのはもちろんのこと、猫を飼いたい人が相性の良さそうな猫を見つけ、譲り受けることができるようになっている。

 「人間を怖がらない、人懐っこい猫がいいなと思っていたの。猫カフェの猫なら、きっと人に慣れているはず。そう思って」とエリンさん。

 オレンジ色の茶トラ猫は、ボーイフレンドのリーティキさん、黒猫は「不吉だからと、もらい手が少ないと聞いて」というエリンさんの希望。2人とも仕事で日中は留守のため、猫に寂しい思いをさせないようにと、2匹譲り受けることに決めた。

 さて、いざ譲渡を申し込むと、飼い主として適正かどうかの審査が行われる。

 エリンさんたちの場合、保証人として申告した友人へ確認の電話があったほか、ブルックリンの自宅訪問もあったという。「命を譲り受けるのだもの。当然のこと」(エリンさん)。

 晴れて、譲渡成立。

 オレンジ色の茶トラ猫は、フランク。黒猫は、ポーシャ。猫カフェで付けられた名前をそのまま呼ぶことにし、2匹との新生活が始まった。

 網戸によじ登り、冷蔵庫を開ければ中に飛び込み、レーザーポインターの光を追いかけては部屋を駆けまわって、時折ジャンプを披露しながら遊ぶ、オスのフランク。一方、メスのポーシャは、今のところ食べることが一番の生きがい。食事の時間以外は、部屋中の匂いを嗅いでまわり、日なたぼっこをしたり、窓外の鳥を観察したり。夜は、テレビを見ているエリンさんのひざの上に乗って、ぎゅうっと丸くなる。

 実は、エリンさんとリーティキさんは、昨年夏に飼い猫をなくしている。

 「おなかが真っ白の黒猫で、まるでコウモリみたいだから、bat(バット)っていう名前でね。元は友だちの猫で、12歳の頃我が家にきて、16歳で亡くなったの。短い共同生活だったけれど、亡くなったときは、もう悲しくて、悲しくて。新しい猫を飼う気になんて、とてもなれそうになかった。近所のデリ(コンビニ)にいる猫をたまになでては、気持ちを紛らせていたわ」(エリンさん)

 約半年後、同じアパートメント内で引っ越しをしたことをきっかけに、「新しい場所に暮らし始めたら、新しい思い出を作らなくちゃ、と前向きになれたの。猫を飼う心の準備もできた」という。

 今では2匹との新鮮な毎日に、エリンさんとリーティキさんの心も、すっかり癒やされたようだ。

 「夕食後に、2人で映画を見たりしながらリビングでくつろいでいると、2匹が有り余るエネルギーを発散しにやってくるの。キッチンからリビングまで、フルスピードで追いかけっこをして、テーブルや家具の上に飛び乗って。フランクにおもちゃのネズミを投げれば、喜んでキャッチするわ。2匹の存在は、仕事で疲れ切った1日の最後に、私たちに純粋な喜びを与えてくれる」とエリンさん。

 そうして夜が更けたころ、リビングの床には、色とりどりのおもちゃが散乱し、子猫たちの狂喜乱舞によって、くしゃくしゃにシワの寄ったラグが、部屋の隅に追いやられるようにして、たたずんでいる。

 そんな部屋の有り様に、むしろほほえましい気持ちにすらなれるのは、猫を飼っている人だけの特権といえるだろう。

 >>つづきはこちら

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連載「猫と暮らすニューヨーク」では、ニューヨークで猫と生活するさまざまな人を訪ね、その暮らしぶりから、ユニークなエピソード、インテリアや飼い方のアイデアまでを紹介します。

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エリンさんのインスタグラム
https://www.instagram.com/edowding

リーティキさんのインスタグラム
https://www.instagram.com/rdholakia

リーティキさんのウェブサイト
http://studiorodrigo.com/

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PROFILE

仁平綾(にへい・あや)編集者・ライター

仁平綾

ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
http://www.ayanihei.com
http://www.bestofbrooklynbook.com
photo by Naoko Maeda

山田真実(やまだ・まみ)写真家

山田真実

鳥取市生まれ、大阪芸術大学写真学科卒業、現在はアメリカ在住のフォトグラファー。渡米前は10年以上に渡り、株式会社文藝春秋の写真部にて、女性誌の撮影から、アーティストのポートレート、スポーツ取材まで幅広く担当。ドキュメンタリーな視点を大切にしながら、現在も雑誌、書籍、Webなどで活躍中。
http://www.mamiyamada.jp/

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