リノベーション・スタイル

<156>合理的で使いやすい、コックピットのような部屋

  • 文 石井健
  • 2017年8月23日

[Y邸]
Yさん(40歳)
神奈川県横浜市 築28年/40.80m²/総工費 810万円

    ◇

 Yさんが選んだ場所は横浜市の黄金町。「二路線使えること」「南向きであること」を基準にくまなく物件を探した結果、たまたま条件のあうマンションがそこにあったからだそう。とはいえ、黄金町といえば今やちょっとした観光地でもあります。テレビドラマ「私立探偵 濱(はま)マイク」のロケ地でもあり、雰囲気も魅力的。昔ながらの商店街が2つあり、いい飲み屋も多く、アートイベントも盛んです。

 Yさんが購入した物件は40㎡ほどのコンパクトな部屋です。限られたスペースの中で、コックピットのような合理的で使いやすい空間を目指しました。玄関から入ると、右手にウォークインクローゼット、サニタリールームがあり、左手がトイレと寝室。寝室はベッドを置いたらいっぱいですが、壁の上部を空けているので閉塞(へいそく)感はありません。

 キッチンはスペースを使えるよう壁付けにして、ソファを置くようなリビングはあえて排除。着物をたくさんお持ちで、着物でお出かけするのがお好きとのことなので、畳の小上がりをつくり、そこで着付けができるようにしました。畳の下はもちろん全部収納です。コンパクトな空間ですが、きちんと配置を計算しているので、体感空間としては広々としています。

 Yさんはアンティークがお好きで、照明やガラスの扉などは、町田の「古福庵」で購入されたとのこと。サニタリーの絵は、友人のアーティストが描いたものです。日常的に商店街をかなり楽しんでいて、休みになると自転車で20分のところにある、みなとみらいや中華街へも行くそうです。

「どこまでが自分の家なのか」というのは、リノベーションでよくテーマになりますが、周辺の環境も含めて“家”ととらえる考え方があります。家の中にすべてを詰め込むこともできますが、逆に、取捨選択で家は都合に合うようにカスタマイズして、捨てた物を街に求めることもできるのです。「いつも外食だからキッチンはいらない」「ジムでお風呂に入るから、家はシャワーだけでいい」という方もいました。

 Yさんのように、あえて観光地を住む場所として選び、家はできるだけコンパクトにして、まわりの環境を楽しむというのも、充実した暮らし方ですよね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)「ブルースタジオ」執行役員

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1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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