花のない花屋

大親友は100歳、祇園の”おかあさん”へ

  • 花 東信、写真 椎木俊介
  • 2017年8月31日

  

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〈依頼人プロフィール〉
野原桃子さん(仮名) 20歳 女性
茨城県在住
大学生

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 7歳の時から、10年以上も文通を続けている大親友がいます。彼女は80歳年上で、知り合ったときは7歳と87歳。この6月には100歳を迎えられました。

 その大親友は、祇園のお茶屋さんの現役の“おかあさん”です。うちの母が12年前、京都新聞に「40年前に行った京都の修学旅行では、規則が厳しくて街を楽しめなかった。今度は楽しめる京都旅行をしたい」と読者投稿をしたのを読んで、「ぜひいらっしゃってください」と新聞社経由で手紙をくださったのがご縁の始まりでした。

 実際に家族で遊びに行くと、本当に快く迎えてくれ、それからというもの、私と“おかあさん”は毎週のように手紙のやりとりをしています。また、毎年かかさず「都をどり」にもご招待してくださり、家族ぐるみで親しくさせていただいています。

 政財界の大物や著名人を知り尽くしてきた“おかあさん”のお茶屋さんは、白州次郎さんが贔屓(ひいき)にしていたことでも知られ、花街のお店を今も女一人で守っていらっしゃいます。お父様は、蛤御門(はまぐりごもん)の変にもいきあわせたとかで、日本史の教科書にあるような話も出てくる楽しい方です。

 6月に100歳を迎えられたときは、それまで年齢のことは考えたことがなかったそうですが、「まわりがあんまり大騒ぎするもんだから、なんやもう後がない気がして……」と悩みを打ち明けてくれました。

 だから、聖路加病院の日野原重明先生のように、100歳を過ぎてもまだまだ現役で活躍できるよう、生きるパワーが出てくるような花束を作っていただけないでしょうか。

 “おかあさん”はウィットに富んだ頭のいい人なのに、天衣無縫なおっとりしとした雰囲気を漂わせています。星空が大好きで、「祇園は星空が見えない」といって、90歳を過ぎてから星を見に南半球にも行ってらっしゃいました。また、女学校のときに因数分解をわからないまま卒業したから、「覚えるまで逝けない」と、私に因数分解を教えて欲しいと言ってきたこともあります。

 そんな好奇心旺盛でステキな“おかあさん”に、星空や宇宙、連綿と続く生命を思わせるような花束をお願いいたします。

花のない花屋

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PROFILE

東信(あずま・まこと)フラワーアーティスト

写真

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。http://azumamakoto.com

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