ワインとごはんの方程式

<番外編>フランス・ランド地方の鶏とカモの生産者に会いにゆく

  • 文・写真 杉山明日香
  • 2017年8月31日

ランド地方・Saint Sever(サン・セベール)村のトウモロコシ畑で、のびのびと育つカモたち

  • ENYAA 特製「トーザン牧場のプレ・ジョーヌの備長炭焼き」

  • 放し飼いのPoulet Jaune(黄色い鶏)

  • Floc de Gascogne(フロック・ド・ガスコーニュ)

  • Arnaud Tauzinさん。Saint Sever村の村長でもある

  • 飼料について説明するArnaudさん(右)と、そのお父さん

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 こんにちは!杉山明日香です。
 みなさん、夏はどのように過ごされましたか?
 今回の「ワインとごはんの方程式」は夏の番外編、先日訪問したランド地方をご紹介します! 今回は、ワインの造り手さんではなく、鶏とカモの生産者の方々に会いにゆきました。

    ◇

 フランス南西部のランド地方は、鶏とカモの優良産地として非常に有名で、普段フランスで「おいしい!」と思ったお肉は、ランド産のものということが多いんです。私のパリのお店、ENYAAでは、フランスの食材を使った和食を日本酒とシャンパーニュで楽しんでいただくのですが、お店でもこの産地の鶏やカモを使っています。もともと、フランスで食べる鶏が本当においしくて、お店をはじめよう、と思った時から大好きな“シャンパーニュと日本酒と鶏”をテーマにすることは絶対!と決めていました(笑)。

 目的地であるランド地方のSaint Sever(サン・セベール)村は、パリからTGVというフランスの新幹線と車を乗り継いで5時間ほど。私は普段、フランス国内のワイン産地をいろいろと訪問していて、ブドウ畑は見慣れたものですが、今回はあたり一面トウモロコシ畑! 背が高く、ぎっしりと茂ったトウモロコシの濃い緑と青空の風景もまたステキです。

 このトウモロコシは、一般的な食用ではなく、鶏とカモのための飼料用として栽培されているんです。大豆畑も多くあり、農場に到着するまでは延々とトウモロコシ畑と大豆畑を見ながらの道中です。

濃厚な味わい、「黄色の鶏」

 今回訪問した鶏の生産者は、TAUZIN(トーザン)牧場。ここのPoulet Jaune(プレ・ジョーヌ:黄色の鶏という意味)はその名の通り、肉の色が黄色なのが特徴で、弾力があり、とてもジューシー。うまみがギュー!とすごいんです。ランド地方の鶏やカモは濃厚な味わいのものが多いのですが、中でもこのお肉は特別です。

 農場はとにかく広い!ひろーい土地に鶏が放し飼いにされていて、のびのび過ごしています。ヒナの一団もいて、ピヨピヨにぎやかな一角もありました。

 現オーナーであるArnaud Tauzinさんは、現在ランド地方のSaint Sever村の村長さんでもある、40歳ぐらいのイケメンです。明るくおしゃべり好きな方で、楽しくにぎやかに農場を案内してもらいました。彼いわく、鶏たちの餌であるトウモロコシや大豆をよそから買うと、最近は遺伝子組み換えの商品もあったりして、信用できないとのこと。そこで、彼のような生産者たちは飼料を自分で栽培し、安心できる飼料を与えて、本当に良い鶏やカモを育てているのです。

 私自身、普段おいしく頂いているお肉や、お店でお客様に楽しんでいただくお肉がこうして育てられ、テーブルの上のお皿に載っているのか、と思うと安心できますし、なんだか感慨深くもありました。実際に生産者の方が飼料を手にして熱く鶏やカモに語る姿や、農場にいる鶏たちの様子を見て、大切にされたいのちを頂くありがたさも感じました。

鶏料理に合わせて、ロゼの泡から軽めの赤ワインまで

 鶏料理は、調理法に合わせて色々なワインで楽しむことができます。例えば、鶏のシンプルな炭火焼きには、Pinot Noir100%で造られたロゼの泡を合わせるのが、私の定番で、大好きな組み合わせです。鶏のジューシーさとロゼの果実味が口の中でジュワーっと広がってとてもおいしい!炭火焼の香ばしさが泡のおかげで鼻から抜けていきます。ほかにも、鶏料理はしっかりめの白ワイン、ロゼワイン、軽めの赤ワインと、合わせるワインの幅も多く、色々とマリアージュが楽しめます。

 農場見学の終了後、Arnaudさんのご自宅に招待いただき、お庭でワインを楽しんだのですが、「明日香、Froc飲む?」と聞かれ、ピン! ときて、「FrocってFroc de Gascogneのこと?」って聞いたら、「さすがワインの先生だけあってよく知ってるね!」って褒められちゃいました(笑)。フランスでも、このエリアの人以外はあまり知らないそうで、それもまた意外でした。

 このランド地方とかぶるように、東に隣接するのがアルマニャック地方で、このエリアでは、Froc de Gascogne(フロック・ド・ガスコーニュ)といわれる、酒精強化ワインがアペリティフ(食前酒)やディジェスティフ(食後酒)として楽しまれています。

 このFroc de Gascogneは酒精強化ワインの中の、Vin de Liqueur(ヴァン・ド・リキュール)のひとつ。Vin de Liqueurとは、アルコール未発酵のブドウ果汁にブランデー(このエリアではアルマニャック)を加えてアルコール度数を高めたワインです。冷やしてストレート、もしくはロックで楽しみます。

 一緒に農場を案内して下さったArnaudさんのお父さんが「明日香が知ってるなんて!」と繰り返し言っては喜んじゃって、みんなでFrocの白と、ロゼで何度も何度もカンパイをして、しっかり楽しみました。

 フランス人はやはりその土地のワインが大好き! 本当に楽しい農場見学の1日でした。

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PROFILE

杉山明日香(すぎやま・あすか)理論物理学博士・ソムリエ

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東京生まれ 唐津育ち。理論物理学博士・ソムリエ
有名進学予備校の数学講師として、主に東大進学クラスや医学部進学クラスを担当するかたわら、ワインスクール「ASUKA L'ecole du Vin」ではソムリエ資格試験対策講座を主宰する。またインポーターとしてシャンパーニュ・ワインの輸入業や、西麻布のワインバー&レストラン「ゴブリン」、パリの和食店「ENYAA」のプロデュースなど、ワイン関連の仕事も精力的に行っている。
著書に『ワインの授業 フランス編』(イースト・プレス)、『受験のプロに教わる ソムリエ試験対策講座』(リトルモア)、『おいしいワインの選び方』(イースト・プレス)
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■撮影協力:ゴブリン

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