花のない花屋

父に続いて母までも、病気を抱えた両親へ

  • 花 東信、写真 椎木俊介
  • 2017年9月7日

  

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〈依頼人プロフィール〉
角田治美さん 52歳 女性
山梨県在住
図書館司書

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 1年半ほど前、とてもしっかりしていた父がパーキンソン病を発症しました。父は6人兄弟の次男で、夜間の高校に通った後、16歳から60歳の定年まで電力会社に真面目に勤務し、その後も75歳まで臨時職員として働いていました。昔から体の弱かった母に代わり、炊事、掃除、洗濯なども長年担ってくれたやさしい人です。

 病気がわかってからは、薬を飲みながら通院していましたが、次第に症状が悪化。強い薬に変えると、薬の副作用か幻覚が見えるようになってしまい、「家の中に男がいる」「110番してくれ」と訴えるようになりました。

 そのうち口もまわらず歩くのが困難になってしまい、入院することになりました。連れて行った病院でも、私の後ろに男がいると言って、手足をバタバタさせて私を守ろうとします。ようやく手続きが終わり、家に電話をしましたが、そこにいるはずの母が出ません。どうしたんだろう? と思いながら実家へ帰ると、なんと居間で母が倒れていました。脳梗塞(のうこうそく)でした。

 すぐに父が入院したばかりの病院に運び、治療を開始しましたが、お医者様には「この2週間が山だ」と言われました。無意識に起き上がり、管を抜こうとする母は、体を拘束され、生死をさまよいました。

 同じ日、同じ病院に入院した両親。母は7カ月の入院を経て施設に移ったあと、今ではデイサービスに通えるまでになりました。父は、危ない時期が何度もありましたが、最近は安定しています。まだ病院で寝たきりで、栄養は胃ろうで取っていますが、なんとか話もできるようになりました。

 自分たちが置かれた状況に涙することの多い両親。それでも生きていてほしいと思う娘から、和やかな気持ちになれるような花束を作っていただけないでしょうか。

 父が好きな色は黄色、母が好きな色はピンクです。母はかすみ草も好きなので、どこかに入れていただけるとうれしいです。

花のない花屋

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PROFILE

東信(あずま・まこと)フラワーアーティスト

写真

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。http://azumamakoto.com

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