朝日新聞ファッションニュース

ショップ×ネット 新たなかたちへ

  • 2017年9月6日
  • ザ・リラクスのデザイナー倉橋直実。「一般のお客様に向けて直接PRしていきたい」と話す

  • ビームスのサイトにある長谷部さんのページ

  • 渋谷109の「イマダ・マーケット」。インスタ映えを意識した商品が並ぶ

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 試着品だけを並べた店、自社の商品を着て、SNSで発信する販売員……。インターネットで気軽に服を買えるようになったいま、店舗と通販サイトの利点を組み合わせたサービスが広がり始めている。

実店舗は試着に特化「PRの場」

 上質な素材をいかしたベーシックなデザインに定評がある「ザ・リラクス」。ブランド設立8年目の今年6月、初の直営店「ザ・リラクス・フィッティングハウス」を東京・神宮前にオープンした。名前のとおり、試着のための店だ。

 約140平方メートルの広々とした店には、そのシーズンに展開するレディース、メンズすべての服のサンプルが並ぶ。客はここで試着をする。気に入ったら店頭のタブレットから注文することもでき、商品は自宅に配送される。倉橋直行代表取締役は「帰りの電車でスマートフォンから注文したり、卸し先のセレクトショップで買ったりする方もいます」と話す。店は「PRのための場所」との位置づけだ。

 作ったすべての商品を顧客に見せることができるうえ、現金をやりとりする必要がないので「純粋にブランドの世界観を伝えられる」という。デザイナーの倉橋直実は「品質管理が徹底した商品センターから直接、一番きれいな状態でお届けできることもメリットです」と語る。

 「丸井グループ」も昨秋から同様のサービスを一部の店で試験的に始めた。サイズ展開が豊富な自社ブランドの靴とパンツを対象に、売り場には試着用のサンプル商品を全サイズ並べた。ネット注文のため、客は手ぶらで帰ることができ、店側は在庫を持たずに済む。同社の通販サイトから注文するため、次回以降もリピーターとしてサイトから購入してもらえるのでは、と期待している。

販売員の装い、身長で検索も

 同様の取り組みをセレクトショップ「ビームス」も始めた。昨年9月に公式サイトと自社の通販サイトを統合し、販売員の着こなしを紹介するコーナーを作った。アイテムや販売員の身長で検索して参考にしたい装いを探すこともできる。着用品はそのまま通販で購入できるものが多い。

 「ビームスプラス原宿」のショップマネジャー長谷部慎之介さんは、開店前にその日の装いを写真に撮り、短い説明をつけてほぼ毎日投稿している。「今の販売員には、この服をどう着るのかという提案が求められている」と長谷部さん。

 同じ店で働く岩折純平さんは身長163センチ、体重95キロ、着用サイズはほぼXLという体格を生かし「細い人が着た写真ではわからないこともあると思う。ネットで買うときにも参考にしてもらえれば」と話す。

 全員に同じ情報を提供するのではなく、欲しい人に欲しい情報を届けることを目指している。開発事業本部EC統括部の尾浜あづさ係長は「サイトと店舗がそれぞれの良さを補完し合う仕組みにしていきたい」と話す。

新進ブランド、期間限定出店

 若者文化をリードしてきた商業施設「渋谷109」も実店舗とネットの連携に力を入れている。

 今年4月、地下2階に開店した「イマダ・マーケット」は、SNSで人気を集めるネット販売の新進ブランドなどが2~3週間の期間限定で出店する。店舗と通販サイトの在庫を一元管理する最新のシステムを導入している。

 公式サイトも刷新した。10個あったサイトをひとつにまとめ、新たに人気の販売員らを紹介する「フラッグシップガールズ」というコーナーをつくった。

 カメラマンが撮ったおしゃれな写真に、私生活を語るインタビュー記事。身近な憧れの女性を演出し、自社の商品を着て紹介する個人のインスタグラムなどのSNSにも誘導する。中には自分の出勤日を載せ、客との関係を築いていたり、1万人以上ものフォロワーがいたりする販売員もいる。

 運営するシブヤ109エンタテイメント渋谷運営部の澤邊亮担当部長は「個を立ててメディア化していくことが、来店にもつながる」と話す。

(長谷川陽子)

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