朝日新聞ファッションニュース

輝き ドラマチック 高級ジュエリー 新作コレクション

  • 2017年9月8日

 よりドラマチックに、創造的に。7月にあった2017年秋冬パリ・オートクチュールコレクションの期間中、欧州の有名宝飾ブランドの新作が発表された。好調な市場を反映してか、豪華な演出と、貴重な石をふんだんに使った詩情あふれるダイナミックなデザインが目立った。

卓越の技が生むファンタジー

 著名な宝飾ブランドが集まるパリ・ヴァンドーム広場から、1936年製のルノーのボンネットバスに乗り込むと、着いた先は遊園地の博物館。ショーメは、回転木馬や射的などレトロな遊具を背景に、凝ったゴージャスな作品を披露した。

[1]ショーメ

 テーマはオペラやワルツなどの音楽。英国の音楽祭をヒントにしたネックレス=[1]は、ダイヤモンドやうるしで表したタータンチェック柄のリボンの下に、28・98カラットのコロンビア産エメラルドがさん然とぶら下がる(4億800万円)。

[2]ブシュロン

 創立約160年のブシュロンの会場に入ると、そこは幻想的な雪と氷の世界。このブランドが1897年にモスクワに出店して以来、影響を受けてきた「冬の帝国・ロシア」のイメージだという。シラカバの道を進むと、雪の結晶を拡大して、下部に5・2カラットのダイヤを輝かせたネックレス=[2](2億4600万円)や、約2千個の真珠と78・33カラットのアクアマリンなどで帝政ロシア時代の伝統衣装の襟を模したチョーカーが置かれている。冬空に星が瞬くようなダイヤのイヤリング、毛が霜に覆われたクマやキツネを模したダイヤのリングなども。

[3]ヴァンクリーフ&アーペル

 ファンタジーの表現では、ヴァンクリーフ&アーペルも負けていない。「秘密」を題材に、意表をつく様々な愛らしい工夫がこらされている。翼をあげるとひな鳥が隠れているオウムのクリップ=[3](1億4520万円)は、ルビーやガーネットなどでかたどられている。ダイヤやルビー、エメラルド製の伝書バトのクリップは、手紙の裏に「L'Amour(愛)」の文字が。飲み込んだ難破船が口の中から飛び出すクジラのモチーフ……。巧妙な仕掛けの裏に、卓越した発想力と技術が隠れている。

[4]ディオール

 ディオールもベルサイユ宮殿の庭から発想した渾身(こんしん)の66点を発表した。リング=[4]は2400万円。池の水しぶきをダイヤで、花壇の花は何色ものサファイアで。高価な色石を非対称にかつ凸凹に配置するなど、宝飾デザインの新たな可能性を感じさせる。

[5]シャネル

 シャネルは、海やヨットがモチーフ。いかり形のダイヤのブローチ=[5](約3000万円)など、日焼けした夏の肌に似合うウィットに富んだ作品。

高いデザイン性、人気集める

[6]ショパール

 オートクチュールを意識したブランドも多かった。ショパールは、中国の若手デザイナー、グオ・ペイと協業し、彼女のオートクチュールのショーで作品を見せた。ダイヤでレースを編み、36・05カラットのエメラルドを垂らした襟形のネックレス=[6](1億9158万円)。アジア風のひすいと西洋的なエメラルドをミックスするなど、東と西をつなぐようなデザインも。

[7]TASAKI

 日本発のTASAKIも、プラチナの糸で織り、計33・19カラットのダイヤを使った、本物のレース襟風のネックレス=[7](7800万円)が印象的だった。

[8]ピアジェ

 ピアジェは「陽光」をヒントに、光が放射線状に広がるようなネックレス=[8](3億600万円)、ルイ・ヴィトンは54・3カラットのトルマリンが鎮座するネックレス=[9](1億2400万円)など、ブランドの象徴的なモノグラムをかたどった。

[9]ルイ・ヴィトン

 こうした作品は世界のごく限られた富裕層に向けたものだが、「会期中に3割以上が売れた」、「売約済みが多い」というブランドが多かった。顧客の生活スタイルに応じて昼夜、何通りもの付け方ができる作品が増えた。「価格よりもデザイン性を決め手にする客が急増している」との声も。デザインの希少性が、より資産価値を高める。不調のアパレルを尻目に、勢いのあるところに創意工夫や創造性が集まってきている。

 ショパールとTASAKI以外の価格は参考。(編集委員・高橋牧子)

 

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