リノベーション・スタイル

<158>“ご近所さん”感覚の二世帯住宅

  • 文 石井健
  • 2017年9月20日

[N邸]
Nさん一家(夫44歳 妻44歳 長女6歳 長男2歳)
東京都町田市 築30年/125m²/総工費 非公開

    ◇

 今回は、奥様が出産後、ご自身が育った東京郊外のご実家に戻り、二世帯住宅にリノベーションした事例です。

 もともとは奥様のお父様が建てた2階建ての賃貸併用住宅。その後、しばらくは賃貸に出しておらず、1階部分はお父様の事務所、お母様の折り紙教室として使用されています。

 もともとNさんご夫婦は世田谷区の賃貸マンションに住んでいらっしゃいましたが、2人目の妊娠を機に広い住まいを探すことに。当初は住み慣れた沿線の戸建てなども見ていましたが、中古で自由にリノベーションができる物件がなかなかありませんでした。しかも30代後半の結婚で、これからローンを組むことや、共働きの子育て、相続の問題なども考えると、「実家をリノベーションして二世帯で住む」ということが一番合理的な選択肢だったといいます。

 Nさんご一家が住むのはご実家の2階です。専有面積は125㎡。丘陵地に建ち、庭には大きな木があったので、白をベースにした木漏れ日あふれる空間を目指すことにしました。

 まずは「広々と住みたい」というご主人の希望をかなえるため、室内ができるだけ一つの空間になるようにプランニング。天井高も高くとり、天窓を空けて自然光を室内に取り込みました。

 ご主人は仕事柄、帰りが深夜になることも多いので、玄関はご両親とは完全に別。中は階段で行き来もできるので、お子さんが1階へ遊びに行ったり、お母様から足りない食材を分けていただいたり、3世代でごはんを食べる日があったり、気分的には“寝食をともにする二世帯同居”というよりは、“ご近所さん”という感覚です。見た目は二世帯ですが、実際のライフスタイルとしては、長屋のお隣さんに近いのです。

 二世帯住宅といえば完全に同居で、嫌な思いをしたという話を聞いたことがありました。中には「絶対に親とは一緒には住まない」という人も。でも、最近ではその辺のバランスを上手に取り、絶妙な距離感で二世帯住宅を実現する人が増えてきました。資産的な合理性もあり、ますますこの傾向は増えるでしょう。

 奥様は都会の暮らしも気に入っていて、「今は子育てのため郊外にプチ移住している気分。年をとったら、また都会に住みたい」ともおっしゃっています。そのときどきで優先順位をつけ、合理的な選択をして今の暮らしを楽しむ。二世帯住宅も新世代の時代ですね。

リノベーションの写真 つづきはこちら

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

石井健(いしい・たけし)「ブルースタジオ」執行役員

写真

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

今、あなたにオススメ(PR)

Pickup!