朝日新聞ファッションニュース

技巧の粋、機能の美 「フランス人間国宝展」「フィンランド・デザイン展」

  • 2017年10月2日

 かたやきらびやかなフランスの伝統工芸、かたや質実なフィンランドのデザイン。東京都内のミュージアム2館で、対照的な海外の美に触れられる展覧会が始まった。

フランス人間国宝の芸術性 @東京・上野

ロラン・ダラスプ「グラス チューリップ」(1992年)(C)Philippe Chancel

 東京・上野の東京国立博物館で開催中の「フランス人間国宝展」。普段は「暮らしの工芸品」を作る伝統工芸の最高技能者「メートル・ダール」が、芸術家の顔で卓越した技を見せる。計15人の約230点。作品はガラスケースに入っておらず、近寄って鑑賞できる。時間によって照明の当て方を変えるなど、見せ方に工夫を凝らした。キュレーターのエレーヌ・ケルマシュテールは「フランス工芸の多様性と、伝統と革新を両立させる技を見て欲しい」と語る。

 国賓のギフト制作を担当する金銀細工作家ロラン・ダラスプは、有機的な曲線が印象的なチューリップ形のグラスを展示。鳥の羽根を重ね合わせた花弁などで、高級メゾンの服やジュエリーの装飾を担当する羽根細工作家のネリー・ソニエによるオブジェも、日本の伝統工芸とはひと味違う華麗さを演出する。

ロラン・ダラネリー・ソニエ「夏の盛り 思いがけない樹木」(2017年)=東京国立博物館プ「グラス チューリップ」(1992年)(C)Philippe Chancel

 ミシェル・ウルトーは、フランスで唯一のオートクチュール傘を手掛ける。シルクを主体とした生地に、黒檀(こくたん)やブナの柄を組み合わせた12本を出品した。ウルトーは「60年代から70年代まで傘はファッションの一部だったが、今やティッシュのように使い捨てる時代になった。クオリティーの高いものを長く使って環境負荷を減らしてほしいと願っており、この価値観はほかの作家とも共有していると思う」と話す。

 国が称号を与えるメートル・ダールは日本の人間国宝制度を手本にして1994年に始まり、昨年時点の認定者は約120分野で124人。給付金が与えられる一方で、後継者育成の責務を負う。

 11月26日まで(月曜休館)。日本を皮切りに5大陸に巡回予定。

調和の北欧デザイン @東京・府中

生地「ピエニ ウニッコ」を使ったドレス「フヴィ」(1964年)。生地デザインは、マイヤ・イソラ

 北欧の生活に根ざした質実な作品を目にできるのが、東京・府中市美術館で開催中の「フィンランド・デザイン展」だ。客足は、予想を上回る勢いだという。

 今回光を当てるのは、日本人にもなじみがある、テーブルウェアや家具、テキスタイルのデザイン。計約700点を紹介している。マリメッコ社のデザイナー、マイヤ・イソラが生んだウニッコ(ケシの花)柄をあしらったワンピースやドレス、「北欧モダンデザインの父」と呼ばれるアルヴァ・アアルトが制作した機能美のいすは特に知名度が高い。

入り口付近には、展示品と同型のいすに座れる体験コーナーも=府中市美術館

 フィンランドの多くのデザイナーは、自然から着想を得て作品を生み出しているという。同館の音ゆみ子学芸員は「フィンランド人には自然は改変するのではなく、調和するものという意識があるようだ。その自然観は日本人と親和性があり、人気につながっているのでは」と話す。

 会場ではマリメッコの小物類など、物販も充実。入り口の近くには、展示作品と同型のいすに座れるコーナーもある。10月22日まで(月曜休館)。(木村尚貴)

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