ほんやのほん

デザイナーが趣味で作るから面白い。ZINE「Hey Taxi」ほか

  • 文・高山かおり
  • 2017年10月2日

撮影/馬場磨貴

  • 「OJ PAPER」otome journal 1620円(税込み)(写真/otome journal) 

  • 「OJ PACKED ZINE」otome journal 540円(税込み)(写真/otome journal)

  • 「Hey TAXI ~タクシーで聞いた、タクシーのこと~ 創刊号!」Hey TAXI編集部 410円

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 出逢いは、突然だった。
 冬が終わりを迎えようとしていたある日、小さなアートブックフェアに出かけた。
 なんだか訳のわからないようなキラキラとしたガラクタが(失礼な表現ですみません)目に飛び込み、吸い込まれるようにしてブースの前にたどり着いた。
 それが、私とotome journalとの出逢い。

ロンドンで始まった交換日記
「otome journal」

 otome journalは、グラフィックデザイナーの小林圭さんとテキスタイルデザイナーの井口愛弓さんによって2006年に発足したクリエーティブユニット。
 ロンドンで留学していた頃に出会った2人は交換日記を始める。それが普通の交換日記ではなかった。自分でコラージュした作品に文を載せて交換しあっていたのだ。

 お互いを刺激し合い関係を築く2人もすてきなのだが、その作品の完成度の高さに驚かされる。2006年から2017年までの日記や作品をアーカイブとしてまとめたタブロイド紙、その名も「OJ PAPER」と日記と作品の一部をパッキングしたZINE(ジン)、その名も「OJ PACKED ZINE」をブースで販売していて、冒頭で触れたキラキラとしたガラクタの正体は、「OJ PACKED ZINE」であった。

 交換日記とは、公開することを目的に書かれるものではない。
 そんな親密な世界に触れてしまえるドキドキ感と、訳のわからないガラクタたちになぜかいとおしささえ感じてしまう。
 そんな2人のコンセプトは、“どこまでotomeで貫き通せるか”。そして、「OJ PACKED ZINE」は、日記の一部がランダムにパッキングされているため同じものがない。選ぶ楽しさもあるのだ。
 今まで数々のZINEと出逢ってきたが、久しぶりに心を動かされた瞬間だった。

 otome journalの2人は、本業の傍らこのような活動をしている。
 最近、個人的に面白いと感じ手に取るZINEは、デザイナーとして働く傍ら趣味で作成した、というものが非常に多い。趣味で作っているがゆえ、その製作者の個性が色濃く反映されていて熱い思いを持って作成されているということがひしひしと伝わってくる。「Hey TAXI(ヘイタクシー)」もそのひとつだ。

タクシーの徹底観察誌、「Hey TAXI」

 ふとしたきっかけでタクシーに興味を持った、グラフィックデザイナーやコピーライターとして制作会社に勤務している数人が作成したのが本誌。タクシーは交通手段でしかないと大多数の人が思っているのでは、ということを逆手にとりタクシーの観察を始めたとのこと。

 実際にタクシーに乗って運転手さんにインタビューをしたり、車体の色や行灯(あんどん)の形を観察したりしていく中でみえてきたものとは……。
 そんな目の付け所に脱帽である。
 本誌の価格も東京の初乗り料金である410円に合わせているところがニクい。
 現場の生の声を拾うことの面白さ、そしてそれを届けようと思う彼らがいること。
 自分の知らない世界を広げてくれる、きっかけをくれる。

 それがZINEの面白さだ。
 そんなきっかけをくれる彼らに感謝をしながら、私は今日もZINEや雑誌、本との出逢いを探す。
 まだ見ぬ世界を見るために。そしてそれを多くの方に届けるために。

>>代官山 蔦屋書店T-SITE SHOPPING 高山さんおすすめZINEのページはこちら

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PROFILE

高山かおり(たかやま・かおり)

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代官山 蔦屋書店 マガジンコンシェルジュ。北海道生まれ。
某セレクトショップにて販売員として5年間勤務。在職中にルミネストシルバー賞を受賞。2012年4月より現職。主に国内の雑誌・リトルプレスの仕入、マガジンストリートでのフェア・イベントの企画を手がける。初めて読んだ雑誌は、4歳のときに出会った「こどものとも」。

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