朝日新聞ファッションニュース

もっと夢を、ロマンチック新章 18年春夏ミラノ・コレクション

  • 2017年10月20日

 ニュー・ロマンチック。9月25日まで開かれた2018年春夏ミラノ・コレクションでは、パンクの要素を融合した切れ味の良いロマンチックなドレスなど、フレッシュさを強調したフェミニンなスタイルが目立った。アパレル不況の中、大掛かりな演出やメッセージ性の強い表現で市場を活性化しようとする意気込みが感じられた。

手の込んだ装飾 優しい色 透け感

グッチ

 ニュー・ロマンチックスタイルの流れを作ったのは、約3年前にアレッサンドロ・ミケーレをデザイナーに登用して以来、極めて手の込んだ装飾的なスタイルを押し通してきたグッチだろう。ファストファッションが世界的に浸透する中で、簡便さや機能性だけでなく、服とはもっと夢のあるものだというとらえ方が広がったとみられる。

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 今回はミケーレの友人という歌手エルトン・ジョンとの協業で、きらびやかなロック・スターのイメージが加わった。ただ、1980~90年代のラッパーやスポーツ、白雪姫やアニメ、スケートといった様々な要素をミックスするのはこれまでと同じ。スフィンクスや仏像が並び、ホラー映画の亡霊の声のような音が響く会場を、得意のレトロで凝ったフェミニンスタイルのモデルが歩いた。

 テーマは「創造とは、反抗する行為」。新しいものばかりを求めることに反抗し、もっとのんびりと自分のペースを大事にしようとの呼びかけという。消費とは? 文明とは? そうした問いかけを、いま最も勢いがあるブランドが示した点が興味深い。

プラダ

 プラダは男性的なデザインを取り入れながら、新しいジェンダーへの思いを表現した。

 たとえば、メンズ風のシャツに、エプロンドレスの重ね着。服の上には、世界の女性漫画家9人が「二面性のある女性」を描いた作品をコラージュのように施した。目の下にクマをつくりはいつくばる女性、サングラスのミラーに燃え盛る家が映りこんだ女性。どれも男性的な風情もあって、現代女性のリアリティーが漂う。

(左)ジョルジオ・アルマーニ、(中央)ドルチェ&ガッバーナ、(右)エトロ

 エトロもより装飾性が強く、インドのサリーを思わせる優雅なドレスで老舗の底力を見せた。ドルチェ&ガッバーナは、「ハートのクイーン」をテーマに様々なトランプ柄を服にあしらった。

 爽やかで若々しいロマンチック調を見せたのは、ジョルジオ・アルマーニ。ピンクやサックスブルーの明るい色や花柄を独自の光沢のある生地にのせ、ミニ丈のスーツなどに仕立てた。

 新しいロマンチックムードを作る要素として、淡い黄色や茶、ヌードピンクなどの優しいパステルカラーが使われている。チュールなど軽やかな透ける素材使いで、フレッシュな感覚を打ち出すブランドが多かった。アイテムではキャミソールドレスが目立った。

ヴェルサーチ

 ヴェルサーチは、没後20年を迎えた創始者ジャンニのデザインを現代的に落とし込み、アニマル柄や金色の草花の装飾的な柄を使った。フィナーレにはシンディ・クロフォードやカーラ・ブルーニら往時のスーパーモデルがゴールドのボディコンドレス姿で勢ぞろいし、セクシーさやゴージャスさを際立たせた。

(左)アンテプリマ、(右)ジル・サンダー

 デザイナーが交代したブランドでは、ジル・サンダーがシンプルな中に独特のディテールを効かせて新鮮。日本勢では、デビュー25周年を迎えるアンテプリマがふわりとエアリーな軽さを見せた。若手のアツシ・ナカシマやウジョーも健闘した。

 今回は約60ブランドがショー、約100ブランドが展示会形式で新作を見せた。インターネットを使った発表を各ブランドが模索する中、ドルチェ&ガッバーナはショー前夜に素人モデルが主に登場する「秘密のショー」を決行。インスタグラムに映える作り込んだ服と演出で、会場の盛り上がりを拡散させた。(編集委員・高橋牧子)

 <写真は大原広和氏撮影>

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