猫と暮らすニューヨーク

クールなDIY空間に暮らす、16歳のおてんば猫

  • 文・仁平綾、写真・山田真実
  • 2017年11月6日

「プラスチックの雑貨は置かない」というエリッサさん。センスよく飾られているオブジェや陶器などをPPが壊したのは、これまでで、たったひとつだけ!

[猫&飼い主のプロフィール]

猫・Perfect Pretty(パーフェクトプリティ)メス 16歳 トラ柄の雑種

飼い主・Elissa Ehlin(エリッサ・エリン)さん(インテリアデザイナー)。プロダクトデザイナーのご主人Jay(ジェイ)さんと、12歳になる息子のCougar(クーガー)君と共に、自分たちでDIY(リノベーション)したブルックリンのウェアハウス(元倉庫の建物)に暮らす。

    ◇

 日ざしがやわらかに降り注ぐ寝室のベッドの上で、茶トラ柄の体をぎゅうっと丸め、すやすやと平和に眠る、御年16歳のおばあちゃん猫、パーフェクトプリティ。

「私たちはPP(ピーピー)って呼んでるの」とは、飼い主のエリッサさん。

 長年一緒に暮らしながらも、猫アレルギーのため手の甲でしか猫を撫でられない、というエリッサさんが、PPの背中をいつものようにひとさすり。すると素早く顔をあげたPPの、目力というか眼力というかに驚いた。老齢には思えない、まなざしの強さ。しかも差し出した手に、すかさず鋭い猫パンチを繰り出してくるあたり、おばあちゃん猫らしからぬ血気盛んさだ。

 それもそのはず。エリッサさん曰く、PPはそんじょそこらの猫とは違う、数々の武勇伝を誇る、おてんば猫。なるほど、その衰え知らずのシャープな切れ味は、昔取った杵柄というやつか……。

 そんなPPの武勇に富んだエピソードのひとつ、リス退治の一件はこんな感じだ。

「私の友だちが家を購入したのだけれど、リスの害に悩まされていたの。PPは、鳥もリスもネズミもお手のものの名ハンターだから、その友だちに1カ月PPを貸してあげたのね」(エリッサさん)。必殺仕事人PPは、毎日淡々と任務をこなし(でも決してリスを食べることはしなかった)、リスの害から友人宅を救ったのだという。

 数年前には、こんな出来事もあった。

 ある日、PPが不覚にも階段から落ちてしまった。運悪く、その下には鋭利な彫刻が置かれていて、なんとPPの脇腹に刺さってしまったのだ!

「血をたくさん流して、それはそれは大変なケガだったの」とエリッサさん。すぐさま病院へ連れ込み、手術を受けて一命はとりとめたPPだが、薬の副作用もあり、舌は常に口の外へ飛び出たまま。朦朧(もうろう)として、ふらふらさまよい歩くという、ただならぬ姿に……。

「でもね、たった1年で完璧に快復したのよ。なんて強い免疫機能を備えた猫なのかしら!」(エリッサさん)

 ときには自ら、問題行動も起こす。

 普段から外に出て、近所を探検するのが好きだったPPは、ある日、魔が差したのかどうかは知らないけれど、「家出を試みた」らしい。「近所の工場へ逃げこんでしまったの。そのうちにシャッターが閉まって、閉じ込められてしまって」

 ちょうど週末だったため、シャッターが開く月曜まで、エリッサさんは工場へ何度も通い、シャッターの隙間からPPにエサを与えたのだという。

 「そうそう、PPは誘拐されたこともあるのよ」と、さらなる衝撃の事件が。

 PPがいつものように家の玄関の外に座り、道行く人を眺めていたところ、突然行方不明になってしまった。ご主人と息子さんも一緒になって、PPを必死に捜索したエリッサさん。ペットショップや保護施設を訪ね歩き、携帯電話に送信されるアラート機能を駆使したり、張り紙もしたり……。

 そのうちに、通りがかった近所の人が、野良猫と勘違いして連れ帰ってしまったことが判明。PPは、無事保護されたのだった。

 界隈きってのお騒がせ猫でもある、パーフェクトプリティ。エリッサさん曰く、逸話は「まだまだ、あるのよ」とのことですが、今回はこのへんで。これからのPPの余生が、どうか平穏無事なものでありますように!

>>つづきはこちら

 連載「猫と暮らすニューヨーク」では、ニューヨークで猫と生活するさまざまな人を訪ね、その暮らしぶりから、ユニークなエピソード、インテリアや飼い方のアイデアまでを紹介します。

Elissaさんのインスタグラム
https://www.instagram.com/waterbury_house/

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PROFILE

仁平綾(にへい・あや)編集者・ライター

仁平綾

ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
http://www.ayanihei.com
http://www.bestofbrooklynbook.com
photo by Naoko Maeda

山田真実(やまだ・まみ)写真家

山田真実

鳥取市生まれ、大阪芸術大学写真学科卒業、現在はアメリカ在住のフォトグラファー。渡米前は10年以上に渡り、株式会社文藝春秋の写真部にて、女性誌の撮影から、アーティストのポートレート、スポーツ取材まで幅広く担当。ドキュメンタリーな視点を大切にしながら、現在も雑誌、書籍、Webなどで活躍中。
http://www.mamiyamada.jp/

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