朝日新聞ファッションニュース

東京コレクションー18年春夏 戻る華やぎ、目指す高み

  • 2017年11月13日

アマゾンが後押し、実力派も新進も

 2018年春夏の新作を発表する東京コレクションが10月16~22日に開かれた。スポンサーのアマゾンジャパンが独自に設けたプログラム「アットトウキョウ」に、海外で作品を発表している実力派ブランドや、新進気鋭のブランドが参加。例年にない盛り上がりを見せた。

 ■合同ショー実現

(左)サカイ、(右)アンダーカバー

 阿部千登勢のサカイと高橋盾(じゅん)のアンダーカバー。パリ・コレクションで活躍する2人のデザイナーが20日、東京都新宿区の聖徳記念絵画館前で、一夜限りの合同ファッションショーを開いた。日本でのショーは、サカイは初、アンダーカバーは15年ぶり。

 「自力じゃできない」(高橋)という大がかりなショーが実現した背景には、アマゾンの強力なサポートがある。昨年東京コレクションの冠スポンサーについた同社は「ファッションのアマゾン」の確立に本腰を入れている。前回から始めた「アットトウキョウ」では、ショーを開いてほしいブランドに声をかけ、資金面などで支援する。自社サイトに特設ページを作って限定商品を売り出すなど、ショーとサイトを連動させている。ファッション事業部門のジェームズ・ピータース統括事業本部長は「東京で活気あるファッションコミュニティーを作る一翼を担いたい」と話した。

「What comes around goes around」と書かれた羽織りものを着て歩くモデル

 今回のショーはサカイから。明るい光と軽快な音楽をバックに、素材や色を組み合わせた得意のスタイルを見せた。後半のアンダーカバーでは暗くロマンチックな雰囲気に一変し、モデルが2人1組でリバーシブルの服をまとって歩いた。

 「次世代の若い人たちに見てもらいたい」と、全国からファッションを学ぶ学生を約200人招待した。名古屋から来た明美文化服装専門学校4年の浅川恵里佳さん(22)は「思いもつかないクリエーション。戻って早く服作りがしたくなった」と興奮ぎみに話した。

 高橋は「一生懸命やっていれば、自分に返ってくると言いたかった」。フィナーレで見せた白の羽織りものに載せた「What comes around goes around(自分がしたことは自分にかえってくる)」という言葉は、若い世代に向けた2人からのメッセージだった。阿部は「私も、もっと高みを目指します」と話した。

 ■あえてミックス

 近年はロンドンで新作を発表しているトーガも、12年ぶりの東京でのショーで注目された。

トーガ

 会場は夜の国立新美術館(東京都港区)。モデルが2階からエスカレーターで次々と降りてくる演出で、男性モデルに女性用のシャツやパンツ、ワンピースなどを着せたのが印象的だった。デザイナーの古田泰子は「今の日本に足りない、ジェンダーレス、ボーダーレスでというところで、あえて(男女の)ミックスを試みた」。アマゾンの支援については「大きな企業のサポートは望んでいるところ。興味を持ってもらえるきっかけになる」と話した。

 ■メンズも派手に

タカヒロミヤシタ・ザ・ソロイスト

 人気のメンズブランドも参加した。元「ナンバーナイン」の宮下貴裕がデザインするタカヒロミヤシタ・ザ・ソロイストは、2010年の設立以来、初めてのショー。夜の秩父宮ラグビー場に設けられたテントで、モデルはマスクで顔を覆い、ぬいぐるみを手に持って歩いた。黒や白のセットアップにビニールの上着を重ねるなど、ミステリアスな空気を漂わせた。

ブラックアイパッチ

 デザイナーなどの情報は非公開のストリートブランド、ブラックアイパッチは、渋谷の旧観世能楽堂をブランド初のショー会場に選んだ。能舞台には、金地に巨大な松を描いたグラフィティアートを置き、モデルが爆音とともに旧型バイクで乗り付けたり、スケボーに乗って登場したり、派手な演出で東京カルチャーを表現した。

 実力をつけた日本ブランドは発表の場を海外へ移し、最近の東コレは停滞ムードが漂っていた。今回、巨大企業のサポートで時のデザイナーが参加し、華やぎを取り戻したといえる。東京でもここまで完成度の高いショーを見ることができるのだと、心を動かされた。(木村尚貴、長谷川陽子)

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<サカイとアンダーカバーはアマゾンファッションとサカイ提供。その他の写真は大原広和氏、野村洋司氏撮影>

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