リノベーション・スタイル

<162>都心で選んだ「草原の風景」がある部屋

  • 文 石井健
  • 2017年11月15日

[F邸]
Fさん(40代)
東京都渋谷区 築45年/45.5m²

    ◇

 Fさんは外資系企業に勤めるキャリアウーマンです。バリバリ働き、30代で中古マンションを購入されました。勤め先にも自転車で行ける距離で、快適に都会生活を楽しみつつ、将来的な売りやすさも考慮して見つけたのが、代官山にある築45年のこちらのマンション。

 間取りは、サニタリールームと収納があり、ダイニングキッチンから寝室へというシンプルなもの。比較的オーソドックスな1LDKですが、寝室には仕切りを設けず広々としたワンルームに。

 もともとグリーンを飾りたいという要望から“草原”をイメージし、床をすべてザイル麻にしました。特徴的なのは、床の一部に“むにゅっ”とした傾斜があり、なだらかな丘陵のようになっているんです。

 この“むにゅっ”は、リビングルームと寝室の境目にあります。傾斜が気持ちいいんですよ。まるで麻の草原にいるような感じで、床に座ると傾斜部分のカーブが体にフィットして、芝生に寝転がるようにくつろげます。

 家の中で“外(そと)感”を出したいときには、玄関を土間にしたり、インナーテラスを作ったり、いろいろな方法がありますが、今回のように床に起伏を作るのもその一つ。自然界の地面ってフラットじゃないですよね。だから起伏をつくると、その起伏が部屋の中に“風景”を作り出すんです。

 ちょうどリビングルームから寝室へ入る境目に起伏を作ったので、壁こそないものの、見えないゾーニングがあり、ゆるやかに傾斜をあがると寝室へ入るようになっています。寝室は日の当たる場所にゆったりと取ってあり、ベッドも大きめです。

 床に3カ所、青いタイルが埋め込まれていますが、こちらは植栽用に最初から場所を決めて作りました。窓際をインナーテラスにすることはよくありますが、それを部屋の中に持ってきた、というイメージです。

 キッチンは壁付けで、寝室との境にパントリーを設けています。コンロはフランス製のロジェール、洗濯機はドイツ製のAEG。キッチンの向かいには食事もできるバーカウンターのようなものを置きました。このテーブルは収納もあり、けっこう便利です。

 青い陶磁器のタイルが印象的なお風呂は洗い場がなく、ホテル仕様。全体的にどこかヨーロッパのアパルトマンを彷彿(ほうふつ)とさせる雰囲気がありますよね。

 Fさんは今年海外に転勤になり、今はこの部屋を賃貸に出していますが、募集中は外国人の方からもお問い合わせをいただきました。立地がよく、部屋も快適ですから、今後も賃貸に出しやすいでしょう。自分が楽しみつつ、将来の資産性もある。リノベーションのお手本のような事例です。

リノベーションの写真のつづきはこちら

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

石井健(いしい・たけし)「ブルースタジオ」執行役員

写真

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

今、あなたにオススメ

Pickup!