こだわり派の逸品

使い込むほどに楽しい紙雑貨 パリ発「パピエ ティグル」

  • 写真 山田秀隆
  • 2017年12月6日

店内にディスプレイされた商品の数々。年に2回新作コレクションを発表している。再生産はしないので、お気に入りのデザインがあればお早めに

 虎をモチーフにしたトレードマークで知られる〈PAPIER TIGRE〉(以下、パピエ ティグル)は、パリで人気のプロダクトショップ。この9月に2号店が東京・日本橋浜町にオープンした。表通りにはオフィスビルが林立するが、一歩路地を入れば老舗の料理店や問屋などが軒を連ね、まさに伝統と新しさが共存する街並み。

 パピエ ティグルのある建物も、もともと印刷工場や飲食店だった築56年の木造2階建てビル。リノベーションした現在は、1階がショップとサロン、2階がショップの運営会社などが入る。

 置かれている商品は、オリジナリティーあふれるポップなデザインと、紙のアナログ感が魅力だ。「どれも紙の手触り感と素材にこだわっています」と東京店の代表、伊藤 心さんは言う。デジタルデバイスにどっぷりな若い世代からさらに上の世代まで、オープン以来、幅広い層に人気だという。ここ数年めまぐるしく変貌を続ける東東京周辺に、また新たなトレンドスポットが誕生した。(文・宮下 哲)

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デザインやアイデアで、虎のように強く

A5サイズノート。表紙のデザインも毎回テーマを変えているそう。新作のテーマは「メキシコ」。毎回デザイナーが旅先で得たインスピレーションからテーマを決めるという。1,728円(税込み)

――〈パピエ ティグル〉という店名の由来は?

 パピエ ティグルは、2011年にデザイナーのジュリアンとアガット、マネージメントのマキシムの3人で起業した会社です。直訳すると「紙の虎」で、日本では「張り子の虎」と翻訳されますが、そういう意味ではありません。紙のように弱い素材でも、自分たちのデザインやアイデア次第で、虎のように強くなれるというのが本当の由来です。店内にあるペーパープロダクトはすべて“メイド・イン・フランス”。年2回、コレクションを発表しています。基本的に再生産はしていないので、お気に入りのデザインのノートが出ると、まとめ買いされるお客さんもいます。

――どのようなお客さんがいらっしゃいますか?

 じつは10代から60代くらいまで、結構幅広いんです。遠くから目的をもって来てくださる方もいますし、ご近所の方たちもよく立ち寄ってくれます。季節柄、仕事帰りの女性がギフト用に買われていくケースも増えています。パピエ ティグルの商品は、ただ買って終わりというよりも、使い込むほどに楽しいというか、使いながら完成していく感覚があるのが特徴です。ノートの中身も途中からデザインが変わったりして、いろいろギミックもあります。単にデザインだけではない機能性の部分にも意識してつくられています。

パピエ ティグルが注目を集めるきっかけになったプリポスタル。19枚のデザインシートは、それぞれ切り離して折ると手紙になり、そのまま切手を貼って送ることができる。 3,132円(税込み)

ペーパークラフトの地球儀。国旗から国を色分けしている。天井から吊るせば、インテリアとしても重宝しそう。このほかにタイムゾーン(各国の時差を記載している)、星座表、月球儀などがある。2,700円(税込み)

パリっぽいけれど、日本橋浜町らしい店に

――リノベーションした店内のインテリアも素敵です。

 インテリアを手掛けたデザイナーの柳原照弘さんとは当初から「本店の世界観をそのまま持ってくるのではなく、日本橋浜町というエリアだからこそ生まれた空間にしたいね」と話していました。

 たとえば、出入口の開口部にはこだわりました。沿道側の壁をすこし取り除き間口を広げ、外側と内側の境界を曖昧にしつつ、できるだけお客さんが入りやすいように工夫しています。街とショップとの距離感も近くていい感じになったなあと思います。

 店内では、日本茶がもてなされたり茶釜もあったりして、日本的な要素も多くあるのですが、それでも、お客さんからは「パリっぽいよねえ」なんて言われます。そんなときは、パピエ ティグルらしさがしっかり表現できているんだと、ちょっとうれしくなりますね。

――伊藤さんの、パピエ ティグルとの出会いは?

 彼らに出会ったのは5年くらい前。デザイナーのジュリアンが来日した際、日本の民藝に興味があるというので、知り合いを介して、たまたま民藝に詳しかった僕が紹介されたのがはじまりでした。その後、民藝以外にも日本のことを紹介していくうちに、ほかのメンバーとも親しくなりました。

代表の伊藤 心さん。写真手前がショップスペースで、奥が日本茶をもてなすサロンスペース

――なぜ、日本橋浜町だったんですか。

 不動産関係の方から「この街で何か面白いことをやりませんか」って声をかけてもらい、最初にこの物件を見た時、すごく魅力的だなあと思ったからです。1961年築のビルで、しばらく倉庫として使われていたということで、「ここならパピエ ティグルと一緒にできるかも」と直感したんですね。ただ、パリにいる彼らにとって、日本橋浜町と言ってもまったく土地勘のない場所。最初は「東京の東側にあって……」とていねいに伝えたんですが、「東側はいいよね」とあっさり返事がきて驚きました。本店のあるマレという地区も、パリの東側にあるんですね。オープニング時に来日したジュリアンとマガットは、「パリの本店と交換したいくらい日本のショップを気に入った」と言っていました。僕としては、この建物と出合えたから、今があると思っています。

色のコンビネーションが絶妙なペン。各648円(税込み)/ペンの下にあるのは、1週間の予定を書き込むために4つのブロックに分かれたノートパッド。3,888円(税込み)

「Waiting for the sun」とのコラボレーションは、ハンドメイドでつくられた木製サングラス。フィット感がバツグン。29,160円(税込み)

日本茶のサロンを併設

――日本茶のサロンも話題ですね。

 唯一パリの本店にはないのが、「サロン・ド・テ パピエ ティグル」という日本茶専門のサロンです。今回、日本でパピエ ティグルをオープンするにあたって、街とショップをつなぐ要素がほしくて、最初はカフェスペースをつくるプランもあったんです。でも結果的にはダジャレで「ティグルだからティーグルで、お茶かな」と(笑)。監修は、「アグリーキャラバン」という会社にお願いしています。お店に置かれている〈PNT〉という茶筒も、すべて彼らによるオリジナル商品。ちなみにサロンスペースの一角には、茶釜も置かれています。僕も今回、日本茶の世界をいろいろ調べたんですが、お茶づくりのこだわりは、パピエ ティグルのモノづくりと通じるところがあると感じました。

「サロン・ド・テ パピエ ティグル」で販売されている茶筒入りのお茶〈PNT〉。11の農家による12種のお茶をそろえており、今後さらに増えていく予定

お茶と一緒にお菓子が楽しめる。(左から)虎家喜(302円)、すはま団子(302円)、笠(302円)(すべて人形町・玉英堂)。ランチタイムには、ランチプレートも

――今後の展開は。

 オープンしてまだ2カ月くらいですが、今後はパリの本店とも連動して、いろんなチャレンジをしていこうと考えています。サロンスペースには本格的なキッチンも設置されているので、料理を絡めたワークショップなんかもやれたらいいなあと思っています。

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PAPIER TIGRE(パピエ ティグル)
東京都中央区日本橋浜町3-10-4
営業時間:11時-19時 日曜・月曜定休
電話:03-6875-0431
https://papiertigre.jp/

店先に置かれたグリーンが気持ちを和ませてくれる。トレードマークのトラがかわいらしい

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