猫と暮らすニューヨーク

夫婦ふたり&内弁慶なオス猫、食卓に座るときはみんな一緒

  • 文・仁平綾、写真・前田直子
  • 2018年1月8日

二人と一緒に、我が物顔で食卓につくミスターホワイト。「さて、今日は何をくれるんですか?」 もちろん、何ももらえませんよ

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・Mr. White(ミスターホワイト)オス 4歳 白に黒のブチ柄
飼い主・クリエーティブディレクターのRadu(ラデュ)さんと、ライターのPatricia(パトリシア)さん夫妻。共にルーマニア出身の二人は、愛猫のMr.Whiteと共にブルックリンのアパートメントに暮らす。

    ◇

 4年前、妻パトリシアさんの30歳のバースデーに、子猫を贈ろうと計画した夫のラデュさん。保護施設を探しまわった末、ブルックリンのペットショップで、レスキューされたばかりの2匹の子猫に出会い、そのどちらかを家族に迎え、彼女へのサプライズにしようとひそかに決めた。
「誕生日の夜は、二人でレストランに出かけてディナーをしたの。食事を終えて、地下鉄で家に向かう途中、ラデュが2駅手前の駅で降りて、歩いて帰ろうって提案してきてね。うそでしょ、真夏だから夜でも気温が40度近くあるのに、この人、絶対に何かたくらんでるって、すぐにわかったわ(笑)」とパトリシアさん。

 ラデュさんにうながされペットショップに足を踏み入れると、ケージの中に2匹の子猫がいた。「1匹は、跳びはねてやんちゃに遊ぶ子猫、もう1匹は、恨めしそうな目つきでケージの奥にじっと座っているだけ。その姿を見た瞬間、この猫だ!って思ったわ。内気な性格の私は、その猫にシンパシーみたいなものを感じたのね」(パトリシアさん)

 途中であっさり感付かれるという、少々ツメの甘いサプライズではあったものの、ずっと猫が飼いたかったパトリシアさんにとって、この上なくうれしい誕生日となった。頭や背中に黒いブチ模様のある白いオス猫を、二人はミスターホワイトと名付けた。

 内弁慶な性格のミスターホワイトは、「家の中で、やりたい放題」とパトリシアさん。例えば、二人が食卓につけば、ミスターホワイトも「当然」といった面持ちで椅子に座り、自分の食事がサーブされるのを待つ。
 またある時は、タンスの背面の隙間からこっそり引き出しに入りこみ、そのままぐうぐうと昼寝をきめこんだことも。まさか引き出しの中にいるとは思わないパトリシアさん、ミスターホワイトがこつぜんと部屋から消え、心臓が止まるかと思うぐらい動転したらしい。

 ある夜、こんな事件もあった。
「夜中にミスターホワイトが突然部屋中を走りだしたの。驚いて目が覚めて、夫のスリッパを履いてトイレに行ったのだけど、ミスターホワイトがそのスリッパをガリガリ引っかくの。なんだろうって不思議に思いながらも、ベッドに戻ってまた寝たわ。朝になって、夫がこう言ったの。『夕べ、君の後に僕がトイレに行こうとしたら、スリッパの中に小さなネズミがいたんだよ! ミスターホワイトの仕業だね』って。ちょっと待って。そのスリッパ、寝ぼけていたから気づかなかったけど、たぶん、恐らく……、私が履いたときすでにネズミが中に“いた”わよね(笑)」(パトリシアさん)

 足先の、触れるか触れないかのところに、ねずみ……。とんだホラーである。
(ちなみに、ミスターホワイトによって深手を負った、その哀れなネズミは、ラデュさんが保護し、近所の公園に放したという)

 さて、やりたい放題のミスターホワイトだが、時には二人を驚かせるような、不思議なチカラを発揮する。
「私たちの具合が悪いと、それがわかるみたいなの。ゴロゴロいいながら、悪いところを癒やそうとしてくれる。私が甲状腺の病気を患ったときは、よく胸の上に乗ってきたし、ラデュが頭痛で苦しんでいると、頭の上に乗ってくるのよ」(パトリシアさん)。

 さらには、ちょっと奇妙なこんな出来事も……。
「夜中に、キッチンでミスターホワイトが、大きなボウルを突然床に落としたことがあったんだ」とラデュさん。朝になって、ラデュさんの携帯電話に、家族からメッセージが届いた。「おじいちゃんが亡くなったって。亡くなった時間が、ミスターホワイトがいたずらした時間と、ちょうど同じだったんだよ」。

 それは、ただの偶然だったのか。それとも、ミスターホワイトの超能力だったのだろうか……。猫との暮らしの中では、実にさまざまなことが起こるものである。

>>つづきはこちら

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ミスターホワイトのインスタグラム https://www.instagram.com/mrwhitebrooklyn/

パトリシアさんのウェブサイト http://www.patriciabecus.com/

ラデュさんのウェブサイト http://www.radubecus.com/

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PROFILE

仁平綾(にへい・あや)編集者・ライター

仁平綾

ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
http://www.ayanihei.com
http://www.bestofbrooklynbook.com
photo by Naoko Maeda

前田直子(まえだ・なおこ)写真家

前田直子

24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
http://www.naokomaeda.net

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