“絵本のプロ”が選ぶ新刊絵本は? 「MOE絵本屋さん大賞」[PR]

  • 2018年2月2日

 子どもに読み聞かせる絵本。どんなものがよいか悩んだあげく、気づけば昔からある本ばかり選んでいる……なんてこと、ないでしょうか? もちろん、自分が小さい頃に読んでいた絵本もすばらしいのだけれど、たくさんあるのだから、新しいものも選んであげたい。絵本の世界も気づけば多彩になっていて、かつてはなかったような楽しい絵本がたくさんある。そんな絵本選びの参考になるのが、「MOE絵本屋さん大賞」です。

第10回MOE絵本屋さん大賞2017の受賞者。(左から)いわいとしおさん、柴田ケイコさん、ヨシタケシンスケさん、minchiさん、岡本よしろうさん、金原瑞人さん

 今年で第10回となる「MOE絵本屋さん大賞」は、月刊MOE(モエ)が、全国の絵本専門店・書店の児童書売り場担当者3000人にアンケートを実施し、最も支持された新刊絵本30冊を決定する、年間絵本ランキング。毎年、MOE2月号の発売に合わせ、全国3500店舗以上の書店で「MOE絵本屋さん大賞フェア」が実施されています。

 “絵本を扱うプロ”の絵本専門店・書店の店員が選ぶ新刊絵本。ここで選ばれるのは、子どもたちにも喜ばれ、そして何より、大人が読んでも楽しめるものばかりです。

「手にとって何回も読みたい」と思える本を

 「第10回MOE絵本屋さん大賞2017」の贈賞式が1月12日、都内で開かれました。

 「2017年は『絵本ブーム』という言葉が生まれるくらい、絵本に注目が当たった年。興味がなかった人たちにも知ってもらう機会となったのは、すばらしいことです。子どもはもちろん、今まで絵本を意識したことがなかった人たちに、もっと手軽に手にとっていただきたい」と、月刊MOEの門野隆編集長。

 白泉社の鳥嶋和彦社長も、美しい本がいま世界で改めて注目されていることに触れ、こう述べました。

 「電子で読むということが行き渡ってきたからこそ、紙の手触りを感じ、手にとって何回も見ていたいという気持ちが、人々の中にあるのではないでしょうか。本が持っている本来の力が、もう一度問われている、試されている。そしてその力をきちんと表現できた時には、きちんと読者に届く。それはすてきなことだと思います」

「わかりあえないことは、不幸なことじゃない」――ヨシタケシンスケさん

 続いて、第1位に選ばれた『なつみはなんにでもなれる』(PHP研究所)と、第3位『つまんない つまんない』(白泉社)でダブル受賞した、ヨシタケシンスケさんが登壇。

ヨシタケシンスケさん

 『なつみはなんにでもなれる』は、ヨシタケさんの次男が「僕の言いたいことがなんで伝わらないんだ」と言っていたことがきっかけとなり、生まれた絵本。

『なつみはなんにでもなれる』(ヨシタケシンスケ・著/PHP研究所)と、『つまんない つまんない』(ヨシタケシンスケ・著/白泉社)

 「言いたいことが伝わらない、伝えられないことって、大人も子どもも関係なく、人類にとっての大命題。ただ、わかりあえないからと言って、決して不幸なわけではない。家族とは、わかりあえないものを、どうにか楽しくやっていくもんなんじゃないでしょうか」と、ヨシタケさん。

 第3位の『つまんない つまんない』は、なにをやっても『つまんない』とぼやく、長男のエピソードが元になった。「子どもにとっても大人にとっても、つまんない状態っていうのはある。でも『何にも考えていない』状態と、『つまんない』状態は、実は全然違います。絵本を読んで『言われてみれば、確かにそうかも?』と思ってもらえたり、読み終わったときに、同じものが違ったものに見えてきたりする本を、これからも作っていけたらいいなと思います」(ヨシタケさん)

「面白いな、と思った子どもの行動が、実は『あるある』だった」――minchiさん

 第2位を受賞したminchiさんの『いっさいはん』(岩崎書店)は、新人賞の第1位とのダブル受賞。ツイッターに投稿していたイラストが反響を呼び、絵本化された話題作です。

 自身の育児を通して、子どもの「面白いな」「変だな」と思うことをイラストに描いて投稿していたら、子育て中の人たちから大きな反響があったというminchiさん。「絵本化にあたり、親に向けての『あるある』だけではなくて、子どもと一緒に楽しめるものにしたいと思いました。初めて手がける絵本なので不安はありましたが、たくさんの方に読んでいただけてうれしく思います」とコメントしました。

 予想外の行動をする「いっさいはん」の子どもたち。大変なことももちろんあるけれど、「あるある!」と笑い合って、また明日からも頑張ろうと思える、そんな楽しい1冊です。

 第4位は柴田ケイコさんの『おいしそうなしろくま』(PHP研究所)。しろくまが、大好きな食べ物の中に入ってしまうお話です。食べることが大好きだという柴田さん。「動物と組み合わせたら面白そう!」と思いついたのだそうです。

 第5位は、工藤ノリコさんの『ノラネコぐんだん あいうえお』(白泉社)。大人気の「ノラネコぐんだん」シリーズから生まれた、「あいうえお」の絵本です。また工藤ノリコさんは、「ノラネコぐんだん そらをとぶ」で、パパママ賞の第1位も受賞しています。

 贈賞式では、「ベストレビュアー賞」の表彰も。ベストレビュアー賞とは、全国の絵本屋さんから寄せられた推薦文の中から、MOE編集部がベストレビュアーとして選んだものです。今回『つまんない つまんない』のベストレビュアー賞を受賞した、未来屋書店碑文谷店の鶴田麻子さんは、「ヨシタケ先生の本を初めて読んだ時、新しい感覚を覚えました。自分が子どもの頃、こういう本に出会いたかったなと、今の子どもたちをうらやましくも思いました。一読者としての気持ちを忘れず、いろいろな本をご紹介していきたい」と話しました。

『いっさいはん』(minchi・著/岩崎書店)、『おいしそうなしろくま』(柴田ケイコ・著/PHP研究所)、『ノラネコぐんだん あいうえお』(工藤ノリコ・著/白泉社)

  

身もふたもないけど、幸せな感じを大切にしたい

 授賞式のあと、ヨシタケシンスケさんにお話をうかがいました。

――「なつみはなんにでもなれる」で描かれているお母さんは、よく絵本に出てくる優しいお母さんとはちょっと違って、「めんどくさいなあ」という雰囲気が出ていたりするところがリアルです。

 「きれいごとを描かない」ということは意識しています。きれいごとを描くのは楽なんですが、そんなふうにならないじゃないかっていうのが、自分が子育てをした実感です。

 理想の姿を見て、励まされる方もいるとは思うんですけど、「そうできない自分」「そういうふうに(理想の姿のように)できていない我が家」に対して落ち込んでしまう気持ちは、人一倍わかるんです。

 だから、「実際はやっぱりこうなっちゃうよね」っていうところを丁寧に描きたい。そこの部分で面白がることができさえすれば、すべての家庭にとってそれは不幸でもなんでもなくて、「それはそれで面白いよね」っていう一つの提案になると思うんですよね。

 「身もふたもないんだけど、面白い」「身もふたもないんだけど、なんか幸せそう」っていう感じを、僕は一番大切にしたい。その「幸せ」っていう言葉は、本の中に一言も出てきてないけど、「まんざらでもない」という感じが全体に漂っていれば、いい読後感になるかなって。

 でも、さらにその奥に、「本当はこうしたいんだよね」っていう気持ちが透けて見えるようなものになると、なおいいのかなと思っていて。その気持ちがあれば多分、10回怒っちゃううちの1回でも、余裕が生まれる。

 10回ともできるわけではないんだけれども、10回に1回とか、8回に1回とかだけでも、ちょっと立ち戻れるきっかけのようなものが本から生まれれば成功だし、何より僕自身が、そういう本がほしいんです。そして読んでくださる方にとっても、同じような問題意識だったりとか、「できなさ」とつながってくれば、描いている側としてはうれしいですね。

――今回の受賞について、息子さんたちの反応は?

 子どもたちにとってみれば、僕が僕なのは当たり前なので……。すごいと思ってもらいたいんですけど、なかなかそこは、うまくいかないもんですね(笑)。

 今日はえらい人にあったんだよ!とか、『100かいだてのいえ』のいわいとしお先生にあったんだよ!みたいなことを言いながら一生懸命、細かく点数稼いで、偉い感じを出していきたいなと思っています(笑)。

(文・虫明麻衣)

    ◇

第10回MOE絵本屋さん大賞2017で選ばれた1~10位の絵本は下記のとおり。MOE 2018年2月号では、受賞者コメントも掲載し、今回の賞を特集する。

第1位 『なつみはなんにでもなれる』(著・ヨシタケシンスケ/PHP研究所)
第2位 『いっさいはん』(著・minchi/岩崎書店)
第3位 『つまんない つまんない』(著・ヨシタケシンスケ/白泉社)
第4位 『おいしそうなしろくま』(著・柴田ケイコ/PHP研究所)
第5位 『ノラネコぐんだん あいうえお』(著・工藤ノリコ/白泉社)

第6位 『生きる』(詩:谷川俊太郎 絵:岡本よしろう/福音館書店)
第7位 『ノラネコぐんだん そらをとぶ』(著・工藤ノリコ/白泉社)
第8位 『おじいちゃんとパン』(著・たな /パイ・インターナショナル)
第9位 『いらないねこ』(著・ヒグチユウコ/白泉社)
第10位 『アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険』(著・トーベン・クールマン 訳・金原瑞人/ブロンズ新社)
第10位 『そらの100かいだてのいえ』(著・いわいとしお/偕成社)

月刊MOE:http://www.moe-web.jp/
子育て情報誌 kodomoe(コドモエ):https://kodomoe.net/

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