50㎡台までのコンパクト暮らし

インテリアのプロがくつろぐ、50平米ワンルーム

  • 文・大橋史子(ペンギン企画室) 写真・井上佐由紀
  • 2018年2月20日

小振りなアンティークのテーブルと椅子が置かれたインテリア。手前の椅子は、外国の消防署で使われていました

 家は広いほうがいいと、今までは思われてきました。でも、最近は、あえてコンパクトな家を選ぶ人が増えてきました。その理由を聞いてみると、便利な都心に住みたい、住宅ローンや家賃を抑えて生活を楽しみたい、隅々まで目が行き届くところがいいなど、自分らしいライフスタイルを送っている人が多いようです。

 そこで、50m2台までのコンパクトな都心のお宅で暮らす人たちを取材しました。スペースが狭いからこその工夫は、だれにでも役に立ちます。そして、ものとのつき合い方、優先順位のつけ方、働き方など、新しいライフスタイルは今後の参考にもなりそうです。

    ◇

[大谷邸]
大谷優依さん(インテリアスタイリスト)
東京都渋谷区/2人暮らし/1R 50m2

 インテリアスタイリストとして、雑誌、web、広告などで活躍中の大谷優依さんは、忙しい仕事柄、どこの場所にも出やすい便利な街にお住まいでした。

 広さがもう少しあったら……とは思いましたが、立地の便利さ、ワンルームであること、部屋の明るい雰囲気、キッチンの仕様や床の色など他の条件は、ほぼ希望に近いものだったので、この家に決めたそうです。

お気に入りのキッチン。グレーのタイルがおしゃれです

窓辺の小さいスペースは、さりげなく飾ります

 「今は、夫婦2人とも仕事が中心のライフスタイルを送っているので、仕事しやすい場所で家を選びました。家でくつろぐ時間はほとんどないのですが、居心地よくしたいと思っています。私にとって家とは寝る場所と少しの仕事スペース、キッチンやお風呂があるところ、つまり、長期旅行者のキッチン付きのホテルのような感覚ですね」と大谷さん。

ダイニングテーブルでお茶を飲む大谷さん。座っている椅子はイルマリ・タピオヴァーラのものです

 大きめのベッドが印象的なお部屋ですが、少し前に模様替えをして、今までのダブルベッドにシングルベッドを足して広くしました。コンパクトな部屋には小さいベッドにしたほうがいいと考えますが、大谷さんはその逆を実行したのです。

 「『こうじゃないといけない』とルールを作ると、インテリアは楽しくないなと思います。ベッドを寝るだけの場所ではなく、くつろぐ場所と考えたら可能性が広がりました」と大谷さん。ソファ代わりにくつろいでテレビを見たり、朝ご飯をトレーごと持ち込んだりと、ホテルのベッドのような使い方をしています。

 ベッドカバーはコンランショップのもの。目立つ場所で部屋の印象を決めるので、冬は温かみのあるもの、夏は涼しげなものと季節に合わせてベッドカバーは変えています。

間仕切りとして、チェストとベンチを置いて、空間をゆるく分けています

 ベッド脇のチェスト、足元のベンチはインテリアとしてすてきなのですが、空間をわける役割もしています。チェストの向こう側はワークスペース、ベンチはダイニングスペースとの間仕切りになっているのです。視線を遮らずに、ワンルームを緩くスペース分けするアイデアです。

飾り棚を置くスペースはないので、ベンチに飾ります。寝るときは、割れないように花器はダイニングテーブルに移動

 「好きなインテリアは暮らしになじむもの。プリミティブな温かみにひかれます。コンパクトなので、色は控えめにして、家具も圧迫感がないものにしています」。

 家具は、新品はきれいすぎ、アンティークは重いと悩んでいたときに、レクトホールのものに出合いました。アンティークですが重すぎず、一度リペアされているからきれいです。主張しすぎず、暮らしになじむという、大谷さんの好みにピッタリでした。ベッド脇のチェスト、本棚、ダイニングテーブルを購入しました。

一人がけの椅子は、スペースをとらないコーナーインテリアにピッタリです

 「今後、年を重ねてライフスタイルが変わり、住まい方も変わるかもしれません。そのときの自分と素直に向き合って、何を大切にするかを決めていきたいですね。それが心地よいインテリアを作る、要になると思います」

■大谷優依さんのホームページ

■大谷優依さんのインスタグラム

>>写真をじっくり見る

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BOOK

『55m2までの心地よい コンパクト暮らし』

『55m2までの心地よい コンパクト暮らし』
(朝日新聞出版) 大橋史子 著

2018年4月6日、本連載が朝日新聞出版から書籍化されました! 本連載には出ていないお部屋を含めて大幅加筆、都市部に暮らし、55㎡までの「狭い家」を選んで、毎日を快適に楽しく暮らす人たちのインテリア・収納実例集。好きなモノをあきらめない人、グリーンがすてきな部屋、快適なリノベーション術などコンパクト暮らしの工夫が満載です。
詳しくはこちらへ
税込1296円

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PROFILE

大橋史子(ペンギン企画室)(おおはし・ふみこ)編集者・ライター

家事、料理、収納、インテリアなど暮らし周りを中心に、雑誌、本、webなどで活動中。人の人生や物語を聞くのが好き。
ペンギン企画室「40’s style」http://40s-style-magazine.com

井上佐由紀(いのうえ・さゆき)写真家

写真

1974年福岡県柳川市出身。東京都在住。写真家。九州産業大学芸術学部卒業。写真スタジオ、アシスタントを経て独立。現在はライフワークとして生まれたばかりの赤子の目を撮影しています。うどんとコーヒーがすき。
コレクション:フランス国立図書館、サンフランシスコ近代美術館
http://donko.inouesayuki.com/
http://inouesayuki.com/

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