桜咲くノリタケの名品が紡ぐ、30年目の物語[PR]

  • 2018年3月30日

ノリタケ〈ヨシノ〉

 たおやかな更紗(さらさ)模様を光の輪がふちどるプレートやカップ&ソーサー。特別な日のテーブルにふさわしい品格の洋食器でありながら、どこか日本的な情緒がにじむ理由は、模様の中につつましく咲く数輪の桜にある。老舗の洋食器メーカー・ノリタケが手がけるこのシリーズの名前は、〈ヨシノ〉。桜の名所・吉野山の名を冠した、ノリタケの顔ともいえる名品だ。

桜に込めた「日本の洋食器」の誇り

 今年で30周年を迎え、ノリタケの中でも指折りのロングセラーとなる〈ヨシノ〉の歴史は、前身となった初代〈シリル〉(1931年)にまでさかのぼる。貿易商としてアメリカ市場に向けた洋食器の製造販売を行っていたノリタケは、当時好まれたオリエンタルな絵柄の洋食器として〈シリル〉を発表。2代目〈ノーウィッチ〉(1950年代)を経て、3代目の〈サクラ〉(1967年)にて現在の〈ヨシノ〉(1988年)の原型となるデザインに落ち着いた。ここで、はじめて桜のモチーフが登場する。

シリル(1931年)、ノーウィッチ(1950年代)、サクラ(1967年)、ミヨシ(1974年)、ヨシノ(1988年~現在)と5代にわたって、歴代のデザイナーがアレンジを加えながら大切に受け継がれてきた

 「それまでアメリカ人に求められるデザインを製作してきたノリタケにとって、“日本の洋食器”としてのアンデンティティーを示した製品だったと思います。パターンネームにも日本語が使われているところに、日本の美意識を取り入れようというデザイナーの意思を感じる。〈サクラ〉の優れたデザインをブラッシュアップする形で、現在の〈ヨシノ〉が誕生しました」

 そう語るのは、30年前〈ヨシノ〉の開発の段階から先輩デザイナーらの現場をつぶさに見てきた、商品開発部アートディレクター・加藤智博(かとう・ともひろ)さん。現在のようなグラフィックソフトがない時代、デザインはすべて手描きのスケッチから起こされていた。絵柄はもちろん、リムの幅から持ち手のカーブ、色合いや金彩の分量にいたるまで、惜しむことなく手間と時間をかけるものづくりの精神に、当時若手だった加藤さんは驚いたという。

 「例えば、22センチプレートやソーサーに使われているグリーン、グレー、ピンクの部分。一見無地に見えますが、一つひとつ絵筆で色を重ねて表現しています。これは、デジタルで再現しようとしてもなかなかできない。こうした人の手の軌跡や味わいが、目には見えないメッセージとなって〈ヨシノ〉の魅力を支えているのでしょう」

ノリタケの食器のデザインを長年手がけてきた、加藤智博さん

〈ヨシノ〉を超えるデザインが目標

 〈ヨシノ〉のヒットの背景には、桜の意匠や真摯(しんし)なものづくりのほかに、もう一つ理由がある。それまで、洋食器といえばどのアイテムも同じ柄であることが定石だった。しかし、日本の食卓ではさまざまな器を織り交ぜて使うことが日常的。そこに着目し、一連のアイテムの中で22センチプレートとソーサーにだけ異なるデザインを打ち出したのだ。リムのカラーを主役にしたこのデザインは、吉野山を思わせる穏やかなグリーンが最初に誕生し、グレー、ピンクの3色へと展開。大小とプレートを重ねたときの変化、ギフトを贈る相手やその日のテーブルコーディネートに合わせて色を選ぶ楽しみなど、「組み合わせる喜び」がそこから生まれた。

 「揃いの文化だった洋食器を、日本の食卓で『もっと楽しんで使ってもらいたい』という思いから、こうしたアレンジが生まれたのだと思います。今でこそほかのシリーズにも応用されていますが、このようなデザイン展開を最初に行ったのは〈ヨシノ〉。日本の洋食器の可能性を示してくれたと思います」

〈ヨシノ〉はグリーン、グレー、ピンクの3色展開

プレートを重ねたときの組み合わせを楽しむ

 〈シリル〉から少しずつデザインを変え受け継がれてきたこのシリーズの中でも、〈ヨシノ〉は最年長のロングセラーとなっている。現在もさまざまな商品のデザインに携わる加藤さんは言う。

 「デザイナーの立場からすると、〈ヨシノ〉に代わる、ノリタケの顔となるようなデザインを作りたいと日々考えているのですが、なかなか超えられない。30年間、ノリタケのデザイナーたちは〈ヨシノ〉をひとつの目標に制作してきた。それほど完成されたデザインなんです」

日本人が古くから愛する桜を、唐草文様で繊細に表現

時と世代を超えて、受け継がれる物語

 30年という月日は、〈ヨシノ〉にさまざまな物語を生み出した。〈ヨシノ〉を愛用する家庭で育った女性が、結婚式の引き出物に再び〈ヨシノ〉を選んでくれたことがあった。また、2代目の〈ノーウィッチ〉が見つかったのは、実はつい最近のこと。初代〈シリル〉から〈サクラ〉の間に感じられたデザインの飛躍が、〈ノーウィッチ〉の発見によって、パズルのピースが埋まるように自然な系譜を描き出した。

 「時代や世代を超えて受け継がれてきたぶん、たくさんのストーリーがあります。〈ヨシノ〉は単なる食器という位置づけを超えて、“持っている喜び”や“使う幸せ”をもたらしてくれるテーブルウェア。飾っておくのではなく、使うことでそれぞれの物語を紡いでいただきたいです」

 めぐりゆく月日を知らせるかのように、春が訪れるたび、鈴なりの花を咲かせる桜。30年目の〈ヨシノ〉に咲き誇る桜が伝えてくれるのは、ていねいに作られたものを選ぶ喜びと、使う人自身が物語の主人公になれる特別感だ。ともに食卓を囲んで、1年、2年、10年と経ったとき、〈ヨシノ〉の桜がどんな景色を見せてくれるのか、楽しみに使い続けたい。

(文・大橋知沙 写真・西川知里)

名古屋にある、緑豊かな木々に囲まれた「ノリタケの森」

■ノリタケ〈ヨシノ〉の詳細はこちらから

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