TODAY'S MAKE-UP

<インタビュー>ヘアメイクアップアーティスト・草場妙子さんが大切にしていること

  • 草場妙子さんインタビュー
  • 2018年5月8日

撮影 /忠地七緒

 雑誌や広告、CMなどを中心に幅広く活躍されているヘアメイクアップアーティスト・草場妙子さん。無類のコスメ好きでも知られる草場さんのインスタグラム @kusabataeko では、プロならではの視点でこだわりアイテムの使用感やメイクポイントをご紹介しています。そんな草場さんのヘアメイクアップアーティストとしてのルーツや、はじめての著書『TODAY’S MAKE-UP —今日のメイクは?—』(アノニマ・スタジオ)についてお聞きしました。

    ◇

――『TODAY’S MAKE-UP —今日のメイクは?—』は、今までにない新しいメイク本ですね。メイク本というと、スキンケアからはじまって、メイクのやり方を教えてくれるという固定観念があったので、ページをめくって驚きの連続でした。

 「きょうどの服を着ようかな」からはじまって、この洋服には、この色のリップの方が似合うなとか、普段は使わないけど、洋服に合わせて挑戦しようかなとか、もっとファッションよりのメイクがあってもいいですよね。

 それに、メイクに関してはもっと自由でいてほしいと思います。きっと女性はきれいになれるメイクを毎日したいのだと思いますが、それが一番いいとは限らないし、メイクにNGや不正解はないというのが持論です。

 私がすてきだなと思うのは、自分らしさを生かしたその人に似合っているメイクです。自分が楽しく心地よいメイクをすることが、きれいになる秘訣(ひけつ)だと思うから、自分に合うメイクや、そのためのコスメの選び方を伝えたいと思っています。

――まずは何から選んでいくのがいいでしょうか?

 急に明日から自分で選んで下さいといわれても、たぶん何を選んだらいいのかわからないと思います。そこで、私が提案する「自分で選ぶ」ということを、この本の中で細かく伝えています。

 メイクを苦手だなと思っている方々とお話しすると、毎日メイクを変えるとか、ヘアを変えるという方は少なくて、ああ、そうかと思いました。時間がない中、ルーティンでとりあえずメイクをしている感覚だと、楽しさにはつながらないですよね。

 自分がいちばんかわいく見える色があっても、今日のファッションには別の色のリップが合うと思えば挑戦する方が絶対にいいと思いますし、その日の気分や洋服によってリップを選び、メイクすることが楽しくなると、日常も楽しくなると思います。

 ただ、選択肢を増やすことが、必ずしも幅を広げることではありません。リップであればベージュ、ブラウン、赤……すべての色を網羅することではなく、ベージュのリップが好きですという人は、ベージュだけでいいと思います。

 でも、ベージュの中にも、艶っぽく仕上がるベージュ、マットなベージュ、黄味よりのベージュ、コーラルベージュ、ピンクベージュなどいろんな種類があるので、一つのベージュから幅を持つことで、途端に自分らしいメイクの選択肢が広がります。

――ヘアメイクアップアーティストとして草場さんが大切にされていることはありますか?

 ヘアメイクアップアーティストは、モデルを美しくすることだけが仕事ではなくて、洋服に合わせてヘアメイクを考えて提案していくことが大切だと思っています。

 この人はどんな服を着て、どんなシチュエーションなのか、そこがなくては、何をどうヘアメイクをしていいのかがわかりません。

 考えて見ると、私はこれまでファッション誌のビューティー企画にかかわることはあっても、ビューティー雑誌の仕事はやったことがないんです。

 いい意味で、ファッション誌でヘアメイクの仕事をしてきているので、ファッションとは切り離せないという覚悟でいます。

――この本の中でも、メイクはファッションの一部だということをおっしゃっていますね。

 メイクは洋服とコーディネートするべきだというのがモットーです。できるだけ大きな鏡で、必ず少し離れたところから、全体のバランスを確認するといいと思います。小さな鏡に近づいてメイクをすると、どうしても、眉毛の濃さを均一にしたり、陰影をつけたり細部が気になって作り込んだ顔になりがちです。それは、顔とファッションを切り離すことになると思います。

 眉毛のことでいうと、しっかりと描き込んだ眉毛は色むらもなくて美しいのですが、実際、眉毛は色むらがあるもので、濃いところも薄いところもあって、強弱があってというのが自然です。

 色むらがあっていいんです。ラインが多少ずれていてもいいんです。大切なのは全体のバランスなので、なるべく精度をあげないほうがいいんです。

 たぶん、ヘアメイクアップアーティストでそんなことを言う人はいませんね(笑)。「こうするとうまく描けます」とおっしゃる方はいると思いますが。

――確かにそうですね(笑)。草場さんは、なぜヘアメイクアップアーティストの道に進まれたのですか?

 もともとは出身地の熊本で美容師をしていました。

 小学生のころからヘアアレンジが好きで、三つ編みをしたまま寝て朝ほどいてフワフワな髪型で学校に行ったり、毎日リボンを変えたり、弟の髪の毛も私が切っていました。

 中学3年生の時に、美容師の叔母のところでヘアカタログに載っていたベリーショートの雰囲気にひかれて、何も考えずに切ってしまいました。それが思いのほか短く、鏡に映った自分の姿が衝撃的で(笑)。

 短くした髪をなんとかスタイリングするのに、その当時はジェルを使っていました。ジェルは種類がたくさんあるので、香りや質感でジェルを選んでスタイリングすることが楽しみになり、美容師はいい仕事だなと思うようになりました。それからは美容師になることしか考えられなかったです。

 高校に通いながら、通信制で美容師の資格を取得し、念願の美容師になったものの、同じ場所で同じことを繰り返す毎日に、もっと広い世界を見てみたいと思うようになりました。それで、ヘアメイクアップアーティストを目指すことにしたのです。

 ただ、どうすればヘアメイクアップアーティストになれるのかわからなくて、東京でスタイリストをしている友人に相談すると「アシスタントになるといいよ」とアドバイスしてくれました。

 しばらくして、アシスタントの面接を受け「垢抜けていない田舎くさい感じがいい」と言われて、採用が決まり上京することに。自分では必死に隠していたつもりでしたが、にじみ出ていたようですね。

――どんなアシスタント時代だったのですか?

 私はできることが少ないので、この世界に飛び込んだからには、やるしかないと思い続けていました。2001年~2006年までの5年間です。

 晴れてアシスタントになった日に「30歳までだなぁお前は。しっかりアシスタントをやってから30歳で独立するっていうのがいいんじゃないか」と言われたので、そうか私は9年間アシスタントをやればいいんだなと思っていました。それが、長いのか短いのかわからず、そういうものだと思っていたので、9年間のつもりでいましたね。

――それが、5年で独立を?

 アシスタントを始めて5年経ったときでした。師匠から「来年から一人でやってみたらどうか」と急に言われて、9年間のつもりで働いていたので、逆にこんなに早く独立して「いいんですか?」という感じでした(笑)。なんの準備もしていなかったので不安でもありました。

 でも、師匠が本当に心の温かい人なんです。

 独立したからといってすぐに仕事が入るわけでもなく大変だろうから、自分の仕事を優先にしつつ、しばらくは手伝いにおいでと言ってくれました。手伝いにいった現場でも「彼女、独立したので何かあったら声かけてくださいね」と、私のことを紹介してくださり、ありがたいですね。

 これまでもこれからも、とにかく頂いた仕事は一生懸命やる。だから、前回お仕事した方から、また依頼があると、ものすごくうれしいです。

――インスタグラム( @kusabataeko )とこの本では、草場さんの視点で見つけたこだわりのアイテムや、使用感、メイクポイントを惜しみなくご紹介しています。インスタグラムの写真は草場さんがご自宅で撮影されているとか。コスメの組み合わせや並べ方などからも、草場さんのコスメ愛があふれていますね。

 私は、とにかく化粧品が好き! 買って買って買って。使って使って使って(笑)。

 そうしていると、この商品のこの質感すごいなーとか、ちょっとした差もよくわかってきて、これってみんなにいいたいなと(笑)。まずは、インスタグラムでおせっかいにも、これのここがいいんです!!と熱く伝えるということをはじめました(笑)。

 ただ、化粧品を選ぶことは楽しみのひとつですが、物の数をたくさん持っていなくても、数少ない中で使い方を少し変えると幅が広がります。たくさん持ってくださいというわけではないのです。

 昨日と今日の違いが小さい変化でも、自分だけがわかる変化でも、そこはいいと思います。

 毎日同じじゃなくて自分で選んでいるということが、自分の自信にもなり、楽しみにもなるから。無理はせずに、自分らしい幅の中でぜひ毎日のメイクを選んでくださいね。

    ◇

&wでは5回にわたって、『TODAY'S MAKE-UP ―今日のメイクは?―』の中から一部をご紹介します。

次回の更新は5月9日(水)の予定です。ぜひ、お楽しみに!

撮影協力: マーサーブランチ (六本木)

(文・&w編集部 撮影・忠地七緒)

草場妙子さんからのお知らせ

TODAY’S MAKE-UP —今日のメイクは?—

TODAY’S MAKE-UP —今日のメイクは?—
草場妙子 (著)  アノニマ・スタジオ

無類のコスメ好きで知られるヘアメイクアップアーティスト・草場妙子さん初の著書。ルーティンになりがちな日々のメイクを、その日のファッションや気分に合わせて「自分で選ぶ」ためのアイディアブックです。今日の自分をもっと好きになる、自分のためのメイクを提案します。1728円(税込み)

企画・編集:藤井志織
デザイン:三上祥子(Vaa)
写真(人物):加藤新作
写真(物):加藤 望
編集担当:村上妃佐子(アノニマ・スタジオ)

草場妙子さんHP:http://kusabataeko.com

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PROFILE

草場妙子(くさば・たえこ)ヘアメイクアップアーティスト

写真

熊本出身。サロンワークに携わりながらヘアメイクを目指すように。上京後アシスタントを経て、2006年に独立。現在は、雑誌や広告、CMなどを中心に幅広く活躍する。こだわりの美容アイテムを紹介したインスタグラムも話題になっている。
https://www.instagram.com/kusabataeko/

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