Woman’s Talk

「どんな厳しい状況下でも、それは冒険とみなします」 マリーナ・ロシャクさん(プーシキン美術館館長)

  • 2018年5月17日

  

 現在、東京都美術館で好評開催中の「プーシキン美術館展──旅するフランス風景画」(朝日新聞社ほか主催、7月8日まで)にともない、来日したマリーナ・ロシャクさん。世界中を舞台に仕事をする超多忙な彼女のプライベートも含めて10の質問。

Q1 「プーシキン美術館展──旅するフランス風景画」の見所は?

 今回はプーシキン美術館から、みなさまご存知の偉大な画家たちによる65の素晴らしい作品を運んで来ました。モネの「草上の昼食」など、40点以上が初来日です。いずれも、17世紀から20世紀初頭にかけて描かれた風景画です。それぞれの画家の個性や世界の見方、時代を超えた画家同士の結びつきなどさまざまなことを感じ取っていただけると思います。作品に触れることで、自分にとっての“一番大切なものは何か”に気づくきっかけになってくれたら嬉しいですね。

Q2 大学では古典文学を専攻。美術関係の仕事に就いたきっかけは?

 それは“雲の上にいる人”に聞いてください(笑)。自然の成り行き、としか言いようがありません。新しいことをゼロから始め、いろんな試みを重ねて一定の成果を出すのはやりがいがあるし、私は大好きです。それがプーシキン美術館館長という大役を引き受けた理由のひとつでもあります。自然の成り行き、と言いましたが、これまでの人生で、気が進まないことをしたことは一度もありません。自分の可能性を活かすチャンスに飛び込むことを、いつも許してくれた両親と夫の深い愛情には心から感謝しています。

Q3 最も好きな美術作品は?

 好きな作品があり過ぎて、一作品を挙げるのは難しいです。ただいつも頭に浮かぶのはレンブラントの作品です。誰かに気に入られようという試みが一切なく、きわめて限られた手段で“人間の孤独”という最も重要なことを、見るものに語りかけてくるように思えます。芸術の頂点を極めていると言ってもいいでしょうね。芸術作品と向かい合い対話できる空間であることが、現在の美術館の最も大きな役割だと思っています。

Q4 好きな家事は?

 掃除です。家では常に掃除や整理整頓をしています。家に帰るとコートも脱がずに片付けを始めるので、よく家族におもしろがられます(笑)。以前は、散らかっていても平気な家族とよくぶつかりましたが、今はすべて自分のためと思ってやっています。

Q5 ストレス解消法は?

 感情をわかりやすく表に出す人間なので、ストレスとは縁がありません。いやだと感じたらすぐ、その感情を空間に捨て去るのです。結果、多少摩擦が起きたとしても私の知ったことではありません(笑)。

Q6 最もリラックスできる瞬間は?

 たった一人で家にいて、のんびり家の中を歩き回ったり、窓から大好きな庭を眺めたり、飼い犬のラブラドールとおしゃべりしている時です。12歳の陽気で美しい犬で、キリューシャと呼んでいます。

Q7 おしゃれのこだわりは?

 自分を表現する手段のひとつであるおしゃれは大好きです。とくにヴィンテージものが好きです。今日着ているのは、モスクワで買った若い日本人デザイナーのワンピースとロシア人デザイナー夫婦の上着。毎朝、今日はどんな色が好きか、着たいかを考えて洋服を選びます。色は気分に影響を与えますからね。

Q8 バッグの中の定番アイテムは?

 移動が多いので、いつも大きなバッグにいろんなものを入れています。必ず入れているのは化粧ポーチ。化粧品のほとんどは日本のメーカーです。洋服に合わせて変えたいので、口紅が多いですね。口紅にも使える練り状のチークも離せません。あとは、これも日本製のヘアカーラー(笑)。くせ毛で量が多いので、髪をまとめるのはとても大変なので(苦笑)。

Q9 理想とする女性像は?

 優しくてユーモアのセンスを持っている女性。綺麗でなくても意地悪でもいいけど、ユーモアのセンスは必要です(笑)。男性にも言えますね。

Q10 今後チャレンジしたいことは?

 何か新しいことをゼロから始められたら幸せだと思いますが、具体的には考えていません。私たち人間の使命は幸せになることです。どんな厳しい状況下でもそれを冒険とみなし、また驚きと喜びをもってあらゆることを受け止める。それが幸せでいるために大事だと思います。すべては私たち次第です。

マリーナ・ロシャク
1955年、オデッサ(旧ソ連、現ウクライナ)生まれ。オデッサ国立大学で古典文学を専攻。卒業後、キュレーター、アートディレクターとして活躍。現代美術とロシア・アヴァンギャルドの専門家。2013年7月、プーシキン美術館館長に就任。夫と娘一人、そして二人の男の子の孫がいる。様々な国や地域の子ども用の帽子やアメリカの古いプラスチック製のアクセサリーを収集している。

■この記事は、2018年5月16日付朝日新聞朝刊「ボンマルシェ」特集のコーナーの転載です。

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

今、あなたにオススメ

Pickup!

Columns