ファッショニスタの逸品

予定調和を求めない異色の建築家 長坂常さん

  • 2015年8月13日

長坂常さん(撮影 石塚定人)

  • 長坂常さん(撮影 石塚定人)

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 上半期に話題となったニューショップといえば、清澄白河と青山にオープンしたブルーボトルコーヒーを挙げないわけにはいかないだろう。おいしいコーヒーとともに、空間構成にも注目が集まった。手がけたのは、建築家の長坂常さん率いるスキーマ建築計画。このプロジェクトが評価され、今後、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスにオープンするブルーボトルコーヒーの新店舗も彼らが担当することになった。

 仕事量とスタッフの増加にともない、7月末、事務所を中目黒から青山に移転させた。舞い込む案件は、家具のデザイン、商業施設や住宅のリノベーション・新築・仮設などと幅広い。この春もミラノで開催されたイタリアの由緒ある老舗家具ブランド、VITRA(ビトラ)のエキシビションの構成を担当した。

「たしかに海外の案件は増えてきていますね。仕事が増えるのにともない、ワークスタイルを変える必要があると思って青山に移転しました」と長坂さん。

 大学は、明治大学に入学。しかし「ファッションや音楽など、世の中に氾濫する決まりきった予定調和なカルチャーを打破したい」との思いがあり、関心のあった“表現を見せる場”をきちんと勉強しようと決心。中退して東京芸術大学の建築学科に進み、課題をこなす日々に明け暮れた。

 卒業した1998年には、仲間数人と現在の事務所の前身「スタジオスキーマ」を設立。当時は、建築家の青木淳さんが設計する住宅などの家具を、デザインにとどまらず製作までを請け負っていた。そのほかITベンチャー企業や広告代理店の仕事なども行ったそうだが、「ここに至るまで本当にいろんなことをしてきましたね」とこともなげに言う。

 今はあえて「デザインのために用意された場」での仕事ではなく、一見、デザインが介在しにくそうな場での仕事に興味があるという。

「そのほうが新しい価値観に多く触れることができるから。デザイン、建築を通して新たな価値観に触れることを喜びとしています」

 例えば「のんべえ横町に変わる飲屋街」「ドンキホーテのブランディング」など、デザインが求められていないところでどう挑むのか。もちろん最終的には「デザイン」という自分が得意とするフィールドに落とし込む自信はある。だからこそ、なるべくそこに至るまでのプロセスを楽しみたいのだ。

 つねに新たな状況下に身を置きながら、決して予定調和を求めない異色の建築家。彼の才能に、いま世界が熱い視線を送っている。

(長坂常さんの愛用品は次のページへ)

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