「プランテーション」とデザイナー小泉誠さんの幸福な出会い

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  • 2016年11月28日

プランテーション自由が丘店。エントランスをくぐる瞬間から、ゆったりとした気分になる
(撮影/馬場磨貴)

  • プランテーション自由が丘店。エントランスをくぐる瞬間から、ゆったりとした気分になる
    (撮影/馬場磨貴)

  • プランテーション自由が丘店

  • プランテーションの店舗デザインを手がける小泉誠さん

  • 小泉誠さんがデザインしたホウロウのケトル「kaico drip kettle」

  • 小泉誠さんのトークイベント。ホウロウのケトルでコーヒーを淹れて、和やかなムードに

 長く着られる大人の日常着を提案する「プランテーション」。全国に50カ所以上ある店舗を設計・デザインしているのが、デザイナーの小泉誠さんです。

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 この11月、東京・自由が丘の旗艦店では「こいずみ道具店の道具展」が催され、19日は小泉さんによるトークショーが開かれました。&wの人気連載、「東京の台所」の筆者・大平一枝さんが来店。大平さんのエッセーをお届けします。

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 この店に来ると、少し呼吸が深くなる。買うあてがなくても、友だちの家を訪ねたときみたいに、なんとなく長居したくなる。

 なぜだろう、と考える。スタッフと客の距離感。開放感あふれる広い店内。もちろん、着心地が良くて上質なふだん着が並んでいるからというのは大きい。でもそれだけではないと今日気づいた。足場板を並べた床や、天然のオイルを塗った杉板の壁や棚が、五感に気持ちいいのだ。ぬくもりのある木肌が目に優しい。どこにもキラキラピカピカした素材がなくて、ほっとする。洋服の棚の横にはホウロウのケトルや鍋など選りすぐりの生活道具が並び、店の奥にはゆったりしたオーク材の布張りソファが。

 店舗と什器の設計者は、デザイナーの小泉誠さん。箸置きから家具、建築や空間デザインまで手がける気鋭の人だ。鍋や器などの日用品も、彼がデザインしたプロダクトである。プランテーションとの出会いは16年前にさかのぼる。

 「その頃僕は、ショップデザインと同時に地域のものづくりに関わりはじめ、お店に置かれる製品側の立場にいることが多くなりました。お店には二つの種類があって、一つは利益を上げるための場所。もう一つは良いもの自慢のできるものを伝える場所。世の中のほとんどが前者で、製品も安く手を省くことを良しとして、誇りを持つものづくりができていません。そんなことに作り手目線で感じるようになり、前者のようなお店のデザインは絶対にしないと心に決めたところでした」

 そんな時にプランテーションからお店のデザインの打診があり、素材にこだわり、いつまでも着続けられる衣服作りという理念を知った。

 「ああ、僕の考えるものづくりと一緒だと共感し、ショップデザインの仕事に関わることになりました」

 今日着ているチェックのシャツは、2013年、毎日デザイン大賞を受賞した折、お祝いにプランテーションからプレゼントされたもの。「これが洗えば洗うほど肌になじんで着やすいんですよね。3年前のものなのにデザインの古さも感じられない。またメンズをやってほしいなあ」(※以前、メンズのシャツのみ展開)

 気負いのない風情で、ニっと笑った。周囲もつられて笑う。この自然体こそ彼の醍醐味(だいごみ)だが、デザインに対する姿勢は隅々まで計算しつくし、妥協がない。本店で使う建材は、「素性がわかる、誠実な本物」にこだわった。たとえば杉は日本のどの山で取れたものか、材料屋に行って確かめる。釘を打った場所には、杉の棒で穴埋めをする。おそらく、木目柄のシールでも気づかれないが、小泉さんにその選択はない。その根底には、作り手の誇りを重んじる、ぶれない美意識がある。

ものづくりの根底にあるもの

 こいずみ道具店は、小泉さんがデザインした家具やプロダクト、セレクトした生活道具を売る店だ。プランテーションにもここの商品の一部が並んでいる。トークイベントでkaico drip kettleと名づけられた白いホウロウのケトルが誕生するまでの舞台裏が披露された。

 最高のコーヒーをいれるために、お湯の細さ、角度をミリ単位で試作し、ベストな注ぎ口にたどり着いた。工場にバリスタが何度も通い、数え切れないほどの注ぎ口の試作品で、実際にコーヒーを入れて試したそう。注ぎ口だけではない。持ち手、ふたはもとより、汚れがたまらないようにするにはどうしたらいいか、工場で職人が作りやすいようにする見えない仕掛けなど、微に入り細に入り、デザインを突き詰めた。ホウロウという衰退の一途をたどる素材を掘り起こし、結果的に作り手の継承者を生み出すことにもなった。それがまたうれしかったと、小泉さんは振り返る。

 「信頼できる素材で、作り手が誇りを持って作ることができ、ちゃんとユーザーに長く使ってもらえるものを、ていねいにデザインしていきたいですね。そうものはたいてい地味で、良さがわかるのに数年かかることもありますが、定番ってそういうことじゃないでしょうか」

持続可能なデザインの条件

 じつはプランテーション自由が丘店の棚は、丸の内店から持ってきたもの。使い回しができることこそがいいという価値観が、店と小泉さんの間で合致している。杉は汚れたら削ればいい。傷や歳月が味わいになる。

 棚も家具も、ケトルも洋服も、使い込むほどに美しさが増すなら、これほど、無駄がなくすばらしいことはない。

 もう一つ、小泉さんのデザインするものは、隅々まで計算され尽くしているのに、でしゃばりすぎないという不思議な魅力がある。主役は使う人なのだ。

 「プランテーションに来ると、いつもお客さんとスタッフがなんだか楽しそうで。僕は祖母からこんな話を聞いたことがあるんです。“儲ける”という漢字は、にんべんに言葉に者(もの)の3つでできている。つまり、人と言葉とモノで、初めて儲けることができる、と。それは、いわばコミュニケーションっていうことですよね? 僕ら、ものを作る人間が、お店で育まれ続けているコミュニケーションを壊してはいけないと思うんです」

 主張しすぎるデザインは、ときにコミュニケーションを邪魔するというふうに私には聞こえた。

 作りっぱなしではない。使われている場面、あるいはリユースの可能性まで含めて取り組む深度が、小泉さんのデザインには共通している。

 この空間の居心地の良さは、素材にこだわった、長く着られるふだん着を提案し続けるプランテーションと、デザイナー小泉誠さんの幸福な出会いによって醸成されたものなのだ。

 友だちの家を訪ねるようなつもりでのぞいてみれば、きっとあなたも、ほーっと深く呼吸をしたくなるはず。(文・大平一枝)

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