ファッションニュース

山本耀司、絶望にあらがう 展覧会「画と機」

  • 2016年12月16日

自作前に立つ山本耀司=東京都品川区のアトリエ=郭允撮影

写真:画家・朝倉優佳と協業した16年春夏作品=大原広和氏撮影 画家・朝倉優佳と協業した16年春夏作品=大原広和氏撮影

写真:びょうぶの作品=郭允撮影 びょうぶの作品=郭允撮影

写真:ベッド上の女性を描いた作品=郭允撮影 ベッド上の女性を描いた作品=郭允撮影

写真:松岡正剛らを描いた作品=郭允撮影 松岡正剛らを描いた作品=郭允撮影

写真:1943年、東京生まれ。慶応義塾大学法学部、文化服装学院卒業。72年ワイズ設立、81年からパリ・コレ参加 1943年、東京生まれ。慶応義塾大学法学部、文化服装学院卒業。72年ワイズ設立、81年からパリ・コレ参加

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 反骨のデザイナーとして世界的に知られる山本耀司(73)。その服の作品よりも、最近手掛け始めた絵画など美術作品をメインにした「画(が)と機(き) 山本耀司・朝倉優佳」展が、10日から都内で開かれている。今の日本の文化的な創造力や発信力の意義を、改めて問いかけようとする熱い思いが込められている。

美術作品メインの展覧会「画と機」

 展覧会のタイトルの「画」は絵画を、「機」は機会やはずみ、機(はた)織りを表す。山本の知人で編集工学者の松岡正剛が考えたという。

 この2文字は男と女、絵とファッション、二次元と三次元など、相反しながらも引き合って創造の根源に触れる関係性を示す。またつなげた「ガキ」の音が、若々しい反抗のイメージにもつながるという。それが山本の創造性の魅力や本質と重なるのだろう。

 展覧会には山本による未発表の油絵やアクリル画、彫刻などのほか、流木や針金のボディーに着せた服やデザイン画、また近年のパリ・コレクションで協業している若手画家・朝倉優佳の作品も加えた計約150点が展示される。

 山本の絵には満開の桜を描いた作品や、松岡や哲学者・鷲田清一らの人物画も。軽妙にデフォルメされた作品が目立つ。

 会場となる東京オペラシティアートギャラリーの堀元彰チーフ・キュレーターは「山本さんは日本独自の“間”の表現をファッションで国際言語として高めた人。その元にある日本的な部分が、絵画という形を取ることでストレートに出やすくなったのではないか。アーティストとして沸きだしてきた彼の深く熱い一面を感じ取って欲しい」。

 来年3月12日まで。(編集委員・高橋牧子)

本人インタビュー 「たかがファッション…」闘いたかった

 展覧会をやりたいと思った動機は二つ。ひとつは、デザイン画がどんな服になるのか。実はファッションって、こうやって絵が立体化されることがわかると意外と面白いのではないかと思いました。

 もう一つは、たかがファッションで成功したくらいでと言われることに対して闘ってみたかった。特に日本でファッションは、芸術や文化としての評価が低くて最下位じゃないかな。それに日本の表現者の場合、海外で認められないとダメな状況がまだ続いている。

 そういうことを情けないと思いながら、人生の大半を既製服作りに費やしてきた。でも、これからの日本を若手に渡していく年齢になって、さあ何が残せる? 今の日本がひどい国になりかかっていることに対して危機感を覚えて、わざわざ苦労して大きなキャンバスに向かって、ぎりぎりのところで踏みとどまってあらがっているおやじがいるぞとね。

日本が死ぬ前に何とかしなくては

 僕は、日本が次世代に残していけるものは、技術力と洗練された感性だけだと思う。零細な町工場の経験と勘を基本にした職人技、きめ細かな気配り、マンガだけではなくもっと広く一般が支えているソフトパワー。

 残念ながら今の日本は、そこに価値を置かずに米英のまねをしている。中小企業は大企業に値段をたたかれ、高齢者は負担を強いられる。お金しかお金を生まないという考え方。マスコミだって第2次世界大戦の頃とどれだけ違う?

 それに、最近街を歩いている男の子って、前髪を垂らしてる。何ですか、あれは。中性化が始まったというけれど、僕なんかが使ってきた「クソッ」「このやろう」「歯くいしばれ」といった(反骨の)言葉が通じなくなってる。

 服作りと違って、絵は1から10まで自力でやらなきゃいけない。重労働だし精神力を吸い取られる。何百年も猛烈な迫力で生きる桜。恩人たちの肖像。50歳を過ぎた頃から、しょうがねえなあ、まだおめおめと生きてらあという気持ちでやってきたけど、日本が死ぬ前に何とかしなくてはいけないと思ったのです。(談)

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