朝日新聞ファッションニュース

華やぎ、ゆらぎをまとい 17年春夏 パリ・オートクチュールコレクション

  • 2017年2月10日

写真:[1]クリスチャン・ディオール [1]クリスチャン・ディオール

写真:[2]シャネル [2]シャネル

写真:[3]メゾン・マルジェラ [3]メゾン・マルジェラ

写真:[4]ジバンシィ [4]ジバンシィ

写真:[5]ヴァレンティノ [5]ヴァレンティノ

写真:[6]ヴィクター&ロルフ [6]ヴィクター&ロルフ

写真:[7]ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ [7]ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ

写真:[8]ヴェトモン [8]ヴェトモン

写真:[9]ユイマ・ナカザト=いずれも大原広和氏撮影 [9]ユイマ・ナカザト=いずれも大原広和氏撮影

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 1月末に開かれた17年春夏パリ・オートクチュールコレクションは、世界最高峰の手技や豪華さが強調される一方で、中堅や様々な国から参加した若手の活躍も目立ち、重層的な魅力が増した。世界的に社会が混迷を深める中、明るい色や輝く素材を多用したロマンチックなデザインや、見栄えのする迫力のある作品が目を引いた。

綿密な刺繡、メッセージ性 新たな素材

 うっそうと茂る緑、コケむす床。リボンや札が揺れる大木。クリスチャン・ディオール=[1]=がロダン美術館の庭に特設した会場は、おとぎ話の「迷宮の森」のようだった。

 髪に花を飾り、薄い絹地のプリンセスドレス姿のモデルたちが、妖精のようにそぞろ歩く。花畑風に広がる小さな押し花のような刺繍(ししゅう)。ベルベットのドレスの腰下からチュールのプリーツが噴水のようにほとばしる。

 デザイナーのマリア・グラツィア・キウリは、イタリア人で、去年秋のプレタポルテから同ブランドを手掛け、今回は初のオートクチュール。そんな彼女にとってフランスの老舗の世界は迷宮だと感じたのか、それとも現代が迷宮との意味を込めたのか?

 シャネル=[2]=の会場は万華鏡のような鏡張り。創始者ココ・シャネルが作品を見せたパリ本店の雰囲気を取り入れた。定番のツイードスーツは腰の高い位置にベルトを巻いてほっそりと。ラメなど輝く素材がたっぷりだが、ひだの寄せ方など念入りな細部と相まっていつにも増して格調高い仕上がりだった。

意表をつく造形

 手の技とフランス的なエスプリを込めながら、インパクトの強い作品を見せたのはメゾン・マルジェラ=[3]=も同じ。意表をつくカットや、チュールで大きな顔を描いた造形的なドレス。ブランドの手法を生かしながらも、手掛けた鬼才ジョン・ガリアーノの独創性がにじみ出る。

 ジバンシィ=[4]=は、北米先住民に伝わるお守り、ドリームキャッチャー風の輪をつなげたドレスが圧巻だった。小さな輪は内側の緻密(ちみつ)な手刺繍の図柄がそれぞれ違い、しかも女性の体にぴたりと沿う。人間の手技のすごみを改めて感じさせた。

 ヴァレンティノ=[5]=は、共にデザインしてきたキウリがディオールに移籍したため、ピエール・パオロ・ピッチョーリが初の単独での披露。会場に置いた抽象画のイメージと良く似た、穏やかな色彩のシンプルで彫刻的な服を並べた。

 華やかさと手仕事にリサイクルの考え方を合体させたのは、ヴィクター&ロルフ=[6]。前回同様、チュールなど過去の作品の素材を使った上で、割れた器を修復する日本の「金継ぎ」風の手法として金糸刺繍のふち飾りを取り入れた。「不完全さもポジティブな取り組みで美に変わる」とのメッセージだ。

 世界中で増える女性管理職やセレブ妻に向けてか、ジャケットやスーツの提案も目に付いた。特にジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ=[7]=の様々なオレンジ色を練りに練った素材や形に落とし込んだスーツが端麗だった。

「いるいる」再現

 若手が存在感を発揮した。前回から参加するジョージア出身のデムナ・ヴァザリア(35)が作るヴェトモン=[8]=は17年秋冬のプレタポルテを発表。テーマは「ステレオタイプ」。秘書や女性警官、旅行者といった様々なタイプの典型的なスタイルを並べた。「いるいる、こんな人」というほど髪形や小物までの完璧な再現に、会場は拍手喝采。伝統に反するとの批判もあったが、ソーシャルメディアが発達する中で、誰もが演技者であるとの現代を批評する表現とも思えた。

 同じく2回目となる日本のユイマ・ナカザト=[9]=は、独自素材の生地片をパズルのように手でつなぎ合わせて幽玄的な作品をみせた。中里唯馬(31)は「ミシンや針は一切使っていない。現代のファンタジーをみせることで新しいファッションの可能性を探りたい」と話した。

 期間中、トランプ米大統領の経済政策への期待から、ニューヨーク株式市場では史上最高値を記録し、富裕層を顧客とする参加ブランドからは今後を待望する声が聞かれた。客席には母娘連れや中国人が増え、ロマンチックで輝く“インスタ(グラム)映え”する服を盛んに投稿する姿が目をひいた。格差社会が広がる中、大富豪と一般人が同じスマートフォンを持つ。そんなかつてない時代に、多くのブランドがとまどいながらも一手を打ったシーズンだった。

 (編集委員・高橋牧子)

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