京都古文化特集

天然の染料から生まれる、日本の伝統色

  • 2014年4月17日

写真:一枚ずつ赤色を塗り重ねていく「紅皿」 一枚ずつ赤色を塗り重ねていく「紅皿」

写真:紅花で染められた絹糸。色の濃淡は染液に浸す回数や濃度で調整する 紅花で染められた絹糸。色の濃淡は染液に浸す回数や濃度で調整する

写真:古き良き日本を感じさせる工房から生み出された「よしおか」の染めものは、現代的なアパレルショップのディスプレーなどにも使われている 古き良き日本を感じさせる工房から生み出された「よしおか」の染めものは、現代的なアパレルショップのディスプレーなどにも使われている

写真:大地と寄り添って生まれる、透明感のある美しい「色」 大地と寄り添って生まれる、透明感のある美しい「色」

 生い茂る木々に囲まれた、ノスタルジックな和の家屋。門をくぐると、ほっと心を落ち着かせる生薬のような匂いがふわりと漂う。明治以降、化学染料に頼りきったために失われつつある「日本古来の色」を取り戻そうとする染屋が、京都にある。花や木の実、樹皮、草の根など様々な植物から抽出した天然の染料を使い、手仕事で織った生地や糸を丁寧に染めるという、昔ながらの技法を用いる「染司(そめのつかさ)よしおか」。ひたむきに自然と向き合い、日本の伝統色を生み出す工房を訪ねた。

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 江戸時代末期から続く「よしおか」の歴史。戦争で工房を閉鎖していた時期もあったが、現在は染織史家の吉岡幸雄氏が5代目として職人たちの指揮を執っている。「自然の植物から抽出された色には『温かさ』や『命の源』を感じさせる深みがある」という吉岡氏。

 刈安(かりやす)、団栗(どんぐり)、茜(あかね)、柘榴(ざくろ)…… 確かに、自然の恵みそのものの色からは、しなやかな風合いとぬくもりが伝わってくる。「植物染めって、なんとなくくすんだような淡い色を想像しませんか? でも、染め方によっては鮮やかな力強い色も出せるんですよ」と、6代目となる吉岡更紗(さらさ)さん。「自然の染料で染めたものは美しく、透明感があるのが特徴のひとつ。日本の四季と関わりながら過ごせるのが楽しいですね」。

 この日、更紗さんが取り掛かっていたのは、沈殿させた紅花の色素を皿に塗り重ねて仕上げる「紅皿」作りだった。夏に摘んで乾燥させておいた紅花を、水洗い後、稲藁(わら)からとった灰汁(あく)で揉んで染料として抽出する。清澄な赤色は、6~7回ほど色を重ねて乾燥させると、光のあたり具合によって見事な黄金の輝きを発するようになる。

 石清水八幡宮の石清水祭に供える12種の造花「御花神饌(おはなしんせん)」や、東大寺のお水取りで十一面観音に捧げる椿の造り花に使われる和紙にも、この赤色が使われているという。古くから伝わる神仏の行事にも伝統技法が生かされているのだ。

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