魅力ある料理本との出会いを 今野英治

  • 文 吉川明子 写真 石野明子
  • 2014年9月19日
  

  •   

  •   

 魅力ある料理本を広めたい――。書店員らのそんな思いから「料理レシピ本大賞」が生まれ、第1回受賞作が発表された。実行委員長を務めた今野書店店主の今野英治さん(53)に話をうかがった。(聞き手 吉川明子)

  料理レシピ本大賞の受賞作はこちら

――どういう経緯で「料理レシピ本大賞」を創設したのですか?

 フェイスブックなどでつながりのある書店員と出版社の人たちで時々、飲み会などをやっているのですが、「料理レシピ本の賞があるといいね」という話で盛り上がったのがきっかけです。私はそのときは参加していなかったのですが、後日、書店オーナーの先輩から声がかかったのです。「出版社主導ではなく、書店発の賞にしたい。それに大きな書店のオーナーがやるより、小さな書店が中心になって、風下から風上に向かって盛り上げていく方がいい」と。

――初回にもかかわらず、200冊以上のエントリーがありましたね。

 書店員による賞では「本屋大賞」が有名ですが、「料理レシピ本大賞」との大きな違いは、出版社が1冊1万円のエントリーフィーを払い、1社につき料理本3点、お菓子本1冊まで申し込めるという条件があることです。ちなみに、このエントリーフィーは賞の運営費として使わせていただいいます。
 それだけに、200冊を超えるエントリーがあったのは衝撃的でした。その分、期待も大きいんだなと感じています。

――選考はどのようにして行われたのですか?

 選考委員は基本的に公募です。手を挙げてくださった書店員さんに審査していただきました。東京と大阪にエントリーされた全219点を閲覧できる場所を作り、そこで見ていただき、1人につき10作品に各1点を投票する方式です。
 さらに、1次選考を通過した料理本38点、お菓子本5点について審査する2次選考では、東京と大阪の飲食店や料理家の方々にも加わっていただきました。

――「料理レシピ本大賞」に連動して、書店ではどういう展開をしていくのですか?

 エントリーされた本のフェアができるよう、書店が公式サイトから一括注文できるようにしたり、POPに使える画像をダウンロードできるようにしたりしています。大型書店では全エントリーを揃えて展開できますし、小さな書店では入賞した本だけ並べるなど、書店の規模によって柔軟にフェアが展開できると思います。

――今後、「料理レシピ本大賞」をどのように発展させていきたいですか?

 もちろん大きな賞に育てていきたいですし、大賞を受賞した料理本がまずは10万部、最終的には30万部くらい売れるようになれば、成功したと言えるのではないかと思っています。
 料理本は全国で1カ月に100点以上も刊行されていて、1日3、4点というペースになります。出版点数が多いのは料理本に限りませんが、取捨選択が大変で、書店の棚においておける寿命がとても短くなっているのが実情です。昔から売れているものを残しつつ、新刊でいい本を見抜いてバランスよく揃えるのは簡単ではありません。「料理レシピ本大賞」が回を重ねることで、料理本の品揃えの基準になればいいと考えています。
 また、出版社の方々が「料理レシピ本大賞」を取るぞという意気込みを持って、本を作ってくださればいいな、という期待もあります。料理本は、レシピを作る著者の方だけでなく、編集者やカメラマン、デザイナーなどが関わる余地が大きく、そういった人たちによる細部の作り込みによって本の魅力も大きく変わります。料理レシピ本の質が向上すれば、より多くの読者に受け入れていただけるようになるでしょう。

  ◇

今野英治(こんの・えいじ)
「料理レシピ本大賞」実行委員長 東京・西荻窪にある今野書店の店長。雑誌や文芸書、コミックまでバランスよく揃う“街の本屋”で、フリーペーパーやツイッターなどで積極的に情報発信もしている

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

&wの最新情報をチェック

Shopping